近年、保険金殺人などの犯罪死や湯沸器の欠陥による一酸化炭素中毒死などの事故死をたんなる病死と取り違えるなどの問題が相次いで明らかになっている。その背景には、特に非犯罪死体の死因究明機関が貧弱であること、解剖をできる法医学者が非常に少ないこと、大学医学部や研究機関でも解剖や検査など死因究明にほとんど予算を投入していないことなどの事情が横たわっている。
このため、民主党は、死因究明の適正な実施に関する2法案を提出した。「非自然死体の死因の究明の適正な実施に関する法案」は、非自然死体の死亡原因、死亡の推定年月日時と場所、犯罪の嫌疑の有無などの究明に関して都道府県警察に死因調査専門職員を置くなど必要な手続と方法を定めるもの。また、「法医科学研究所設置法案」は、犯罪死体・非犯罪死体の区別なく、死体の検案・解剖、身元が明らかでない死体の指紋・歯形の分析や遺伝子構造の鑑定その他の科学的調査を適確に行うために法医科学研究所を国の施設等機関として設置することを定めるものである。これら2法案によって、犯罪死や事故死の見逃しを防止し、死者・遺族の権利を擁護することが可能になる。
|