危機的な経済情勢に対応するために今求められているのは、霞ヶ関の既得権益を打破して予算構造を根本から転換し、大胆に資源配分を行うことである。しかし、本予算案は、従来予算構造の域を出るものではなく、まさに麻生内閣の指導力の欠如を象徴している。国民もこのような予算案に全く期待していないことは、麻生内閣の歴史的低支持率からも明らかである。
例えば、道路予算については、道路族の圧力に屈し、「歳入の一般財源化」という奇妙な理屈を持ち出して、歳出構造にほとんど手をつけず、一般財源化という福田前総理の公約を覆した。また、基礎年金の国庫負担２分の１引き上げについても、財政投融資特別会計の埋蔵金で当座をしのぐこととし、税制の抜本改革で対応するという約束を反故にした。
しかも、２００９年度の実質経済成長率について、日本銀行が−２．０％、ＩＭＦが−２．６％と予測する中、ゼロ成長と危機感ゼロの予測に基づいて予算編成を行ったため、本予算審議中にもかかわらず、補正予算編成の話が出てくる始末である。
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