実は、経済危機の今こそ、日本の大転換を成し遂げるチャンスである、と私は思います。国の総予算二百数十兆円を全面的に組み替え、税金のムダづかいを徹底的になくして、その浮かせた財源を国民生活の立て直しに集中的に使う。生活の不安をなくすことが希望を生み、積極的になった心が、この国全体を押し上げていくのであります。そのような仕組みの転換は、国民の多くが危機を認識している今だからこそ、国民の理解と協力の下に実現できるのだと考えます。
私たちはすでに昨年秋、総選挙に向けて、ムダづかいの根絶、年金・医療の改革、子育てへの支援、雇用制度の改革、農林漁業と中小企業の再生という「新しい生活をつくる五つの約束」を決定、発表しております。その五つを実行することにより、国民は元気を取り戻し、生活を立て直すことができると確信しております。
ただ、麻生内閣の無為無策の結果、雇用危機をはじめとする経済の悪化が急速に進んだため、当面の景気対策を早急に実施し、総需要を維持して、雇用を確保していかなくてはなりません。しかしそれは、自公政権が総選挙目当てに強行している総額二兆円の定額給付金のような、ただのバラマキ、税金のムダづかいであってはなりません。
あくまでも、私たちの目指す将来の「人間のための経済」「住民のための社会」を実現できるものでなければなりません。私は、その中心となる総需要維持政策は「環境のニューディール」と「安全・安心のニューディール」の二つであると考えます。
「環境のニューディール」は、戸別所得補償制度をはじめとする農林漁業の活性化策に加え、ソーラー(太陽光)パネルの徹底普及を中核に据えます。まず、新築の戸建て住宅を対象に設置費の半額を補助し、最終的には住宅、公共施設、オフィスビルなど、全ての建物にパネルを設置したいと考えます。また、全ての建物の屋上と外壁の緑化も強力に推進していかなければなりません。
「安全・安心のニューディール」の中心政策は、小中学校の校舎を全て耐震化することであります。特に、大規模地震によって倒壊の危険性が高いとされている約一万棟は、ただちに耐震化を実施します。病院の耐震化と、介護職員の待遇改善および大幅増員も、同様に進めていかなければなりません。
この二つのニューディールの眼目は、いずれも一つひとつは小規模事業であることから、それぞれの地域で雇用を創出できる、いわば「地域密着型の雇用創出策」であることであります。さらには、高速道路のネットワークの早期完成など、必要なインフラの整備も進めていかなければなりません。これらの政策をさらに練り上げて、総選挙のマニフェストを完成させたいと思います。
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