1. プロジェクトの背景と概要 |
タリバーン統治下のアフガニスタンにおける大きな問題のひとつは女性の教育・就職の権利が認められていないことでした。産婆は伝統的に女性の職業ですが、正しい知識を持つ継承者が激減し、出産時の母子死亡率を高める原因になっています。母体死亡率は10万人のうち257人に達し、新生児死亡率は10万人中1700人に達しています。90%もの出産が、ヘルスケアを受けることなく行われているのも大きな問題です。従って、正しい知識を持つ産婆を育成し、出産に伴うリスクを軽減する事は急務となっています。このプロジェクトでは、100人の女性が3ヶ月間、産婆としての知識・技術を得ると共に、昨年教育を受けた40人に対しても再教育を施す事を目的としています。尚、プログラム終了時に、プログラム受講者は、産婆道具と15ドルの俸給を得ることができます。
つい最近まで、日本でも出産はその多くが自宅でお産婆さんの助けを借りて行いました。今では、ほとんどの人たちが病院で出産しますが、最も近い病院に行くまで2、3日もロバの背中に揺られなければならないアフガニスタンでは不可能です。その意味でも、正しい知識をもったお産婆の存在が、アフガニスタンでは何よりも重要なのです。 |
2.プロジェクト目標 |
100人のお産婆さんネットワークを地域に生み出すことで、地域の病気予防を促進し、また、母親や子どもの死亡率、病率を下げることにも貢献します。 |
3.プロジェクト実施プロセス |
準 備 |
- お産婆さん養成プログラムの実施場所・受講生の選抜
プロジェクト承認後、地域の代表(年長者)によってトレーニングに安全な場所と訓練を受けるに適切な100人の女性が選ばれました。
トレーニングセンター。民主党のマーク(向きが逆?)が入った垂れ幕が掛けられています。 |
- スタッフの採用
プロジェクト監督(1名)/お産婆さん養成トレーナー(1名)
UMCA独自の人事政策に基づいて、またプロジェクト予算に見合ったスタッフ2名を採用しました。プロジェクト監督の役割は、活動プログラムの調整とモニタリング、そして、プロジェクト関係者に対し、中間・最終報告書を作成すること、そして、トレーナーの役割は、女性受講者100人に対し産婆としての知識教育を行い、またその技術をトレーニングすることです。
写真左がプロジェクト監督。その隣りの女性がお産婆さん養成トレーナー |
- 必要教材、備品、設備の準備、購入
トレーナーとアドバイスを受け、以下のものを購入しました。
ハサミ/ピンセット/ブラシ/石鹸/タオル/吸引ポンプ/割包着/爪切り/脱脂綿/メス/ローション/石鹸箱/パウダー/煮沸器/道具箱/手袋/プラスチックカバー/糸/虫眼鏡/軟膏/生理用ナプキン
- レンタカーの用意
受講生を送り迎えするために、3ヶ月間車を借りました。
|
|
プログラム実施 (3ヶ月間) |
- 講義
<妊娠と出産>
● 妊娠の兆候
● 妊娠の危険な兆候
● 妊娠中服用すべきでない薬
● 妊娠中の服装
● 妊娠中の食事
妊婦にとって理想的な食事とは? |
● TTワクチン
● 出産準備
● 安全な出産
● 新生児の扱い(へその緒を切る/洗う/清潔な布で包む)
● 授乳
● 新生児へのワクチン注射の重要性
● 新生児の食事
● 家族計画
コンドームの使い方を指導 |
● 4ヵ月後の離乳食
<健康>
●栄養失調
●公衆衛生
●免疫
●下痢予防
●マラリア予防
●伝染病
●急性呼吸器感染
●妊産婦検診
●この他予防検診
- 技術トレーニング
受講生に教材を配布。教材の使い方を教えつつ、お産婆さん技術のトレーニング行いました。
“分娩”補助のノウハウを教えています。
へその緒の適切な切断方法をトレーナーが教えています。
赤ちゃんの取り上げを人形を使って指導しています。
逆子の場合、その対処方法を教えています。 |
※ 同時に、プロジェクト監督がモニタリングを実施。
|
NEXT> | 1・2 |