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活動
岡田代表 外交・安全保障ビジョン「開かれた国益」をめざして ENGLISH

■要 旨
 今日、日本外交は行き詰っている。政権交代を実現して私たちの新しい政府ができたとき、2期8年経過した2015年までに実行する外交安全保障政策のビジョンをここに示す。外交は国民の理解と共感なくしては成り立たない。国民のみなさんにも是非、新しい日本の新しい外交に参画していただきたい。
私たちが実現すべき2015年の世界と日本
 現実を踏まえつつ10年後の日本と世界のより良い姿を構想しその実現のために日本は何をなすべきか、今、日本の外交安全保障政策を立案・実行する上で、そのような問題意識を明確に持つことが不可欠である。
 私たちが実現すべき望ましい世界とは、東アジア共同体が実現し、中国が責任を持って国際社会に関与する、平和で豊かなアジアであり、米国が国際協調を重視する路線に復帰し、軍事力の行使は国連安保理決議に基づいて行われるという集団安全保障の規範化が浸透した、秩序ある国際社会である。
 日本はそのような望ましい世界を実現するために国連安保理常任理事国となり、自国の防衛、アジア太平洋地域の安定、国際社会の平和と繁栄のために建設的な役割を果たしていなければならない。新しい日本は、近隣諸国との間で相互信頼感を高め、「アジアと米国の連結器」の役割を果たしている。日本の魅力は今以上に高まり、アジアと世界の尊敬と注目を集めているだろう。
「開かれた国益」を追求する
 戦前の日本は、一人勝ちを求めるゼロ・サム的な「閉ざされた国益」を追求した結果、間違った道を歩んだ。他方、戦後の日本では国益追求そのものを罪悪視する風潮が生まれ、自国の外交安全保障に関する判断を米国に委ねてきたと言わざるをえない。主体性を持って国益を追求することが外交の基本である以上、日本外交は従来の受身的発想を切り替えて、私たちは基本的発想を変えるべきである。
 ただし、グローバル化の進展した今日、日本が追求すべき国益は、自国のみならず他の国々とともに利益を享受する、プラス・サム的な「開かれた国益」でなければならない。排外的ナショナリズムや一国平和主義が「開かれた国益」と相容れないことはもちろんである。新しい政府の外交は「開かれた国益」を追求する。
 新しい政府が追求する「開かれた国益」の3つの柱は、平和で豊かなアジアの実現、日米関係の進化、世界の平和と安定への貢献である。
平和で豊かなアジアを実現する
 日本は「アジアの一員」であり、平和で豊かなアジアをつくることは日本の最も重要な「開かれた国益」である。そのための具体的手段が東アジア共同体の創造である。ASEANや韓国、中国などとFTA(自由貿易協定)やEPA(経済包括協定)を早期に締結するとともに、首脳サミットや常設の東アジア共同体事務局を中心に、貿易・投資、金融・通貨、環境・エネルギー、保健・衛生など広範なテーマで政策協調を図る。将来的には、平和維持活動(PKO)やシーレーンの多角的な共同パトロール構想など、安全保障面での協調も漸進的に深めていく。
 過去の過ちに対し謙虚かつ率直に反省したうえで、中国・韓国との間に、強い決意を持って未来志向の関係を構築する。
日米関係を進化させる
 日米の同盟関係はアジア太平洋地域安定の要であり、わが国の平和と繁栄を実現するためになくてはならないものである。他方、米国内には、場合によっては単独の軍事行動や先制攻撃も辞さないという考え方が台頭している。日本政府がこれに場当たり的・受動的な対応を繰り返せば、日本の国益を傷つけるばかりでなく、長期的には日米関係を弱体化させかねない。
 新しい日本は、アジア太平洋地域においては、拡散安全保障構想(PSI)、開発途上国の国づくり、平和構築などの面で米国との協力関係を深めていく。一方、中東・アフリカなど、アジア太平洋地域を越えたグローバルな問題での自衛隊派遣は国際連合の枠組みの下で行うことを基本とする。そのような日米協力の前提として政治家主導の日米戦略対話を強化する。
 日米関係は、政治、経済、文化・教育など様々な面でより緊密な関係にしていく必要がある。日米FTAの締結に向けて米国と交渉に入る。
世界の平和と安定に貢献する
 グローバル化が進んだ今日、国際社会全体に平和と繁栄を実現することは日本の「開かれた国益」である。また、アフリカを始め、世界には貧困や戦争に苦しむ人々が多くおり、「人間の安全保障」の確保など、世界の人々とともに生きることに日本人として誇りを持ちたい。
 持続可能な開発を実現するため、そして外交手段として活用するため、政府開発援助(ODA)を質量ともに充実させる。実施プロセスを見直して非効率・不公正を排除する。
 国連の平和構築活動に対しては、アジア地域を中心に積極的に貢献する。PKO参加5原則は、国際的な標準に合わせる方向で見直す。自衛隊だけでなく、警察も国際協力のために活用する。
 大量破壊兵器(WMD)の拡散防止のため、新たな軍縮・軍備管理条約の締結や包括的核実験禁止条約(CTBT)など既存条約の批准拡大を働きかける。ODAや人的貢献を通じて破綻国家化を防ぎ、テロの土壌をなくす。
 日本は国連安保理常任理事国となり、国連を通したグローバル・ガバナンスの実践と国際機関の改革に取り組む。
ソフト・パワーと外交インフラを強化する
 上記のような新しい外交安全保障政策を実行するためには、力とリーダーシップ、そして外交インフラが必要である。
 新しい日本は、経済的豊かさ、独自の文化、高度な技術力、安全な社会といった魅力に基づく外交力、すなわちソフト・パワーを重視し、国際社会における発言力を高めていく。
 新しい政府は、官民の総力を挙げた「オール・ジャパン」の陣容で外交インフラを作り直すという基本方針のもと、官邸機能の拡充、外務省の改革、情報能力の強化を実行する。総理直属の外交安全保障担当補佐官を常時配置するとともに、安全保障会議を大幅に機能強化して国家戦略および重要政策の立案を行い、外務省は基本的にその執行に当たる仕組みとする。併せて、情報コミュニティの統合・強化に取り組む。
自信に裏付けられた謙虚さを
 新しい政府は、東アジア共同体を創造し、日本と米国がともに主体的に関与し行動する日米関係を構築し、世界の平和と安定に積極的に貢献する。その際、ゼロ・サム的な国益概念、排外的なナショナリズム、他の国々への無関心はいずれも無用かつ有害なものである。
 私たちは、戦後日本が果たしてきた役割に自信を持つべきである。その上で、多様な価値観を認め、他者に対し寛容であり、自らの過ちに対し率直になる日本でありたい。新しい政府は「自信に裏付けられた謙虚さ」を持ち、アジアや世界で責任を果たす。世界の人々とともに生きる日本を実現する。
2005年5月18日
民主党代表 岡田克也
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