四半世紀ぶりの独禁法改正に対案を提出
政府は、161回臨時国会において、矛盾と欠陥に満ち、理念も哲学もない「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案」を提出した。民主党は、有識者から意見を聴取し、脱談合社会の確立、21世紀型経済憲法の制定を視野に入れた対案である「独禁法改正案」をまとめ、提出した。民主党案は、(1)行政制裁金を創設、(2)罰金を課徴金から控除、(3)審判官を増員、(4)官庁職員の行為の申告者に行政制裁金を減算など、明確・公正なルールの確立、官製談合の撤廃を図り、措置体系の見直しに途を開くものである。
官製談合防止への取り組み
161回臨時国会では、民主党案及び政府案が、衆議院本会議及び経済産業委員会で審議され、民主党案の優れている点、政府案の矛盾点が明らかとなった。一部の有識者からは民主党案を支持する声も聞かれ、与党は採決に踏み切れず、両案は継続扱いとなった。162回通常国会での審議において、民主党は、政府案について、(1)曖昧で実効性の低い課徴金制度を温存、(2)勧告制度廃止はデュープロセスを軽視、(3)官製談合防止法改正への道筋が欠落等の理由から反対した。最終的に民主党案は否決され、政府案が成立した。
また、 163回特別国会では、民主党は「官製談合等の防止のための刑法等の一部を改正する法律案」を提出した。談合罪、入札談合等関与行為の見直しや公務員が談合に関与した場合の処罰の創設などを柱としている。法案は審議未了、廃案となった。 |
「公共工事の品質確保の促進に関する法律案」は、価格のみによる入札方式を見直し、品質や技術を重視した業者選定方式への転換を促進するもので、161回臨時国会に与党から提案された。その内容は、(1)品質確保に関する基本理念、(2)発注者(国・地方自治体等)・受注者の責務、(3)技術能力の審査・技術提案制度などであった。
参入規制、情報公開の不透明性を指摘
与党案には(1)技術提案制度を利用した意図的な業者選定の危険性、(2)実質的な参入規制が可能、(3)情報公開・苦情処理など透明性確保措置が不十分などの問題点が多く、民主党は法案修正が必要と考えた。与党案は継続審議となった。
談合排除など与党案を抜本修正
民主党は、学識経験者・業界団体などから意見を聴取し、議論を重ね、 162回通常国会において、与党に以下の法案修正を求めた。(1)談合排除の明確化、(2)恣意的運用の防止(情報公開・苦情処理制度創設)、(3)発注者責任の明確化、(4)発注関係事務の公正性確保などである。与野党協議の結果、民主党の主張がほぼ受け入れられた。また、(1)自治体の技術審査体制の強化、(2)ランク制・経営事項審査制度の見直しなどが委員会決議となった。さらに、予定価格制度など公共事業全般の議論を継続することで合意した。与党案は撤回され、衆議院国土交通委員長提案として法案は成立した。 |