第一章 165回臨時国会・166回通常国会総括
第一章 165回臨時国会・166回通常国会総括
「政治とは生活である」との信念に立ち、
安倍・自民党政治と徹底対決
小沢代表が無投票再選
2006年9月25日、民主党臨時党大会で小沢 一郎代表が無投票で再選され、第2次小沢『次の内閣』が組閣された。(参照→)
165 回臨時国会
2006年9月26日から12月19日(85日間)
安倍内閣の施政方針を批判
2006.12.19 『次の内閣』閣議にて
小泉内閣を引き継ぐ形で発足した安倍内閣に対して、民主党はその外交姿勢を含む施政方針を厳しく質した。教育問題では「日本国教育基本法案」やその関連法案を提出して議論を深めた。民主党が提出した議員立法は15本に上った。一方、安倍・自民党は郵政造反議員11人の復党を認め、もともと曖昧だった基本路線をますます不明瞭にしていった。
10月9日には北朝鮮が核実験を強行した。民主党は国際社会とも連携し、法案対応や国会決議を通じて北朝鮮に強い抗議の姿勢を示した。
12月に入ると本間政府税制調査会長が公務員宿舎への不適切な入居問題で辞任する。年末には佐田行革担当相が自身の政治団体の事務所費疑惑により引責辞任した。安倍内閣の下でその後も打ち続く閣僚不祥事のさきがけだった。
「政権政策の基本方針」を策定
小沢代表の再選後、政権政策委員会において民主党の政策的な基本方針の草案作りが進められた。12月18日、教育、社会保障、外交安全保障、農業、分権・自治など8分野についてとりまとめた「政権政策の基本方針(政策マグナカルタ)」が両院議員総会で了承された。
166回通常国会
2007年1月25日から7月5日(162日間)
格差是正を訴える
2007.5.30 党首討論にて
今日の日本経済は輸出や一部企業の収益改善によって数値的には景気回復の段階に入ったが、その果実を享受できない人々が現実に多数存在している。このような格差社会の問題点は国民の間で広く意識されるようになっていた。「生活維新」を掲げる民主党は格差社会の現実を直視し、小泉・安倍政権の6年間で荒廃した国民生活の建て直しを最大の課題と位置づけ、政府・与党と厳しく対峙した。これに対して、「美しい国」を標榜する安倍首相は戦後レジームの見直しを掲げ憲法改正を前面に打ち出そうとした。
民主党は最低賃金や非正規社員の問題で安倍内閣に論戦を挑み、政府の謳う「成長力底上げ戦略」や「再チャレンジ社会の構築」というスローガンの本質が、「強者の論理」に基づく弱者切捨てにすぎないことを浮き彫りにした。
「消えた年金」を暴く
民主党は164回通常国会で既に年金記録の問題を取り上げていたが、さらに衆議院の予備的調査を要求した結果、2月に5,000万件以上の「消えた年金」の存在が発覚した。
当初、政府・与党は「消えた年金」の存在さえも積極的に認めようとせず、その後の対応もその場しのぎに終始した。一方、民主党は早くから被害者の声に直接耳を傾け、事態の解明と補償問題に真剣に取り組んだ。政府の隠蔽体質と無責任ぶりを鋭く追及し、年金問題に関しても国会における主導権を完全に握った。
相次いだ閣僚の不祥事
166回通常国会においても、伊吹文科相の事務所費問題や自殺した松岡農水相の問題など、現職閣僚の不祥事が後を絶たなかった。ところが、安倍首相をはじめとする政府・与党は任命責任を認めるどころか、説明責任を果たすことさえも拒み続けた。閉会後も赤城農水相の事務所費疑惑が発覚し、与党が成立させた政治資金規正法改正がザル法であることも露呈する。国民の政治不信はますます増幅した。
他にも、柳澤厚生労働相が「女性は産む機械」と発言したり、久間防衛相が米国による原爆投下を「しようがない」と発言して辞任に追い込まれた。閣僚の不祥事と不見識が日常的な光景となった166回国会は、長期にわたる自民党政権の腐敗と緩みを象徴していたと言えよう。
責任追及と対案提出で攻勢貫く
政府が様々な政策課題に対して無責任かつお粗末な対応を繰り返す中、民主党はその問題点を徹底的に追及する一方で、「年金」、「政治とカネ」、「天下り根絶」、「格差是正」などの分野で49本の議員立法を国会に提出した。
同時に、予備的調査や質問主意書を積極的に活用し、実態を調査するとともに政府の姿勢を明らかにするよう努めた。その結果、公益法人などに対する国家公務員の天下りと補助金などの交付の実態が明らかになるなど、今日の行政が抱える問題点の一端が浮き彫りとなった。
真実の究明と対案の提出を両輪にした民主党の攻勢に政府・与党は守勢に回った。安倍内閣は徹底的な国会論戦を嫌い、また、強権的な政治手法を指導力の発揮と取り違え、採決の強行や委員長職権による委員会の開催を繰り返した。166回国会で行われた不正常な採決は17回を数え、まさに異常事態となった。
この間、2005年11月に民主党のシンクタンクとして設立された「公共政策プラットフォーム(略称:『プラトン』)」は、年金の財政計算やシンポジウムの開催などで貴重な貢献を果たした。霞が関のみに依存しない政策立案のインフラの一つとして実績を着実にあげている。
内閣不信任をめぐる攻防、そして参院選へ
参議院選挙を前にして「消えた年金」や「政治とカネ」の問題を受け、無責任な政府・与党に対する国民の怒りは燃えさかった。怖れをなした安倍内閣は国会の会期を当初予定の6月23日から7月5日に延長し、参院選の投票日も一週間先送りする。
6月29日、民主党は安倍内閣不信任案を衆議院に、内閣総理大臣問責決議案を参議院にそれぞれ提出し、国民生活を無視し続けた安倍・自民党政治の責任を断罪した。
民主党は国会活動と並行してマニフェストの作成に注力した。そして7月29日に行われた参議院選挙では、『国民の生活が第一。』を謳ったマニフェストを掲げて選挙戦を戦った民主党が勝利を収め、与野党逆転を果たした。