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国会レポート2007

第二章 『次の内閣』の活動

1予算

2007.2.13 衆議院予算委員会にて、平成19年度予算を審議
2007.2.13 衆議院予算委員会にて、平成19年度予算を審議

2007.7.4 衆議院決算行政監視委員会における与党の審議拒否について抗議
2007.7.4 衆議院決算行政監視委員会における
与党の審議拒否について抗議

 民主党では、予算・決算プロジェクトチームを立ち上げ、予算・決算の調査審議を進めた。平成18年度補正予算、平成19年度予算及び平成17年度決算について、いずれも反対をした(決算については、国会議決は参議院のみ)。

平成18年度補正予算を強行採決

 政府は、166回通常国会に、「平成18年度補正予算案」を提出した。その主な内容は、前年度剰余金及び当年度税収増などを財源として、災害対策、障害者自立支援制度関係、市町村合併補助金等に充てるというものであった。

 政府・与党は、障害者自立支援法の施行で予算を節減できるとしていた。しかし、同法による1割負担の導入は多くの障がい者にとって過重な負担となり、強い批判が上がっていた。政府・与党はこの批判を受け、障がい者の負担軽減のために本補正予算案を中心に1,200億円もの措置を講じざるを得なくなった。これは、障害者自立支援法自体に欠陥があったことを政府・与党自身が認めるものであり、同時に財政面でも負担を増すことになった。また、事実上何にでも使える合併補助金を、1,000億円近くも計上するなど、補正予算案には選挙目当てのバラマキと疑われても仕方のない措置が入っていた。

 補正予算案の審議入り前に、柳澤厚生労働大臣が、女性は「産む機械」と発言し、大臣の資質に欠けることを露呈した。民主党は、補正予算審議の中で柳澤大臣の罷免を重ねて要求したが、安倍首相は頑なに柳澤大臣を擁護した。補正予算の内容、柳澤大臣の資質、安倍首相の任命責任など民主党の国会における厳しい追及に対して、与党は通常国会冒頭からの強行採決という異例の行動に踏みきり、平成18年度補正予算を政府原案通り成立させた。

格差問題に焦点をあてた予算審議

 2007年2月9日に平成19年度予算の審議に入った。予算審議では、予算の内容、財政健全化等の他、前年末に辞任した佐田行政改革担当相をはじめ安倍内閣閣僚の「政治とカネ」の問題、頻発する談合やその背景にある天下りなど数多くの課題が審議されたが、中でも「格差拡大」は多くの国民の関心を呼び、民主党は繰り返し政府の認識・対策が十分ではないことを指摘した。

 格差問題に焦点があたったのは、2006年164回通常国会冒頭の代表質問で民主党が「光と影」という表現で格差が拡大していることを指摘してからである。格差拡大は、自民党政権の「勝者の論理」に基づく政策によるものであり、また近年、たびたび繰り返される税金、社会保険料等の負担増が中・低所得者、高齢者などの生活をより厳しい状況に追い込んできた。

 民主党は重ねて格差の現状を取り上げ、政府が十分な対策をとらないことから、格差が拡大し続けていることを指摘してきた。しかし、政府は1年を経過してもなお、必要な対策をとらずに放置していることから、予算審議において政府の対応に批判が集中した。

 格差拡大の大きな要因の一つに雇用の不安定化がある。非正規雇用が雇用全体の3分の1を占め、その多くが低所得である。フリーターやニートに続き、ネットカフェ難民などの言葉が生み出された背景にも、この雇用の不安定化がある。このような非常に厳しい状況にある非正規雇用の実態を正面から捉え、必要な政策を実施する必要があると考え、民主党は2月22日の衆議院予算委員会公聴会に、大手製造業に勤務する派遣社員を参考人として招いた。

 その他、都市と地方の格差、医師の偏在により地域によっては十分な医療を受けられない医療格差、産婦人科や小児科など特定の診療科における医師不足、大企業と中小企業の格差、高水準で推移する自殺者数など様々な切り口から格差問題について議論を展開した。

「格差是正緊急措置法案」を提出

 一方、民主党は「格差是正プロジェクトチーム」を設置し、格差是正に向けた具体的対策の検討を進めた。格差PTでは非常に多くの観点から格差の議論が行われたが、中でも一刻も早く実現すべき政策を立法化し、国会に提出することで合意し、法案作成を急ぐこととした。

 民主党は、3月1日に「格差是正のための緊急措置等に関する法律案(格差是正緊急措置法案)」を国会に提出した。その内容は、格差是正に緊急に取り組むべき策として、(1)最低賃金の引き上げ、(2)児童扶養手当減額の中止、(3)採用における年齢差別禁止、(4)短時間労働者と通常の労働者の均等待遇、(5)障害者自立支援法における定率負担の凍結、(6)公的年金控除、老年者控除の見直し、の6つの法律改正を盛り込み、また、政府が緊急に講ずべき対策として、(1)医師不足解消、(2)リハビリテーションの医療保険適用期間の見直し、(3)リストラ等による失業者の医療保険料の軽減措置、(4)生活保護母子加算廃止の見直し、(5)就学援助児童に対する支援の拡充、(6)2005年の介護保険法改正により負担増となった者に対する支援、(7)奨学金の拡充、(8)中小企業の資金調達の円滑化、など8つを掲げた。

 また、同時に「格差是正に向けた取り組みについて」では、28の課題についてその現状と当面の対策を取りまとめた。

格差是正対策を
なおざりにする政府与党

 民主党が格差問題を国会で繰り返し取り上げたことにより、この問題に対する国民の関心が高まった。これによって政府は格差問題に対してようやく重い腰を上げたが、その取り組みは非常に不十分なものであった。

 政府は官邸に「成長力底上げ戦略チーム」を設置し、「成長力底上げ戦略」を取りまとめたが、検討期間はわずか2週間であり、その内容はこれまでの政策の焼き直しに過ぎなかった。またその本格実施は2008年度に先送りされ、今まさに困窮に陥っている国民を全く無視した内容となっていた。政府が格差問題を軽視し、対策を講じる意欲が無いということを如実に示すものであった。

繰り返される強行採決

 予算審議を通じて、政府はこのように格差問題に対して明確な対策を示さず、また「政治とカネ」の問題についても全く対応をしないままに、補正予算に続き、平成19年度予算についても3月3日、強行採決を行った。さらに参議院においても同様の対応に終始し、3月26日に予算を原案通り成立させた。