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民主党サイトアーカイブ

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アーカイブTOP > マニフェスト/政策集 > マニフェスト2003 政策集


民主党政策集―私たちのめざす社会―
【4】社会保障・雇用
目次社会保障雇用・労働
雇用・労働
 完全失業率が5%前後と、高止まりを続けています。中高年層に対するリストラ、早期退職、出向などは依然とどまるところを知らず、人員削減のもとで、雇用が不安定で労働条件が低いパートや有期雇用、派遣労働者等が増大、雇用を維持された正社員にも長時間労働、業務負担増加の問題が生じています。さらに、新規採用の抑制のもと、学卒未就業者の急増など、若年者の就職難も大きな社会問題となっています。雇用創出のカギは、少子高齢化・多様化に対応しつつ、働き方そのものを大胆に変革し、社会全体で幅広い雇用維持、雇用創出をするための枠組みづくりをすすめることにあります。民主党はまず、完全失業率を4%台前半に引き下げることを目標に、地域の実情に即した積極的な雇用創出に取り組みます。また、安定した雇用確保のため、ワークシェアリングを推進、同時に労働条件の均等待遇の実現、雇用契約の明確化とルールの整備を図るなど、働き方のルールづくりをすすめます。さらに、やる気と能力があれば安心して職業能力開発にチャレンジできる自立支援、セーフティネットの仕組みをつくり、年齢・賃金・能力など雇用のミスマッチの解消を図ります。


若年層から中高年層まで職業能力開発支援
 時代にあった職業能力の自己啓発に関心が高まっています。人材は社会の基盤です。民主党は既に一般会計投入による長期失業者・自営業廃業者向けの能力開発支援制度の創設を提起していますが、より高度で実践的な職業能力を有する人材育成のための職業訓練校の展開、各地域の実情に即した官民職業紹介機関、能力開発機関、地方自治体の連携、地域労使参画の評価制度の確立などによって、若年層から中高年層まで、すべての世代に対応する職業能力開発制度の抜本強化をすすめます。また、企業内、業界内での職務内容や能力評価基準等(日本版NVQ*)の明確化、社会人の利用拡大に向けた奨学金制度の整備、キャリアカウンセラー*の早期育成を支援します。一定期間勤務すれば、休業が認められるキャリアブレイク制度の普及も支援します。
*NVQ=英国で普及している官民共同の能力評価基準制度。
*キャリアカウンセラー=転職・再就職に際して労働者の職務経験等について相談に乗り、その人にあった仕事をアドバイスする専門家。


若者の雇用就労支援
 若者(15〜24歳)の失業率は10%を超え、「フリーター」は400万人とも言われます。「ニート」*と呼ばれ、学校にも行かず、職にも就かず、職業訓練も受けていない無業の若者は30万人とも推計されています。民主党は自立を希望する若者にマンツーマンの就労支援を行うため、(1)個人アドバイザーによる職安での就労支援、(2)民間企業等での職業訓練、(3)それでも就職できない人のための再就職活動プログラム等を用意し、必要に応じて就労支援手当を支給します。職安にはニートが集まることのできる場所を提供し、ピアカウンセリング*等も行います。また、全国の中学2年生を対象に、5日以上の職業体験学習を実施します。
*ニート="Not in Employment, Education and Training"の略。
*ピアカウンセリング=「ピア」とは「同等の者、仲間」の意味。同様の悩みを抱えたり、悩んだ体験がある仲間同士によるカウンセリングのこと。


雇用創出
 雇用情勢の改善には、失業対策だけでなく積極的な雇用創出が重要です。民主党は短期緊急対策として時短を伴うワークシェアリングを、地域のニーズに即した新しい産業(環境・福祉・教育・IT・都市再生など)の創出と並行してすすめます。教育・保育、福祉・介護、環境などの国民サービス向上につながる分野は行政サービスの拡充と民間分野の誘導策とをあわせてすすめます。SOHO(会社勤務でなく在宅も含めた小規模オフィスで働くこと)や在宅就労、NPOなどによる起業・創業についても、就業機会の有望な拡大策として、労働環境整備に取り組みます。


ワークシェアリング(WS)
 雇用、時間、賃金の組み合わせを変え、就労機会をより多くの労働者で分かちあい、雇用機会を増大させる施策です。時短を伴う「緊急対応型」WSは失業をこれ以上増やさないための短期対策としては重要ですが、民主党は多様な就労形態を整備して雇用を創出するという長期的観点に立ち、まずは事業所における適正な労働時間管理を徹底し、次に、正社員と短時間労働者の労働時間と仕事に即した均等待遇、社会保険制度の短時間労働者への適用拡大、女性や高齢者の就業条件整備等を追求、雇用増につなげます。


就業形態の多様化と均等待遇
 人件費削減という経営側の要請、仕事と家庭の両立など多様な働き方を求める労働者側の要請を背景に、パート労働者はいまや1,200万人を超え、基幹的・恒常的な労働力としての役割を担っています。しかし、その処遇については、労働時間や仕事の内容が正社員とほとんど同じであっても、雇用形態の違いを理由に、その働きに見合ったものになっていないという指摘がされてきました。民主党は短時間労働者であることを理由に、賃金その他の労働条件について、通常の労働者と差別的取扱いをしてはならないなど、パート労働者と正社員との均等待遇を柱とする「パート労働者の均等待遇推進法案」を2004年の第159国会に提出しました。今後も「最低賃金制度」の拡充を含め、働き方によって賃金その他の労働条件が著しく不利にならない合理的な原則づくりに取り組みます。


労働契約法の制定
 雇用・就業形態が多様化・複雑化し、パート・フリーターなど非典型の雇用形態で働く人が増えています。また、成果賃金制度の導入などに伴い、賃金その他の労働条件が労働者と企業の個別労働契約に委ねられことも多くなりました。その一方で、厳しい雇用失業情勢のなか、個別の労働条件の不利益変更などによる個別労使紛争も増加しています。こうした労働契約上の問題については、労働条件の最低基準を示す労働基準法だけでは十分対応できないとの指摘がされており、雇用契約上の権利義務や労働条件の明確化、労働条件の変更、労働契約の終了等に関する基本ルールの整備が必要です。民主党は労働契約そのものを捉えた「労働契約法」の制定と、個別の労使紛争に対する適正、簡便、迅速な紛争解決システムの整備を図ります。


雇用保険制度をはじめとするセーフティネットの整備
 きびしい雇用失業情勢を反映し、雇用保険財政が2002年度中に枯渇することが明らかだったため、民主党はいち早く警鐘を鳴らし、雇用保険の財政安定化のための法案を提出するなど、国民の安心確保を主張してきました。今後もセーフティネットにふさわしい安定した財政運営を確保するとともに、失業等給付を本当に困っている人への給付を中心とし、求職中の職業訓練との連携強化、短時間就業者へ適用を拡大するなど、雇用保険制度の抜本的改革をすすめます。また、失業者の中には、健康保険料が高い、払えないという理由から無保険化する人も少なくないことから、非自発的失業者について、失業後一年に限り、在職中と同程度の保険料負担で医療保険に加入できる措置を設けます。


解雇ルール
 日本では使用者による解雇はこれまで判例によりきびしく制限されてきましたが、2003年の第156国会に政府が提出した労基法改正案は、解雇が原則自由であることを明記する内容で、誤ったアナウンス効果を与えるだけでなく、就業規則所定の解雇事由によって解雇権が制約されるとしてきた判例をも覆すことが危惧されました。そこで民主党は修正案を提出、与党との修正協議に臨んだ結果、使用者側に多くの主張立証責任を求める現状を維持し、無謀な解雇を規制する条文が盛り込まれました。今後も労働契約法の制定を視野に、公正なワークルールの確立を図ります。


仕事と家庭の両立支援
 子育ては育児休業期間で終わるわけではありません。職場復帰後の多様な子育て支援メニューの整備が課題となっています。民主党は先に「仕事と家庭の両立支援法案」を提出、子どもの看護休暇義務化への道筋をつけましたが、2003年の第156国会では労基法改正を受け、適用除外とされていた有期雇用労働者も育児休業等を取得できる内容を盛り込んだ法案を提出、2004年の第159国会にも政府案への対案として再提出しました。今後も子どもの看護休暇の早期義務化、父親の育児休業取得の促進、勤務時間の短縮制度の請求権化、有期雇用労働者の育児・介護休業取得の保障などを推進します。


年齢差別禁止
 きびしい経済状況を反映し、特に中高年を対象に人員削減の波が押し寄せていますが、転職の際に「○○歳まで」と入口で画一的に締め出され、就業チャンスを奪われることも少なくありません。民主党は年齢や性別、障がいの有無など生来的な違いによる差別をなくすという観点から、2003年の第156国会、2004年の第159国会に「募集・採用における年齢差別禁止法案」を提出しました。今後も高齢者や女性も含め、働きたい意欲のある人がその能力を発揮できる社会を追求します。


労働時間の短縮
 労働時間の短縮は、家族・友人などとの絆を深める、地域・社会活動に参加する、自己啓発により職業能力を向上させる、勤労意欲を回復するなど、多様な価値観に基づき、より自由でゆとりのあるライフスタイルを実現させるためにも大切です。民主党は時間外労働の削減をすすめます。また、取得率が約5割と極めて低い状況にある年次有給休暇について、その完全取得及び日数の増加をすすめ、連続休暇を実現する「長期休暇制度創設法案」(2002年の第154国会に提出)の導入を図ります。


ホームレス自立支援
 長引く不況を背景に、都市部を中心にホームレスの姿が目立っています。民主党はホームレスの生活実態を的確に把握し、生活保護の適切な実施を含め、実態にあった対応が必要との観点から、2001年の第151国会に「ホームレスの自立の支援等に関する臨時措置法案」を提出し、これが契機となってホームレスの自立のための法律ができました。特に就労意欲のある路上生活者について、定住場所としての住居支援、就労支援を行い、ホームレス状態の長期化を防ぎ、自立と社会復帰を支援します。



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