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民主党サイトアーカイブ

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アーカイブTOP > マニフェスト/政策集 > マニフェスト2003 政策集


民主党政策集―私たちのめざす社会―
【5】農林水産・環境・エネルギー
目次農林水産環境エネルギー
環境
 森林伐採・開発などによる自然環境の破壊や生態系の破壊、化学物質の拡散、化石燃料や金属類資源の枯渇など、人間の活動に起因する環境負荷の増大により、「環境の許容限度」や「人体の許容限度」が限界に近づいています。このような環境問題に対応するために、現在の「大量生産、大量消費、大量廃棄」社会から、持続可能な社会へと変革し、将来世代にツケを残さないようにしなければなりません。民主党は、持続可能な社会をめざし、環境容量内での循環型社会システム構築に向け、積極的に取り組んでいます。率先して地球環境の保全に取り組むとともに、日本が国際的に地球環境保全活動の先導役を果たします。また、環境対策技術に国として支援していくことなどによって、国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するとともに、地球環境の保全を通じて積極的に世界に貢献する国づくりを進めます。


持続可能な社会
 地球温暖化、水問題をはじめとする地球規模の環境問題がその規模を拡大しています。また、自然破壊や土壌・水質汚染など、地域での環境問題も後を絶ちません。環境の悪化とそれに伴う脅威は増大し続けています。美しい自然や生命を育む地球を将来の世代に受け継いでいくことは、いまを生きている私たちの責任です。環境問題を解決し、持続可能な社会をつくるためにも、環境意識の向上・市民参加・情報公開・公正な市場構築・良好な自然の保全・NGO中心の国際貢献などの施策を推進します。


地球温暖化対策
 地球温暖化の進展を食い止めるためにも、世界の温室効果ガスの5%を排出している日本の責任は非常に大きいと言わなければなりません。ところが、政府の地球温暖化対策方針である「地球温暖化対策推進大綱」は、実効性の乏しい施策が記載されているだけです。地球環境の保全に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るために、基本法を制定し、「地球環境基本計画」を策定し、実施します。民主党は、国内における人為的排出の削減を原則として、エネルギーの需要抑制、省エネルギーの推進、再生可能エネルギーの普及促進のために、環境税等の経済的措置の導入による実効性のある地球温暖化対策を行います。


オゾン層破壊・フロン回収
 フロン類はオゾン層破壊や地球温暖化の原因となるなど、地球環境に大きな負荷を与えることから、その回収破壊・代替物質への転換が重要になります。民主党がかねてから主張していたフロンの回収義務化法がようやく2001年に成立しましたが、スプレー缶や断熱材への使用規制が行われていないなどの問題があります。民主党は、今後も環境負荷の少ない代替物質への転換や使用規制などを強力にすすめます。


地球環境問題
 開発途上国を中心とした人口の急増と貧困等により、地球環境の悪化が各地で顕在化しています。開発途上国への環境保全技術の積極的な援助、被援助国の民主化促進、環境マインドを育むための「人づくり」支援強化、森林保全・水環境の保全・砂漠化防止などの自然環境保全への支援強化などを積極的にすすめ、日本が環境分野でのリーダーシップを発揮すべきです。そのため、支援の際の国際的な環境基準の設定を国際社会に積極的に働きかけます。
 また、人類と自然との共生の理念に基づいて、日本が世界に貢献する戦略的外交課題として、地球環境保全活動をすすめます。「地球全体の環境保全」という理念を明確にし、地球環境保全に向けた基本法案を国会に提出し、その成立をめざします。


化学物質対策
 日本国内で流通している化学物質は約5万種類あると言われ、また、毎年数百種類の化学物質が新たに製造・使用されています。人工の化学物質が環境中に排出された場合の人体及び生態系への影響が十分に把握されていないことから、被害の未然防止を基本としたリスク対策が必要です。民主党はこれまで、さらなる情報公開を求め、政府の「科学物質排出移動登録(PRTR)法案」への対案を提出しました。また、環境基準の設定などを盛り込んだ「ダイオキシン対策法案」、焼却炉対策を強化した「廃棄物処理法改正案」を提出しました。今後、「化学物質の審査及び製造に関する法律」を改正し、予防原則を貫いた化学物質の製造から廃棄までの全体を包括的に管理し、製造規制・表示の徹底・使用後の回収など、リスクに応じた化学物質対策をすすめます。


総合的な廃棄物・リサイクル対策
 現在の大量生産・大量消費・大量廃棄の社会を省資源型の循環型社会へと転換させるために、また、不法投棄や不適正処理を防ぐためにも、現在の法制度を変える必要があります。民主党は、(1)廃棄物・リサイクル法制度の統合、(2)有価・無価に影響されない廃棄物の定義、(3)リサイクル施設に対する環境規制の適用、(4)製造者の製品引取義務(拡大生産者責任)の明記、(5)埋立税・焼却税の導入(経済的措置)を内容とする「資源循環・廃棄物管理法案」の成立をめざします。また、生ごみの堆肥化を主な内容とする「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」(食品リサイクル法)の改正案を2003年の第156国会に提出しました。


個別リサイクル法の改正
 容器包装リサイクル法をはじめ、家電、自動車など多くの個別リサイクル法の乱立に伴い、事業者や消費者に混乱が生じています。また、容器包装リサイクル法の趣旨に反して、再使用容器(リターナブル容器)ではなく、環境負荷の大きいリサイクル容器(ワンウェイ容器)の使用が増加しています。こうした問題の解決のため、民主党は「循環資源・廃棄物管理法案」の考え方にもとづき、事業者に一定のリサイクル責任(拡大生産者責任)を課す一方、リサイクル費用については、その一定額の引当を認め、経済的負担を軽減することを盛り込んだ個別リサイクル法の改正をすすめます。


デポジット制度
 環境負荷の少ない持続可能な社会を築くためには、事業者・消費者などの各主体が自主的に取り組むことが重要ですが、それが十分に行われない場合には、経済的措置による誘導や法的規制により環境への負荷を低減する必要があります。製品の販売にあたり預り金(デポジット)を価格に上乗せし、回収の際にそれを返却するデポジット制度は、不法投棄の防止や回収率の引き上げのために一定の効果が認められることから、民主党が提案している「資源循環・廃棄物管理法案」のなかに位置づけるとともに、飲料容器の再使用促進のための制度として検討をすすめます。


環境教育
 先進国と途上国間の不公平、現世代と将来世代間の不公平、自然と人間の間の不公平を解決し、持続可能な社会を構築するためには、ライフスタイルの変革や意識改革が不可欠であり、家庭をはじめ、学校、地域、職場などあらゆる場と機会を通しての環境教育の推進が重要です。民主党は、学校における環境教育、環境教育へのNGOの参加、教員に対する研修制度などを柱とする「環境教育振興法案」を2003年の第156国会に提出しました。この民主党案に促され、超党派案が成立しましたが、環境教育の推進という観点は十分とは言えず、今後も環境教育のあり方について、国民的な議論を喚起し、幅広い検討をすすめていきます。


動物愛護
 民主党は、1999年に「動物保護法に関する小委員会」を設置し、動物愛護法の改正のあり方について検討を重ね、2004年の第159国会においても「動物愛護法改正WT」を設置しました。今後も環境省、ペット業者、NGO等からのヒアリングを実施し、(1)ペット業者規制のあり方、(2)動物実験のあり方を中心に、法改正に向けた議論をすすめます。


野生生物保護
 干潟や湖沼などの湿地は多様な生物の生息地となっていますが、開発などにより多くの湿地が失われています。湿地の開発を抑制し、保全を図る法律の制定をすすめなければなりません。また、農作物の被害対策や狩猟を優先する現在の鳥獣保護法では、野生生物の保護・生物多様性の保全は十分ではありません。絶滅の危機にある希少種の保護回復のためにも、野生生物の生息区域の保全を含めた包括的な野生生物保護法の制定をめざします。


移入種対策
 国内の生態系を破壊する外国からの移入種が全国的な問題となっています。これらを規制するため、民主党は、国内生物種台帳の整備・公表、規制対象の拡大などを盛り込んだ「外来生物種規制法案」を政府案への対案として2004年の第159国会に提出しました。政府案は成立しましたが、今後も移入種規制の強化に取り組みます。


自然環境保護
 日本の自然公園は、国や自治体が所有する部分はごくわずかで、大部分が民間の所有となっており、十分な管理ができていません。こうした自然的価値の高い核心地域は、生物が自由に移動でき、遺伝子的な生物多様性が確保されるよう、孤立した形ではなく、「緑の回廊」になっていなければなりません。民主党は、日本に残された価値の高い自然を保護するため、こうした地域の指定を行なうとともに、その所有・管理を国・自治体ですすめ、取得については国の費用で計画的にすすめます。


里地・里山の保全
 人の手の入らないありのままの原生的自然を将来世代のために保全していくことは言うまでもありませんが、人が手を入れることによって維持されてきた里地や里山の自然が、過疎化の進展や廃棄物処分場の建設などにより急速に破壊されている現状にも対応が求められています。地域にある文化や伝統を活かし、地域の循環を基本とした地産地消の経済システムをつくることで、世界に誇ることのできる日本の里地・里山の自然を保全する必要があります。環境体験学習、グリーンツーリズム(自然や農業に親しむ観光)、都市と農村との交流などを導入しながら、ビオトープ(生物生息空間)・ネットワークとして整備をすすめるとともに、地域の経済・物質循環を推進します。


公害対策
 日本は、たび重なる公害による大気汚染・水質汚濁等を、様々な技術により解決、公害対策では世界一の技術立国となっています。その一方で、大気の窒素酸化物や湖沼における水質汚濁など、環境基準を上まわる状況が今なお続くなど、対策が進展していない部分も残されています。民主党は、大気・水・土壌などの環境基準を速やかに達成するため、排出基準の強化や規制対象の拡大を、経済的措置の導入などにより実施します。


環境税
 地球環境問題を解決するためには、地球環境がタダで無限に使うことのできる自由財であるという考え方を見直し、経済活動の地球環境に与える影響(外部費用)を内部化し、適正な市場経済における価格決定システムに組み入れる必要があります。民主党が提案している「資源循環・廃棄物管理法案」でも、埋立税・焼却税・デポジット制度などの経済的措置の導入を提案しています。また、地球温暖化問題を解決するためにも、二酸化炭素の排出に応じた経済的負担を課す「環境税」の導入が不可欠です。民主党では、炭素1トンあたり3,000円程度を課税することが現時点では適当であると考えています。


アセスメント・市民参加
 現在の環境アセスメント制度は事業アセスであり、計画自体の見直しや代替案の検討、累積的な環境影響への配慮をより効果的に行うためには、政策立案・計画段階から環境に対する影響を評価する「戦略的環境アセスメント」の導入が不可欠です。計画段階でのアセスメント導入により、市民参加・市民合意がより早期の段階で図られることから、環境と開発の調和を図ることが可能となります。民主党は、国レベルでの戦略アセスメント導入をめざします。


環境産業・技術等の振興
 再生資源を原材料として使用する製品、温暖化ガスの排出抑制に資する製品を製造する事業その他の地球環境保全に資する産業の振興を図ります。また、地球環境への負荷の低減に資する製品等の利用の促進を図ります。さらに、温室効果ガスの排出の抑制、ダイオキシン類等有害な物質の無害化や汚染の除去、廃棄物の減量や資源の再利用等に関する科学技術の振興を図ります。



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