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民主党政策集INDEX2009

環境

持続可能な経済社会を目指し、環境容量内での循環型社会システム構築に向け、積極的に取り組みます。また、従来の経済活動を環境の視点から質的に見直し、さらなる環境技術、省エネ技術、省資源・リサイクル技術等の開発・普及、環境保全を事業発展に結びつけるビジネスモデルの開発など、環境への取り組みを積極的に推進することにより、環境負荷の低減と環境配慮型経済発展につながる、いわゆる環境と経済が統合した社会の実現を目指します。

特に、美しい自然や生命を育む地球を将来の世代に引き継いでいくことは、いまを生きている私たちの責任です。環境問題を解決し、持続可能な経済社会をつくるために、環境意識の向上、市民参加、情報公開、良好な自然の保全と回復、公正で環境影響を内部化する市場構築、都市計画制度を含めた広範な制度の改革、NGOによる国際貢献の積極的な促進や支援などの施策を推進します。

地球温暖化対策基本法を制定し、2020年までに1990年比25%、長期的には2050年までのできるだけ早い時期に60%超の温室効果ガス排出量削減を実現します。

(1)中・長期目標の設定(2)国内排出量取引市場の創設(3)再生可能エネルギー導入の強力な推進(4)地球温暖化対策税の導入(5)省エネルギーの徹底(6)森林吸収源対策の推進(7)環境技術開発(8)環境外交の促進(9)脱フロンのさらなる推進(10)CO2の「見える化」の推進(11)都市過熱化防止――等の措置を講じます。これにより、地球環境・生態系の保全、新たな産業の創出、就業機会の拡大など環境と経済発展の両立を図ります。

キャップ&トレード方式による実効ある国内排出量取引市場を創設します。

また、地球温暖化対策税の導入を検討します。その際、地方財政に配慮しつつ、特定の産業に過度の負担とならないように留意した制度設計を行います。

地球温暖化対策への配慮ある消費行動を促すため、CO2の「見える化」(カーボン・ディスクロージャー)を推進します。その一環として、電気代やガス代等の請求書や領収証にCO2排出量等の記載を推進します。

エネルギー以外の商品の供給・販売に関しても、CO2排出に関する情報を通知する制度の導入を推進し、消費者の商品選択に利用できるようにします。

また、有価証券報告書等に温室効果ガス排出量及び地球温暖化に関わるリスクと対策を明示する措置を講じます。

再生エネルギーの利用促進により、エネルギー分野での新たな技術開発・産業育成をすすめ、安定した雇用を創出するため、再生可能エネルギーによる発電量の全量を一定期間、一定価格で買い取る固定価格買い取り制度を導入します。あわせて、スマートグリッド(効率的な電力網)等の技術開発・普及を促進するとともに、設備の設置費用に対する財政上の措置を拡充します。

コペンハーゲンで2009年12月に開催されるCOP15では、ポスト京都議定書に向けた新たな枠組みの構築が主要な議題となります。わが国は、エネルギー効率化の視点を踏まえつつ、米国、中国、インド等の主要排出国の参加を促すべく、気候変動の国際交渉におけるリーダーシップを発揮します。さらに、地球温暖化対策に資する技術移転を促進します。

また、政府開発援助(ODA)の環境分野への集中・特化など環境外交を展開し、主導的役割を果たします。同時に、酸性雨や黄砂など国境を越えた環境被害に対しても、日本の環境安全保障の観点から国際的な協力の下に対策を進めます。

フロン類は強力な温暖化物質であり、オゾン層破壊や地球温暖化の原因となるなど、その回収、破壊、代替物質への転換が重要になります。また、大気中での寿命も長いことから、一旦大気中に放出されると、地球環境に対して長期間大きな影響を与えることになります。

民主党がかねてから主張していたフロンの回収・破壊法が成立しましたが、OA機器などに用いられるダストブロワー(ごみ吹き飛ばしスプレー)や断熱材への使用規制が十分に行われていないなどの問題が残されています。

今後も環境負荷の少ないフロン代替物質への転換、使用規制などを進めます。

持続可能な経済社会を構築するためには、ライフスタイルの変革や意識改革が不可欠であり、家庭をはじめ、学校、地域、職場などあらゆる場と機会を通しての環境教育の推進が重要です。民主党主導で超党派による法律が成立しましたが、十分とはいえないことから、今後も環境教育のあり方について、国民的な議論を喚起し、幅広い検討を進めていきます。

また、エコツーリズム(自然や農業に親しむ観光)などを推進し、自然環境保全体制を整備するとともに、自然環境・生物多様性の重要性、希少性、経済性を学び、自然環境が損なわれる事態が生じないよう、意識の向上のための取り組みを進めます。

環境影響評価法(環境アセスメント法)は施行されて10年が経過し、その見直し時期にあります。

現行法では市民参加の機会が限られており、自治体ではそれを補填すべく条例で市民参加の機会を定めています。また、アセスの実施と評価を事業者自らが行う制度となっており、評価の客観性に疑問が持たれます。

このため、環境アセスメント法を改正し、対象事業の範囲の拡大・評価項目の追加、情報公開と市民参加の機会の拡充などを実現します。また、自治体による市民参加の機会の拡充を支援します。全事業に対する国レベルでの戦略的環境アセスメント制度(SEA)の導入をめざします。

環境アセスメント法の成立により、公共事業についても、ある程度の環境配慮がなされることとなったものの、未だに公共事業による自然破壊が進んでいます。また、従来行われた公共事業についても、環境への影響を検討し、環境復元措置等の対策を施さなければなりません。公共事業は国の事業を限定するとともに、ダムは一定期間その建設を凍結し、抜本的に見直しを行うべきです。また、ダムに頼らずに森林の保水力などによって治水を行う「みどりのダム構想」を具体化します。諫早湾干拓事業や吉野川河口堰改築事業、泡瀬干潟の干拓事業など環境負荷の大きい公共事業は、再評価による見直しや中止を徹底させます。

一方で、河川の再自然化や湿地の復元、ビオトープの整備など、環境再生のための公共事業を地域のNGOなどと協力しながら積極的に行い、循環と共生のための社会資本整備を推進します。

環境問題に関する科学的知見の集積を今まで以上に積極的に行うため、情報収集や国際協力などの予算を大幅に増額します。環境負荷の少ない科学技術を普及させるため、経済的措置等の導入による誘導策や財政支援策を積極的に行います。

民主党が主導して制定された「国等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する法律」(グリーン契約法)に基づき、国などが率先して、単に価格の優位性ばかりではなく、最善の環境性能を有する物品・サービスを提供する者と契約できるよう、契約制度の在り方について総合的に検討・見直しを進めます。

環境健康被害の回復・軽減策および被害防止対策の迅速な実施を図るため、「環境健康被害者等救済基本法」を制定します。その内容は、(1)被害者救済に関する基本施策の策定(2)原因究明・調査・研究を国などに義務づけ(3)認定基準の緩和(4)行政からの独立性を高め環境健康被害等基準策定等委員会の設置(5)訴訟関連支援制度(相談窓口の設置、専門家・海外知見等の紹介等を国などに義務づけ)の整備(6)救済給付制度(医療費、療養費、交通費等)の整備――等です。これによって、これまで解決できなかった被害者の多くが迅速に救済されることになります。

また、水俣病、アスベストによる被害などの個別的な対策が求められている環境健康被害については、個別立法による速やかな被害者救済と被害の拡大防止を図り、包括的な解決に向け全力で取り組みます。

民主党は171回通常国会に「水俣病被害の救済に関する特別措置法案」を提出しました。2004年10月の最高裁判決を尊重し、水俣病被害者の認定基準について主治医の判断を尊重すべきことも明記し、給付金支給額は300万円としました。救済内容は(1)一時金(2)医療費(3)療養手当の3本柱から成っています。被害の全容解明の実態調査、研究等も盛り込み、潜在患者に対しても必要な措置を講じる内容となっています。

別途法案を提出していた与党と協議を行い、与党案の地域指定等の解除に関する条項の削除、対象とする症状の拡大、チッソ分社化に対する歯止め措置等を勝ち取り、法案名から「最終」の文言を削り、法案の実態的な規定についても「最終解決」との文言から「最終」を削除し、単に「解決」と修正しました。

以上の経緯により、民主党が目指した内容がほぼ盛り込まれた「水俣病被害者の救済および水俣病問題の解決に関する特別措置法案」が衆議院環境委員長提案で成立しました。法案の厳正な執行を含め、今後とも水俣病被害者の全面的救済に努めていきます。

縦割り行政を排し、人の生命・健康と環境を守る観点に立った総合的な化学物質対策を進めます。化学物質の製造から廃棄までの全体を予防的取り組み方法に基づいて包括的に管理するための総合的な法制度の構築に向けて「化学物質政策基本法(仮称)」の制定を目指します。

ダイオキシン類が混入した食用油の摂取により、九州地方を中心に1968年に発生したカネミ油症事件について、民主党の法案提出が契機となって患者救済のための法律が2007年に成立しました。今後、ダイオキシン類による健康被害の全体像を国の責任で把握するとともに、医療の自己負担分の支援や健康管理手当、特別遺族給付金の支給等、現在もなお健康被害に苦しむ被害者の支援に取り組みます。

建築物に由来する化学物質被害を防止し、シックハウス被害者がこれ以上増加することを防ぐため(1)建築物完成後の居室内の有害化学物質濃度測定を義務化し、基準を超えた場合には改善を求める(2)大規模な公共建築物における有害化学物質の定期的な測定を義務づける――等を内容とする「シックハウス対策2法」の制定を目指します。

シックハウス症候群や化学物質過敏症など、化学物質による健康リスクを低減させるために、実態調査や発症メカニズムの解明など科学的知見を充実させます。被害者には、有効な治療体制の確立、都道府県ごとに長期滞在型療養施設を建設するなどの対策を進めます。

殺虫剤などによる健康被害の防止のため、(1)殺虫剤などの使い方や、人の健康や生活環境にとっての危険性を明記することを義務付ける(2)住宅地等で大量に使用する場合に守るべきルールを都道府県知事等が定める(3)安全な殺虫剤の研究開発をメーカーの努力義務とする――などを内容とする「殺虫剤規制2法」を制定します。

ノンアスベスト社会の実現のため、「石綿対策総合的推進法」を制定し、既存アスベストの把握・管理・除去・廃棄等、一貫した総合対策を実施します。

アスベスト(石綿)を含む製品および建築物等について全国調査と情報開示を行い、表示を義務付けます。有害性や飛散性、利用状況について優先順位付けをした上で、段階的・計画的な除去・廃棄等、およびそこに至る間の適切な管理を促進するとともに、飛散防止対策に一層取り組みます。関連する省庁・諸法令間の不整合を是正し、必要な場合には新たな法令対応を含めて隙間を埋めていきます。アスベスト含有廃棄物の処理方法について早急な調査を行い、規制を強化します。過去の法令や通達を精査し、行政責任を明確にします。被害者補償、健康管理、飛散防止、解体や廃棄に必要な財源確保のため、基金を創設します。また、アスベスト含有廃棄物の安価で安全な無害化技術の確立に向け、研究を促進します。

被害者の属性により救済内容に格差が生じない隙間のない救済を実現するため、縦割り行政を排し、情報公開、情報開示の促進、患者・家族をはじめとする関係者の参加を確保しながら、アスベスト対策を総合的に推進します。

具体的には、石綿被害者救済法による救済レベルを、労災保険給付と同レベルに引き上げます。アスベスト関連疾患に関する情報開示、悪性中皮腫の全数調査を行い中皮腫登録制度を発展させます。石綿肺などアスベスト関連疾患を救済制度の対象疾患に追加するなど、救済対象を広げ、質の高い診断と治療・研究を推進します。家族や周辺住民への影響については、無料健診など住民等に対する健康管理体制を確立します。アスベスト等に起因する業務災害については、近隣工場労働者、復帰前沖縄米軍基地での暴露も含め、時効期間が過ぎても請求できるようにします。健康管理手帳制度を改善し、当該企業が倒産等をしている場合は、国による健診など健康管理体制を確立します。

微小粒子状物質「PM2.5」の生体影響への懸念に加え、新たな公害の発生を未然に防ぐために、環境基準を早急に設定し、規制等の対策を強力に推進します。

また、自動車NOx・PM法に基づく対策地域を有する大都市圏での二酸化窒素濃度や浮遊粒子状物質(SPM)の環境基準が依然として未達成のままであることから、道路環境対策(交差点の立体化や踏切の改良等)、流入車対策(ロードプライシング制度の導入等)や排ガス削減対策(低公害車の導入促進等)など、大気環境改善のための諸対策を積極的に推進します。

さらに、大陸からの大気汚染物質の流入や窒素化合物(NOx)と揮発性有機化合物(VOC)の濃度比の変化などが関係していると言われる光化学オキシダント(Ox)濃度上昇に対応するためにも、越境大気汚染防止の国際ルール策定や、大気汚染の悪化が著しいと指摘される中国等に対する規制強化の働きかけなど、国際協力の拡充・強化を行います。

工場跡地などで化学物質による土壌汚染が見付かるケースが続いており、人の健康や生態系への影響が懸念されています。2003年に土壌汚染対策法が制定されましたが、対象範囲が狭いなどの限界が指摘されてきました。

これを踏まえ、民主党主導で修正成立した改正土壌汚染対策法の厳正な執行を監視しつつ、住民が安心できるよう生活環境や生態系に対する影響への対処、情報公開等、的確で確実な対応を進めます。

日本の水循環の状況を見ると、省庁縦割りの水管理によって、自然環境を活かした循環とはなっていません。現状では細分化され目的も異なる森林、河川、海岸等に関連する各法律を、水循環という観点から環境指向的な一つの法律として統合します。

その際には、住民参加と情報公開により、地域の自然的・文化的・社会的特性に応じて住民が森林や河川の問題に真剣に取り組むことのできるシステムを法律に組み込みます。

また、水不足が深刻な国々の貧困層に十分で安全な水が供給されるよう積極的に援助します。

省資源型の循環型社会への転換を実現し、廃棄物の不法投棄や不適正処理を防ぐため、法制度を抜本的に見直します。

具体的には、(1)環境への影響の未然防止を徹底するなどの廃棄物・リサイクル政策の原則の確立(2)製品製造者の廃棄製品引き取り対象品目の範囲拡大(3)情報公開による施策の透明化(4)一般廃棄物と産業廃棄物の区分の見直し(事業者が排出する廃棄物はすべて事業系廃棄物と整理するなど)(5)排出者責任の徹底(6)リサイクル名目の不適正処理の防止(7)計画的な省資源化・資源循環の推進(8)リサイクル率・回収率引上げが必要な製品の指定(9)リサイクル材の規格化による利用拡大(10)罰則強化等による廃棄物管理の徹底――などを図ります。

拡大生産者責任を重視するとともに、リサイクル費用の負担のあり方を幅広い関係者一体となって検討し、各リサイクル法での費用徴収時期を統一するなど、分かりやすい制度の構築を目指します。また、将来のリサイクル費用に充当するための引当金制度の創設など、製造事業者によるリサイクルを支援します。

家電については、(1)リサイクル対象家電とパソコンのリサイクル費用の徴収時期の統一(すべての製品について可能な限り購入時にリサイクル費用を支払う仕組みを検討)(2)リサイクル対象品目を拡大――等の見直しを進めます。

食品については、未だ廃棄処理されている生ゴミ等が相当量ある実態を勘案し、バイオマスの活用などによるリサイクルを推進し、全ての生ゴミがリサイクルされる社会を目指します。

容器包装については、リサイクルの推進を図ると同時に、環境負荷とコストの低減にも資するリユース(再使用)の推進を図る観点から、預託金を返却するデポジット制度に裏打ちされたリターナブル容器の普及促進などを積極的に推進します。

大量に廃棄されるハイテク製品(携帯電話・パソコンなど)の中には有用な希少金属(レアメタル)が含まれており、日本はレアメタルの資源大国とも言えます。廃ハイテク製品の国内回収システムの構築による不適正な海外流出の防止や回収率の向上、環境負荷が少なく安全かつ効率的な含有希少金属の抽出技術の開発など、レアメタルの再資源化に向けた取り組みを積極的に推進します。

「負の遺産」として遠ざけられがちな廃棄物の最終処分場について、適正かつきめ細かな管理・監視体制を構築し、人の健康が脅かされることのない、安全・安心な社会づくりを目指します。

そのために、(1)安定型最終処分場について、埋立て可能な安定5品目(廃プラスチック、金属くず、ガラス陶磁器くず、ゴムくず、がれき類)以外の混入を防ぐための監視・チェック体制の構築(2)維持管理積立金の算出法の見直し(状況の変化に応じた弾力的かつ的確な算出法を確立)と適正な管理の確保(3)最終処分場についての恒久的監視体制の構築(4)国または国の支援による有害物質無害化技術の研究開発――等を進めます。

不法投棄事案について、可能な限り早期に原状回復が得られるよう、必要な対策を積極的に推進し、その全面的な解決を目指します。

2013年3月末で失効してしまう「特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法」(産廃特措法)の適用期限を延長する法改正を行います。さらに、(1)産廃特措法に基づく国庫補助金(「三位一体改革」により廃止)の復活(2)国(国の地方機関を含む)と都道府県等との連携協力関係の強化促進(3)原状回復(支障の除去等)関連技術の研究開発及び応用実証試験――等を積極的に推進します。

漂流・漂着ゴミ対策として、(1)漂流・漂着ゴミの迅速かつ適正な処理(回収・運搬・処分)の推進に必要な国の財政支援措置を充実させ、特に離島市町村への支援を拡充(2)海岸管理者と市町村の処理責任の所在や分担について現行法を整理し、縦割り行政を是正(3)農林水産省・国土交通省所管の災害関連緊急大規模漂着流木等処理対策事業の採択基準(漂着量が基準)を緩和(4)災害等廃棄物処理事業費補助金の対象地域を拡充(5)漂流・漂着ゴミ削減のための国際協力体制を構築(6)国内の陸域や沿岸域における発生源対策を推進――といった様々な観点からの取り組みを総合的に推進するとともに、地域の実情に応じた実効ある対策を積極的に推進します。

離島の廃棄物問題は、離島ならではの特殊性から特に厳しい状況に置かれています。離島の状況を踏まえ、島の振興策一辺倒ではなく島の環境の保全とともに観光の振興にも資する対策として、(1)廃棄物集積ヤードから港湾までの陸上搬送コストおよび海上搬出コスト問題への対応(2)港湾における廃棄物仮置ヤードの整備(3)漂流・漂着ゴミ対策の推進(4)不適正処理(不法投棄など)の恐れのある島外廃棄物の流入未然防止体制の構築(5)斃死(へいし)魚の処理対策――等を推進します。

民主党主導で超党派の議員立法により成立した生物多様性基本法の目的を達成するために、まだ生物多様性の確保に関わる改正が行われていない「種の保存法」の改正、外来生物種規制法の改正、野生生物の生息地の保全と農林水産業被害対策のための人材育成や技術開発に必要な措置等を講じます。また、戦略的環境アセスメント(SEA)の義務化、教育等の充実、普及啓発や広報、省庁間の連携強化に取り組みます。

豊かな生態系を育む自然環境を国際的に保護するための基金等への拠出を推進し、NGOと協力しながら国際的な調査研究を積極的に支援します。特に、残された貴重な湿地を保全し、失われた湿地を回復するために、湿地保全法を制定します。

2010年に生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が日本で開催されることを踏まえ、ホスト国としてふさわしい施策の展開に取り組みます。

近年、クマの異常出没が急増し、それに伴う人的被害や農作物被害などが深刻化しています。かつてヒトとクマが共生し得た時代が存在した事実を想起し、(1)生息地管理(2)中山間地域の活性化(3)被害防除を3本柱として、ヒトの安全確保と農作物被害等の防止のための措置を確実に講じながら、可能な限りの生態系の再生・回復に取り組み、クマ被害の抜本的解決を目指します。具体的には、個体の適正管理のための継続的かつ科学的調査・研究の実施、クマ遭遇の未然回避、クマの追い払いなどに効果が期待できるベアドッグの導入などを進めます。

自然保護地域における管理を様々な主体によって行い、その取り組みを科学的に評価し、フィードバックできる制度を確立します。また、残された価値の高い自然を保護するため、こうした地域の指定を行うとともに、その所有・管理を国・自治体で進め、取得については国の費用で計画的に進めます。各地で行われているナショナル・トラスト運動等の民間の取り組みも積極的に支援します。

改正された自然公園法と自然環境保全法の厳正な執行を監視し、豊かな自然環境の保護を図ることにより、生物多様性の保全に向けた取り組みを一層進めます。

国内の生態系を破壊する外国からの移入種を規制するため、外来生物種規制法に加え、外来生物の生態、被害、利用に係る幅広い情報の収集・整備を行うとともに、生態系等に係る影響を評価する手法を確立します。また、効果的・効率的な防除の実施に係る手法・体制の構築と普及啓発を推進します。予防原則に基づいた移入種規制の強化、非意図的導入(他のものに混ざったりして国内に入ってくること)の実態把握と対応に取り組みます。

動物愛護の徹底に向けた取り組みを一層進めます。特に(1)動物実験の3R(代替法、数の削減、苦痛の軽減)の明文化(2)動物虐待に対する罰金増額(3)動物由来感染症の予防と生態に応じた飼養の努力義務化(4)移動販売業・理美容業(ペットサロン)の動物取扱業への追加等を進めます。

また、不幸にも捨てられた犬猫が殺処分されないよう、環境整備として犬猫の保護期間の延長、保護施設の拡大、NPO等への譲渡の推進などに尽力します。

循環と共生を一人ひとりの市民が実践するため、地域の歴史的な景観や環境が保全され、その地域の特性に応じて環境と調和した循環型のまちづくりがなされなければなりません。環境負荷の少ない持続可能な社会を目指すための原則を明記するとともに、情報公開と市民参加を徹底した地域主権型のまちづくりのシステムを、都市計画法や建築基準法を抜本改正することによって構築します。

また、省エネルギーのための屋上緑化と美しい都市景観をつくる「都市緑化法(仮称)」の検討を進めます。

地域にある文化や伝統を活かし、地域による自立的管理が可能となる地産地消の経済システムをつくることで、世界に誇ることのできる日本の里地・里山の自然を保全する必要があります。

環境体験学習、エコツーリズム、国産材の利用など消費面を含めた農山村の活性化対策等を導入しながら、ビオトープ(生物生息空間)ネットワークとして整備を進めるとともに、地域の経済・物質循環を推進し、地域やNGO等の活動により維持されてきた里地・里山特有の自然環境を積極的に評価し、支援する仕組みを確立します。

また、日本の農業を質・量ともに再興し、有機農業の推進などによって育まれる命あふれる健康な大地を取り戻さなければなりません。農薬や化学肥料の使用量を減らし、里地・里山を活用した循環的で地域の生態系(生物多様性)を保全できるような農業を推進します。

自然状態を保持した海岸は、生物の繁殖・生息の場として、また漁業資源や気候変動の影響の緩和の観点から重要であるにもかかわらず、都市化や工業用地の確保のために、人工海岸が急速に増加しました。現在は少しずつ減少していますが、それでも日本の海岸のおよそ33%が人工海岸となっています。いったん人工海岸としてしまうと、もとの生態系に戻すことは不可能に近く、これ以上の人工海岸化は厳に慎むべきです。特に、干潟と珊瑚礁については、その周辺も含めた保全を図り、日本に残された貴重な自然・生態系を保全します。

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この政策集は、民主党の政策議論の到達点を2009年7月17日現在でまとめたものです。

民主党政策集 INDEX2009
発行日 2009年7月23日
発行 民主党