寄附の制限等
政治資金の収支の公開等
1) 収支報告
政治団体の会計責任者は、毎年12月31日現在で、当該政治団体に係るすべての収入、支出及び資産等の状況を記載した収支報告書を翌年3月末日(1月から3月までの間に総選挙等があった場合は、4月末日)までに、都道府県の選挙管理委員会又は総務大臣に提出しなければなりません。
[主な報告事項]
- 1. 寄附
- 年間5万円を超えるものについて、寄附者の氏名等
- 2. 政治資金パーティーの対価に係る収入
- 一の政治資金パーティーごとに20万円を超えるものについて、支払者の氏名等
- 3. 支出
- 政治活動費のうち一件当たり5万円以上のものについて、支出を受けた者の氏名等(収支報告書の提出に当たり、領収書等の写しの添付が必要)
- 4. 資産等
- 土地、建物、建物の所有のための地上権又は土地の賃借権、100万円超の動産、預貯金(普通預金等を除く。)、金銭信託、有価証券、出資による権利、100万円超の貸付金、100万円超の敷金、100万円超の施設の利用権及び100万円超の借入金について、その内容
2) 収支報告書の公表及び閲覧
- 1. 公表
- 政治団体の収支報告書の要旨は、官報又は都道府県の公報により、原則として9月30日までに公表されます。
- 2. 閲覧
- 政治団体の収支報告書は、総務省又は都道府県選挙管理委員会において、収支報告書の要旨が公表された日から3年間、閲覧に供されます。
寄附の制限
1) 会社等のする寄附の制限
政治団体を除く会社・労働組合等の団体は、政党・政党の支部(1以上の市区町村の区域又は選挙区の区域を単位として設けられる支部に限る。)及び政治資金団体以外の者に対しては、政治活動に関する寄附をしてはいけません。 また、これに違反する寄附をすることを勧誘し又は要求してはいけません。
2) 公職の候補者の政治活動に関する寄附の制限
何人も、公職の候補者の政治活動(選挙運動を除く。)に関して金銭及び有価証券による寄附をしてはいけません(ただし、政党がする寄附及び政治団体に対する寄附は認められています。)。
3) 寄附の量的制限
寄附の量的制限とは、政治活動に関して一の寄附者が年間に寄附することのできる金額についての制限で、寄附の総額の制限(総枠制限)と同一の受領者に対する寄附額の制限(個別制限)があります(図1参照)。なお、金銭等以外の財産上の利益についても時価に見積もった金額により制限の対象となること、制限の対象となる政治団体については本部・支部を通じて一体であることに注意が必要です。
- [総枠制限] 一の寄附者が出来る寄附の年間限度額
-
- 政党・政治資金団体に対するもの
- 個人:2,000万円まで
- 会社、労働組合等:750万円~1億円まで (資本金額、組合員数等により異なる)
- その他の政治団体、公職の候補者に対するもの
- 個人:1,000万円まで
- [個別制限] 一の寄附者から同一の受領者への寄附の年間限度額
- 個人がその他の政治団体及び公職の候補者に対してする寄附は、150万円まで
- その他の政治団体間でなされる寄附は、5,000万円まで
4) 寄附の質的制限
寄附の質的制限とは、特定の者からの寄附等に関する規制で、下記の寄附が禁止されています。
- (1)補助金等を受けている会社その他の法人がする寄附
-
- 国から補助金、負担金、利子補給金、その他の給付金(試験研究、調査又は災害復旧に係るものその他性質上利益を伴わないもの及び政党交付金を除く。)の交付の決定を受けた会社その他の法人は、その交付の決定の通知を受けた日から1年を経過する日までの間、政治活動に関する寄附をすることはできません。
- 国から資本金、基本金その他これらに準ずるものの全部又は一部の出資又は拠出を受けている会社その他の法人は、政治活動に関する寄附をすることはできません。
- 地方公共団体から補助金、負担金、利子補給金、その他の給付金(試験研究、調査又は災害復旧に係るものその他性質上利益を伴わないものを除く。)の交付の決定を受けた会社その他の法人は、その交付の決定の通知を受けた日から1年を経過する日までの間、その地方公共団体の議会の議員若しくは長に係る公職の候補者、これらの者に係る資金管理団体又はこれらの者を推薦し、支持し、若しくはこれに反対する政治団体に対して、政治活動に関する寄附をすることはできません。
- 地方公共団体から資本金、基本金その他これらに準ずるものの全部又は一部の出資又は拠出を受けている会社その他の法人は、その地方公共団体の議会の議員若しくは長に係る公職の候補者、これらの者に係る資金管理団体又はこれらの者を推薦し、支持し、若しくはこれに反対する政治団体に対して、政治活動に関する寄附をすることはできません。
- (2)赤字会社がする寄附
- 3事業年度以上にわたり継続して欠損を生じている会社は、その欠損が埋められるまでの間、政治活動に関する寄附をすることはできません。
- (3)外国人・外国法人等からの寄附
- 外国人、外国法人又はその主たる構成員が外国人若しくは外国法人である団体その他の組織から政治活動に関する寄附を受けることはできません(主たる構成員が外国人又は外国法人である日本法人のうち上場会社であってその発行する株式が証券取引所において5年以上継続して上場されている者等からの寄附を除く。)。
- (4)他人名義・匿名による寄附
- 本人以外の名義又は匿名により政治活動に関する寄附をすることはできません(街頭又は一般に公開される演説会若しくは集会の会場において政党又は政治資金団体に対してする寄附でその金額が1,000円以下のものを除く。)。
なお、これらの質的制限に該当しない場合であっても、政治団体を除く会社・労働組合等の団体は、政党及び政治資金団体以外の者に対しては、会社等のする寄附の制限により、政治活動に関する寄附をすることはできません。
5) その他公正な流れを担保するための措置
- [寄附のあっせん及び関与の制限]
-
政治活動に関する寄附は、寄附者の政治活動の一環としてその自発的意思に基づいて行われるべきであり、不当にその意思を拘束し、寄附を強制することは寄附者の政治的自由の侵害となることから、次の規制があります。
- 威迫等により寄附者の意思を不当に拘束するような方法による寄附のあっせんの禁止
- 寄附者の意思に反するチェック・オフによる寄附のあっせんの禁止
- 寄附への公務員の関与制限
- [政治資金団体に係る口座振込み等の義務付け]
- 政治資金団体に対する寄附及び政治資金団体が行う寄附(金額が1,000円以下のもの及び不動産の譲渡又は貸付け(地上権の設定を含む。)によるものを除く。)については、口座への振込み又は振替によらなければならないこととされています。
罰則等
1) 主な罰則
政治資金規正法に違反した場合の主な罰則には、下記のものがあります。
2) 公民権停止
政治資金規正法に定める罪を犯した者は、公職選挙法に関する罪を犯した者と同様、下記の期間、公民権(公職選挙法に規定する選挙権及び被選挙権)が停止されます。
- 1. 禁錮刑に処せられた者
- 裁判が確定した日から刑の執行を終わるまでの間とその後の5年間
- 2. 罰金刑に処せられた者
- 裁判が確定した日から5年間
- 3. これらの刑の執行猶予の言い渡しを受けた者
- 裁判が確定した日から刑の執行を受けることがなくなるまでの間
なお、政治資金規正法違反によりその公民権を停止される場合においては、あわせて選挙運動も禁止されます。
3) 没収、追徴
寄附の量的、質的制限等違反による寄附に係る財産上の利益については、没収又は追徴されます。
また、匿名による寄附及び政治資金団体に係る寄附で振込み等によらないでなされたものについては、国庫に帰属し、その保管者等が国庫に納付することとなります。