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国会レポート2001
contents contents |目次|序文|資料1|資料2|資料3|
第2章 ネクスト・キャビネットの活動


5.外交・安全保障部門


外交・安全保障上の諸課題
 急逝した小渕元首相の後継となった森前首相は、北朝鮮に拉致された人達の救援に関する不用意な第三国発見発言、功を焦った北朝鮮関係者への親書疑惑、「えひめ丸」事件への無神経な対処など、およそ外交の常識に反する愚行を重ねた。さらに日露交渉においては、安易な二島返還論と思しき案が政府と離れた所で喧伝されるなど、日本外交の信頼を損なうような事態を招いた。
 森前首相の失脚を受けて小泉首相が誕生したものの、組閣の目玉の一人であった田中外相は、台湾の李登輝元総統のビザ発給問題、北朝鮮の金正日総書記の長男とみられる人物の不法入国問題、アーミテージ米国務副長官との会談の一方的キャンセル等、大臣としての資質を不安視させる言動が見られる。外交機密費の不正使用をただす意気込みは評価すべきだが、外務委員会で議員の発言を制限しようとするなど、立法府に露骨に介入する言動は遺憾であった。
 小泉首相に関しては、集団的自衛権に関する考え方や靖国神社への公式参拝について、どの程度、具体案や見識をもって発言しているか判断がつかない場面も見られる。特に、ミサイル防衛問題への取組み、日本が議長国となった京都議定書の批准問題、沖縄普天間基地移設問題や婦女暴行容疑の米軍兵士の引渡問題(日米地位協定の改定問題)、歴史教科書検定を巡る中国・韓国との関係、停滞したままの日朝国交正常化交渉、ABM条約をめぐる米ロ関係、四島一括か二島先行返還論かで揺れた北方領土返還交渉、組織ぐるみの疑いが濃厚な外交機密費問題等、重要な課題が山積しているが、連立与党は失態を重ね、何ら実質的な成果を上げていない。民主党は、これらの諸課題の解決に向け、全力を傾注するとともに、特に以下の課題については、具体的な政策を提示し、政府に対し、その実現を迫るものである。

PKOの見直し
 PKOは既に国民の間にも理解と支持が定着しており、国際的な平和の維持に対する積極的な貢献を行う基本的な政策と位置づけ、精力的に検討を行った。  中間報告として、PKO5原則を見直し、凍結されているPKF(いわゆる「平和維持隊」)の活動を解除して、主任務に警護任務を認めるとともに、任務の実態に合わせた武器使用基準の見直しやPKO訓練センターの設置などの方向性を打ち出した。現行法制との整合性を図った上で早急に結論を得て民主党の方針を固めていく。

緊急事態法制
 緊急事態における自衛隊の活動ルールに対して一定の法的枠組みを提示することにより、自衛隊が超法規的措置をとることのないように、また国民の基本的人権を守ることを目的として精力的に検討を重ねた。
 特に、「緊急事態基本法」(仮称)については、緊急事態において基本的人権をどう確保すべきかとの観点から議論が進められている。

米軍基地問題
 沖縄に米軍基地が集中し多くの負担と犠牲を強いている状況を直視し、国内外への基地の移設を含め、普天間基地の移転に伴う「15年問題」の早期解決など在日米軍基地の整理・縮小問題に取り組んだ。米軍兵士による女性暴行事件では、政府が容疑者の起訴前の引渡を地位協定の運用改善に委ねていたことが容疑者の速やかな引渡を遅らせたものであり、政府及び米国大使館へ容疑者の起訴前引渡を要請した。
 民主党は既に2000年5月に「日米地位協定の見直し案」を策定し政府へ申し入れを行っており、その中で起訴前の引渡を主張していたが、引き続き、刑事手続きの改善や環境保全条項の新設など、日米地位協定の改定を求めていく。

えひめ丸衝突・沈没事故
 米原子力潜水艦「グリーンビル」が、ハワイ沖で宇和島水産高校実習船「えひめ丸」に衝突・沈没させる事故が発生した。民主党は、いち早く衝突沈没事故対策本部を設置したが、当時の森首相はゴルフ場でプレーを続行するなど、政府の危機管理体制は致命的であり、国民の不信感・苛立ちは頂点に達し、日米関係への影響も懸念される事態となった。
 民主党は、かかる事態を憂慮し、2月16日から23日まで対策本部・調査団をハワイ及びワシントンに派遣し積極的な活動を行った結果、新たな事実の判明、米政府の特使派遣決定などの成果をあげた。米側は「えひめ丸」の引揚げを行うことを決定したが、今後とも、両国政府の対応を注視するとともに、被害に遭われた方々の補償交渉、裁判に対して積極的に支援していく。

ODA(政府開発援助)対策
 既に世界最大規模となっているODAは、極めて重要な外交手段であるが、一方、厳しい財政状況の中で、援助先の選定、規模、方法、費用対効果等について、様々な疑問が投げかけられている。民主党は、ハードからソフトへの転換、透明性の向上、民間との連携強化等を柱にする諸改革の方向性を打ち出しているが、より個別具体的な改革案の策定を今後進めていく。

外交官・自衛官の綱紀立て直し
 外交機密費の問題は、内閣機密費(官房報償費)の在りようも含めて大きな問題となった。
 特に外交機密費の問題については、起訴された外交官の犯罪事実だけでなく、外交官の私的な飲食費や機密とは言えない費目に流用される等、機密費の本来の制度趣旨を歪める運用や外務省の組織的な関わりが指摘されたのは、外交上極めて憂慮すべき事態であった。
 民主党は国会対策委員会の下に外交機密費疑惑解明プロジェクトチームを設置し、実態に関する資料収集、役所への説明要求、独自のルートを通じた濃密な調査等を行った。その成果に基づき委員会等で追及するとともに、内閣部門の下で機密費流用防止法案を策定・提出した。
 また、自衛官の薬物使用に係る事件や射撃に関する事故も続発するなど、自衛官の綱紀粛清や事件・事故の再発防止も喫緊の課題である。



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