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国会レポート2001
contents contents |目次|序文|資料1|資料2|資料3|
第2章 ネクスト・キャビネットの活動


7.文部科学部門


 文部科学部門は、特に教育改革を中心に諸課題に取り組んだ。151回通常国会では、党の教育基本問題特別調査会が「中間報告」を発表、また、政府提出の学級編成及び教職員定数標準法改正案に対してはいわゆる30人以下学級法案を対案として提出し、国会論戦に臨んだ。さらに、内外で大きな議論となった教科書問題では党の見解を取りまとめた。
 科学技術関係では、150回臨時国会で政府提出のヒトクローン規制法案に対し民主党の対案を提出、修正をかち取った。
 大阪・池田市で起きた痛ましい児童殺傷事件では、党に対策本部を設置し、緊急要請を行った。

教育基本問題特別調査会報告
 2000年3月に発足した教育基本問題調査会は、教育基本法を含め、教育の基本的な問題、課題について精力的に勉強会を開催し、議論を深めた。20回以上の会議を経て2001年2月に「21世紀の教育のあり方について(中間報告)」をとりまとめた。
 この報告書では、冒頭で「『全体主義的』教育基本法の改悪に反対」との立場を明記し、21世紀型の教育を実現するには、社会全体にわたる幅広い視点と、教育を日本社会、国際社会の観点から位置付ける総合的教育法体系が必要であるとした。教育改革の視点として(1)教育の多様性と地方分権の徹底、(2)人権尊重社会の実現、(3)生涯学習の理念・体制の確立、(4)家庭教育の重視、(5)文化の尊重とアイデンティティの確立、(6)環境教育の重要性、(7)科学の発展と高等教育をあげ、この視点にたって包括的に教育改革を推進することを提起した。教育基本法については、これまでの大きな役割を評価し、さらなる具現化、発展を目指す旨を確認した。
 2001年5月には、ホームページ上でパブリックコメントを実施し、多くの人から意見が寄せられた。今後も、調査会で骨太の教育議論を続けていく。

教科書問題への取り組み
 一部の歴史教科書の検定問題に端を発し国内外に議論を呼んだ教科書問題について、民主党は教科書問題検討ワーキングチームを設置し、教科書制度のあり方について検討を行った。
 議論にあたり、ワーキングチーム内に4つの分科会(検定問題、採択問題、歴史教科書、教科書国際比較)を設置、それぞれの課題について徹底議論を行った。その結果、教科書に関わる制度改革全般について政策提言(中間報告)をとりまとめ、発表した。
 そのなかで、検定については、教育の地方分権等の環境が整うまでは当面必要だが、将来的には検定制度をなくし自由発行への移行を展望している。また、採択については、現在の広域採択から市町村単位、さらには学校単位へとより小さい単位での採択に移行すべきとしている。
 歴史教科書については、執筆者に広い自由が認められるべきだが、日本は先の戦争によって国民、近隣諸国に多大な犠牲と苦痛を与えたことを反省しなければならないことは、民主党の外交政策でも述べていることから、「教科書における歴史の記述は、当然ながら国としてのこの歴史認識の範囲内であるべきであり、これに反するような歴史の教育を行うべきではない」としている。また、各国の教科書研究のために国会図書館内に諸外国の教科書調査室(仮称)を設置すること、また、アジア諸国と共に歴史の共同検討の場を設けることなどを提案している。
 その他、教科書の多様化と費用負担の問題や、よりよい教育を行うための教員研修や再教育のプログラム見直し、教員免許の更新制の検討など幅広い提言を行っている。
 民主党は、今後これらの課題について、具体的に政策を立案していく考えである。

池田小学校事件への対応
 2001年6月、大阪・池田市で想像を絶するむごい児童殺傷事件が起きた。
 民主党は、事件直後に「大阪教育大学教育学部附属池田小学校児童殺傷事件緊急対策本部」を設置、現地視察や関係者からのヒアリング等を通じて明らかになった課題について、文部科学大臣へ緊急要請を行った。その概要は、(1)児童、家族、教職員への心のケア、(2)学校の安全確保策の検討確立、(3)対策のための充分な予算措置などである。
 今後、さらに調査研究を続け、安全な教育現場の確保や学校におけるカウンセリング体制の充実等について政策提案を行っていく。



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