第2章 ネクスト・キャビネットの活動
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1 予算 |
2001年度第1次補正予算審議への取り組み
2001年11月9日、153回臨時国会に2001年度補正予算(第1号)が提出された。同補正予算は、2001年10月26日に政府が取りまとめた「改革先行プログラム」をベースとしたものであるが、当初予算の公共事業費を削減し組み替えるといった歳出構造改革にまで踏み込むことなく、結局は景気対策に名を借りた従来型の公共事業中心のバラマキであること、中心的課題である雇用対策に対して、規模が全く不十分であり、かつ効果の見込める内容とは言えないこと、などの理由から民主党は反対した。
2001年度第2次補正予算審議への取り組み
2002年1月21日、154回通常国会に2001年度補正予算(第2号)が提出された。同補正予算は、2001年12月14日に政府が取りまとめた「緊急対応プログラム」をベースとし、「改革推進」を看板とするものであるが、その内容は今までと変わらないバラマキの繰り返しであった。また、ずさんな資金管理の結果、税金の補填を招いてきた「NTT株式売払収入無利子貸付事業」が同補正予算では利用されている。ゆえに民主党は第2次補正予算に反対した。
2002年度予算審議への取り組み
2002年度予算は、総額81.2兆円、前年度当初予算比1.7%減、国債発行額は30兆円など、表面的には「改革断行予算」のように取り繕われていた。しかし、その内容は、(1)国債発行30兆円枠を維持するために各種の特別会計で「隠れ借金」を行っている、(2)公共事業関係予算は10%減としていながら2001年度第2次補正予算でその削減分の埋め合わせをしている、また必要性に疑問のある川辺川ダムや諫早湾干拓事業に予算をつけるなど旧態依然たるバラマキ予算の体質は不変である、(3)雇用・社会保障関係は相変わらず質量ともに不十分であり、特に医療関係予算に関しては、抜本改革を先送りしたまま国民に負担を押し付ける形となっているなど、国民を欺く「粉飾まやかし予算」となっていた。
そこで民主党は、厳しい経済・雇用状況を深刻に受け止め、景気回復を実現し、国民の安心を高めるための予算組替要求を取りまとめた。内容は公共事業見直し、特殊法人向け支出の見直しなどで歳出を約2.2兆円削減する一方で、雇用対策、社会保障、教育等の分野で歳出の増額を行い、同時にローン利子控除創設、NPO支援税制の拡充を行うというものであった。
さらにこの民主党の予算組替要求を土台として、野党4党間でも協議を重ね、共同組替要求を行うこととなり、以下を内容とする予算組替動議を、3月6日に衆議院に提出した。また同日、鈴木宗男衆議院議員に関連して予算執行に大きな疑惑が発覚した「支援委員会」関係の予算を削除する予算修正動議を、野党4党共同で衆議院に提出した。
野党4党共同要求予算組替動議の概要
(1)国民の安心を確保し、景気の速やかな回復を図るために歳出の増額を図るべき項目
- 雇用対策(追加額:5,100億円)
- 雇用保険失業給付制度の拡充
- 就職支援体制の強化
- 労働行政の充実
- 社会保障(追加額:3,500億円)
- 多様な子育て支援対策の拡充
- 介護サービスの基盤拡充
- 医療の質向上・医療提供体制の充実
- 障害者対策等の推進
- 教育関係(追加額:1,400億円)
- 30人学級早期実現に向けた条件整備等
- 日本育英事業無利子貸付貸与枠の拡充等
- 老朽校舎の改修
- BSE対策(追加額:2,300億円)
- 中小企業対策(追加額:1,200億円)
- 食料・農業対策(追加額:300億円)
- 食の安全と循環型農業の振興等
- 雇用拡大と環境保全を両立させる森林整備の拡充、山村定住対策の促進等
- 環境対策の推進 (追加額:300億円)
- 温暖化対策・エネルギー・公害対策等
- 住環境整備
- 交通対策 (追加額:200億円)
- その他 (追加額:200億円)
(2)予算を伴わない(あるいは予算執行上の工夫による)景気・雇用対策の推進等
(3)従来の事業の抜本的見直し等により歳出を削減すべき項目
- 公共事業関係(削減額:1兆3,000億円)
- 内閣官房報償費及び外務省報償費等の見直し
- 行政経費(庁費等)の削減(削減額:500億円)
- 特殊法人向け歳出の見直し(削減額:1,000億円)
(4)予算の粉飾を改め、国民に正しい情報を提供するための見直し
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