162回通常国会に政府が提出した「防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案」は、(1)自衛隊定数及び即応予備自衛官員数の削減、(2)自衛隊の統合運用体制整備のための「統合幕僚監部」の新設、(3)情報本部の長官直轄化、(4)陸自第14旅団の新編、(5)弾道ミサイル等の飛来への対応、(6)防衛庁職員給与改訂を定めていた。
政府は拙速な審議で国会軽視
上記(2)、(3)、(5)は、 2006年度以降の運用を前提としており、予算関連法案として拙速に決定する必要がない内容である。しかも、従来の防衛政策からの重要な政策変更を伴っていた。このような新たな政策体系を急いで創設しようという政府・与党の姿勢は、国会審議を事実上骨抜きにするものであり、民主党は法案を個別に審査するよう主張した。
弾道ミサイル防衛への対応
特に弾道ミサイル防衛は、 2004年12月に閣議決定された「防衛大綱・中期防」において駆け込み的に言及されている。民主党はその必要性は認めつつも、費用対効果等の観点や、シビリアン・コントロールを徹底する見地から、修正案を準備し、与党と協議を行った。
しかし、発射命令の有効期間の定め、国会の関与、国民への公表、迎撃の原則等が政府答弁では極めて曖昧だった。そこで民主党は、シビリアン・コントロールを徹底する修正案を提出したが、否決された。民主党の主張が盛り込まれた附帯決議には賛成し、政府案には反対した。 |
日中間の排他的経済水域(EEZ)において、海洋権益を巡る論争が生じており、両国間の懸案事項となっている。国連海洋法条約を受けた「EEZ・大陸棚法」では、EEZの範囲について、(1)原則として 200海里、(2)そこを超える部分については中間線、(3)中間線に代わる合意線があるときはその合意線まで、と規定しているが、同条約に基づいた国内法は依然、一部未整備のまま放置されてきた。
そこで、民主党はこのEEZ法の規定を前提として、政府にさきがけて、下記 2法案を策定し、163回特別国会に提出した(継続審議)。
沿岸国による資源探査の権利を確保
国連海洋法条約においては、海洋の科学的調査及び資源探査等について沿岸国の権利を認めているが、日本ではこれまで、生物資源を除き国内法が整備されてこなかった。
民主党の「排他的経済水域等における天然資源の探査及び海洋の科学的調査に関する主権的権利その他の権利の行使に関する法律案」は、違反者に対する法的措置を定めるものである。
海底資源開発推進本部の設置を提起
また、民主党の「海底資源開発推進法案」は、排他的経済水域等における鉱物資源開発において、国の主体的・戦略的対応が必要との観点から、内閣総理大臣を本部長とする海底資源開発推進本部を設置する等、海底資源の開発に関する施策を総合的かつ効果的に推進することを目的とするものである。 |