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国会レポート2006

第二章 『次の内閣』の活動

1内閣
焦点課題・焦点法案


公益法人制度改革関連法
官の影響力の排除へ
 
探偵業法
民主党の修正要求を取り入れて成立

登記による準則主義へ

 社団法人・財団法人などの公益法人については、その設立にあたり、(1)法人設立が簡便でない、(2)省庁の縦割りによる弊害がある、(3)公益性の認定が不明確である、等の問題点が指摘されていた。また主務官庁の自由裁量のもと、官僚の天下りや不明朗経理の温床になっているなどの強い批判を寄せられていた。

 そこで政府は、これら問題の多い公益法人の設立について、主務官庁による認可主義から、登記による準則主義へ改めることを主な内容とする「公益法人制度改革関連法案」を、164回通常国会に提出した。同法案は行政改革特別委員会にて行政改革推進法案と一括して審議に付された。

より透明な制度にむけて

 政府案は、明治以来、民法34条にもとづき続いてきた公益法人制度を抜本的に改めるものであり、主務官庁による裁量を一定程度排除するなど評価できる面もあることから、民主党はこれに賛成し、法案は成立した。しかしながら新制度の最大の要諦である税制については、今後政府税調等にて議論のうえ決定することとされており、まだ不明確な点が多い。民主党は今後もこれらの点について、注意深く見守っていく。

悪質な探偵業者をめぐるトラブルが多発

 悪質な探偵業者や興信所をめぐるトラブルが多発している。これら調査業の営業に関しては、盗聴・盗撮等の違法な手段による調査や、業務上知りえた秘密を利用しての恐喝などの犯罪が発生しており、業界の浄化を求める声が上がっていた。そのため与党から議員立法として、探偵業者の適正な業務のため規定を整備する「探偵業の業務の適正化に関する法律案」が提出されていた。

民主党の要求により条文修正

 与党より提出された法案は、身元調査など人権侵害のおそれをはらむ業務につき何ら規制されていないことや、探偵業務の定義に報道機関が含まれる可能性があるため報道の統制につながるのではないか、等の問題があった。そのため当初の与党原案に対し、(1)個人の権利利益の保護・違法な差別的取り扱いの禁止を明示すること、(2)探偵業の定義から報道機関を除外すること、等の条文修正を要求したところ、これが受け入れられたので、衆議院内閣委員長提案として法案に賛成することとし、法案は成立した。

 しかしながら、すべての探偵業者が届出に応じるかなど、残された課題も多い。法施行後もこれらの点を注意深く見守っていく。

活動の経過

 内閣部門では、衆参両院の内閣委員会にかかる所管事項(内閣府・内閣官房・国家公安委員会提出の法案など)を扱うほか、災害対策特別委員会や、沖縄及び北方問題に関する特別委員会など、その所掌は広い範囲に及んでいる。そのため内閣部門会議では、これらの諸問題に迅速かつ柔軟に対応するため、必要に応じ各種の作業チームを設置するとともに、政策課題ごとに担当主査議員をおく等の対応を行ってきた。

災害政策・危機管理対応の確立にむけて

愛知県にて、被災避難生活・体験訓練を実施 わが国は、急峻な地形・厳しい気候等の諸要因により災害を受けやすく、全国各地で毎年のように風水害・地震・火山災害等の被害が生じている。これらの災害が発生する度に、多くの人々が自宅を離れ、避難所での生活を余儀なくされている。

 内閣部門会議では、自然災害発生時における避難生活のあり方を検証するため、2005年12月8日・9日の2日間、「被災避難生活・体験訓練」を愛知県の市民公園にて実施した。発災時の現実にできるだけ近い状況を設定し、徒歩避難や災害時要援護者の搬送、炊出し訓練、テント宿泊等などの実体験を行うことで、応急時における行政の不備や、被災者のニーズを身をもって体感した。

新潟・長野両県の豪雪被害状況を視察 また2005年の年末から年始にかけ各地で発生した豪雪被害について、民主党では災害対策本部を設置し、民主党地方組織を通じた各地の被害実態の調査、関係省庁からのヒアリング等を行い、被災者ニーズの把握につとめた。とくに被害が甚大であった新潟・長野両県については、党代表をはじめとする党幹部が現地を視察し、これら取り組みの成果として、要請書「豪雪災害に対するより一層の取り組みについて」を取りまとめ、政府に対し申し入れを行った。

 なお、大規模災害や各種のテロ、武力攻撃事態等、緊急に対処すべき事態が発生した場合には、政府はその初動において迅速かつ的確な対応を行わなければならない。それら危機管理能力の実態を検証するため、2005年11月30日に内閣部門会議では、政府の緊急時対応施設の視察を行った。視察では霞ヶ関の中央合同庁舎5号館におかれた内閣府防災部局を訪問し、政府の災害対策本部会議が開かれるオペレーションルームにて、災害発生時における内閣府の応急対応のあり方や関係省庁からの災害情報の集約・伝達方法の概要について説明を受けた。また市ヶ谷の防衛庁庁舎地下にある中央指揮所では、防衛出動発令時や国内テロ発生時における防衛庁の対応のあり方や、NBC(核・生物・化学)テロに対する準備状況などについて説明を受けた。

独自政策実現のために

都内の紛失物関連施設を視察 164回通常国会では、内閣官房より「公益法人制度改革関連法案」「行政改革関連法案」、内閣府より「消費者契約法の一部を改正する法律案」「競争の導入による公共サービスの改革に関する法律案」(市場化テスト法案)「道州制特別区域における広域行政の推進に関する法律案」(北海道道州制特区法案)、警察庁より「遺失物法案」「銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案」が提出され、北海道道州制特区法案を除くすべての法案が成立した。なお、当初に提出が想定されていた皇室典範一部改正案については、国会提出には至らなかった。

 なかでも遺失物法案は、これまで6ヶ月保管する旨が定められていた拾得物について、保管期間を短縮するとともに売却等の規定を整備するもので、国民生活に与える影響は大きいものである。このため内閣部門では、都内大規模鉄道事業者の「落し物センター」及び警視庁遺失物センターの視察を行い、これら遺失物にかかる取扱いの現状について検証を行った。

 なお民主党の議員立法として、国立国会図書館に恒久平和局を設置する内容の「国立国会図書館法の一部を改正する法律案」や、さきの大戦における従軍慰安婦に対して謝罪の意を表す内容の「戦時性的強制被害者問題の解決の促進に関する法律案」、消費生活製品の危険情報の公表を行政・事業者に義務付ける内容の「消費生活用製品等及び特定生活関連物品に係る危険情報の提供の促進等に関する法律案(危険情報公表法案)」等を国会に再提出するなど、民主党の独自政策実現のための取り組みも精力的に行った。これら3法案は継続審議となった。

国民から信頼される警察の体制づくりへ

 ここ数年の間に、全国の警察組織において不祥事が続発し、警察に対する国民の信頼を著しく損なう事態が続発している。とりわけ北海道警察に端を発した警察不正経理問題は、全国の都道府県警察に飛び火し、警察の構造的腐敗の一端が明らかとなった。

 そのようななかで2006年3月には、愛媛県警察や岡山県警察等において、捜査員の私物パソコンからインターネット上に捜査情報が流出する事件が発覚した。これらはいずれもファイル交換ソフト「Winny」のウィルスを介したもので、流出した捜査情報は、愛媛県警分では約6,200人分の個人情報を含む大規模なものであった。その中には架空の捜査協力者への謝礼交付報告書や、Nシステム(自動車ナンバー自動読取装置)の運用の実態を表す資料など、警察内部における不正の実態・規律の緩みを生々しく示す資料が存在したため、内閣部門会議ではこれらの点について警察庁からの聞き取りを行うとともに、内閣委員会において民主党委員より同問題に関して鋭い追及が行われた。

 なお不正経理をはじめとする不祥事が全国の警察組織において続発する背景には、公安委員制度が形骸化し機能不全に陥っているのが理由との指摘がある。民主党はかねてより公安委員会を警察組織から独立させるとともに、公安委員会独自の事務局を充実させる旨の政策を打ち出しているところである。そこで、これら公安委員制度の現状を検証すべく、衆議院内閣委員会理事会においては、国家公安委員会委員を招致して聞き取りを行う旨、与野党で合意した。

 しかしながら警察庁の拒否により実現せず、内閣委員長が委員会において遺憾の意を表明するという異例の事態となった。旧態依然たる警察組織の腐敗の構造は根深いものがあり、民主党は今後も、公安委員会制度の拡充をはじめとする警察機構改革の実現にむけて取り組んでいく。