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国会レポート2006

第二章 『次の内閣』の活動

11農林水産
焦点課題・焦点法案


担い手経営安定新法vs農林漁業再生基本法案
真の農政改革をめざして

自給率低下が懸念される政府案

 政府は、164回通常国会に「農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律案」(担い手経営安定新法)を提出した。

 この法案は、国民に対する食料の安定供給の確保に資するよう、これまで全農家を対象として、品目毎の価格に着目して講じてきた対策を、担い手に対象を絞り、経営全体に着目した対策(品目横断的経営安定対策)に転換し、日本型直接支払制度を導入しようとするものである。

 政府案は、構造改革の名の下に、対策の対象者を一定の経営規模以上の農家や集落営農に絞り込むものである。このため対象から除外された農家は、営農が継続できなくなり、結果としてわが国全体の農業生産の減少、耕作放棄地の更なる増加を招く可能性が高い。これでは、食料自給率が低下することは必至である。

「農林漁業再生基本法案」を提出

 こうした政府案に対し、民主党は、「食料の国内生産及び安全性の確保等のための農政等の改革に関する基本法案」(農林漁業再生基本法案)を提出した。

 民主党案は、将来における世界的な食料供給の不足が予想される中、食料の相当部分を輸入に依存している我が国において、食料の国内生産・安全性の確保が緊要な課題であるとの認識に基づき、農政等の改革の方針を定めるものである。

 具体的には、(1)食料自給率目標を法案に明記(10年後に50%、将来は60%)、(2)計画的に生産する全ての販売農家に対し、単年度1兆円規模の直接支払を実施(バラマキとならないよう、経営規模、品質、環境保全に資する度合いに応じた加算を行う)、(3)米の生産調整を廃止する、としている。さらに民主党案は、水産資源の適切な保存・管理に資するため、個別漁獲割当制度等の導入、食料の安全性・消費者の安心の確保のため、加工食品等の原料原産地表示を義務付けること等を盛り込むなど、全般にわたる改革の方針を示している。

 両案は、衆議院農林水産委員会において30時間以上審議された(民主党案否決、政府案可決)。そして参議院農林水産委員会では、民主党は政府案を20時間以上徹底追及したが、最終的に政府案が成立した。

今後の展開

 民主党は、今後とも、食料自給率上昇による食の安全確保及び欧米並みの直接所得補償による農業振興を訴えて、国民の期待に添えるよう全力を尽くしていく。

活動の経過

 農林水産部門会議は、国民の食の安全・安心を常に念頭に置き、日々の活動を行っている。近年わが国ではBSE問題、鳥インフルエンザ問題、輸入野菜から基準値を超える残留農薬が検出された事件など食の安全性が脅かされている事例が多発している。また、食料自給率も40%と、先進国では最低の水準である。

 よってこれらの問題に対し、民主党案を作成し議員立法として提出するなど、常に政府と対峙している。

BSE問題

BSE対策本部、米国の牛肉火口施設を視察 民主党は、かねてより、米国における牛の食肉処理施設等のずさんな監視体制などの問題を指摘してきたが、政府は何も対応せず2005年12月13日の輸入再開を決めた。しかし、2006年1月20日、輸入再開からわずか1ヶ月足らずで、特定危険部位が混入した米国産牛肉が成田空港検疫所で発見され、政府は米国産牛肉の輸入再停止を決定した。

 民主党は、これを受けて1月23日、「BSE問題対策本部」を立ち上げ、26日に成田空港の検疫所を視察した。ここでは実際に検疫を行っている現場を見てチェック体制を調査するとともに、問題の脊柱が混入した米国産牛肉が実際に背骨が見える状態であったことを確認した。

 また、同対策本部は1月29日から2月2日まで、米国に調査団を派遣し、マイク・ジョハンズ農務長官、民主党・共和党の上院・下院の議員などとの会談、カンザス州内の2つの食肉処理場の視察、飼育農家、NPO団体、消費者団体との懇談などを行った。

 ジョハンズ農務長官のBSE問題等に関する基本的考えは、米国はOIE(国際獣疫事務局)と協力しており国際的基準を守っており、消費者の選択は自由であるべきだが、行政としては科学的知見に基づいた判断をするべきだ(米国産牛肉は現状でも十分安全である)というものであった。

 クリークストーン社(食肉処理場)での意見交換会では、日本の顧客の要求を満たすべく全頭検査を実施する予定であったが、USDA(農務省監査局)の認可が下りず、さらに、ジョハンズ農務長官と最近会談した際に顧客(日本)のニーズに合わせるべきであるとの主張をしたが受け入れられなかったとの話があった。

 タイソン社(食肉処理場)では、質疑応答の中で、耳のタグ等で月齢が完全に確認できるのは、現在5〜6%(4月には10〜12%)程度であり、基本的には肉質・歯列で判断している。また、日本向けは、焼肉、おでん用に限られているので、全頭検査や出生証明をつけることは採算が合わず実施することは困難との話があった。

 帰国後、同調査団は、調査結果を踏まえ米国の食肉処理場には構造的欠陥があり、安全性が担保されていないため、拙速に輸入再開に合意すべきでないとの記者会見を行った。

 日米での協議が進展する中、民主党は消費者に米国産牛肉の危険性を訴えるため、「拙速な米国産牛肉輸入再開反対キャンペーン」として、6月5日に札幌、6月12日に福岡でそれぞれ街頭演説を行った。また、政府主催のリスクコミュニケーションにも民主党国会議員が参加した。

 さらに、6月13日には「拙速な米国産牛肉の輸入を止める国民大集会」を、日本共産党・社会民主党・国民新党との野党4党合同で行った。集会では、『拙速に輸入を再開することに反対し、わが国の安全基準に従って、日本政府の責任において、輸入牛肉の安全性を確実に保証できる態勢を整えることを求める』大会アピールを採択した。

 民主党は国民の食の安全・安心を守るため、消費者の選択権として、163回特別国会より継続審議になっている、「輸入牛肉に係る情報の管理及び伝達に関する特別措置法案」「牛海綿状脳症対案特別措置法の一部を改正する法律案」((1)輸入牛肉についても日本と同様のトレーサビリティの義務化、(2)BSE検査済みの表示と、原産地表示の義務化)の成立をめざすとともに、輸出プログラム(月齢管理・飼料規制の厳守等)の実効性及び遵守が疑問視されている現段階での米国産牛肉の早急な輸入再開に強く反対していく。

日本の農林漁業の再生をめざして

衆議院農林水産委員会にて、民主党提出農林漁業再生基本法を審議
長崎県大村市の山林を視察

 民主党は、2003年に「農林漁業再生本部」を立ち上げ、農林水産部門と連携しつつ、全国を視察し、農林漁業の問題点を探りながら、党の政策立案に活かしている。164回通常国会においても、「農林漁業再生基本法案」の策定をサポートした。

 2006年6月には、次期参院選に向けて、民主党の農林漁業再生プランをより周知するため、パンフレット(第2弾)を作成した。

 今後も、全国の農林漁業者と交流を図るため、各地で集会、視察などを精力的に行っていく。

ふたたび、林業を産業へ

 民主党は、党の林業政策をまとめるため、農水部門内に「森林・林業再生小委員会」を設置した。ここでは林業を産業としてもう一度立ち直らせるため、今後、国の施策として何が必要か、何をすればよいかを議論し、視察等も行っていく。政府が2006年秋にも提出を検討している「林業基本計画」に対抗するかたちで、林業政策を取りまとめ、議員立法化作業を進めていく。

バイオマスエネルギーの可能性

 民主党は、「農林漁業再生本部」を中心に、バイオマスエネルギーの可能性について議論し視察を重ねている。

 具体的には、沖縄県伊江村(伊江島内で栽培したサトウキビから、エタノールを生産し、混合ガソリン《(E3)※ガソリンにエタノールを3%混ぜる》を公用車で実証実験を行っている)や、長崎総合技術大学の農林バイオマス3号機(粉状の木材を高温の水蒸気と反応させ、水素、メタンなどを含む良質でクリーンなガスを直接生成し、実験施設ガスエンジンを駆動させて発電実現している)等を視察した。

 今後は、究極のクリーンエネルギーについて、可能性を探っていく。