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国会レポート2006

第二章 『次の内閣』の活動

10厚生労働
焦点課題・焦点法案


民主党の医療改革関連3法案
がん対策基本法が成立

 民主党は164回通常国会において、政府・与党の「健康保険法等の一部を改正する法律案」、「良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案」の対案として、以下三つの法律案を衆議院に提出し(4月4日)、日本の医療提供体制を改善に導く突破口を示した。

医療改革の突破口を拓く

 「がん対策基本法案」は、日本人の死因一位で年間30万人の死亡原因でありながら、診療・治療水準の格差が厳然と存在するがんについて、国家戦略として取り組む方策を体系化した。「小児医療提供体制の確保等のために緊急に講ずべき施策の推進に関する法律案」(小児医療緊急推進法案)では、医師等の地域偏在、地域間格差を是正するため、危機的状況にある小児医療・小児救急医療体制の集約化とその連携強化を盛り込んだ。「医療を受ける者の尊厳の保持及び自己決定に資する医療情報の提供、相談支援及び医療事故等の原因究明の促進等に関する法律案」(医療の安心・納得・安全法案)では、「患者の知る権利」や「自己決定権」、相談体制、医療事故の原因究明体制などを提起した。「小児医療緊急推進法案」「医療の安心・納得・安全法案」は政府案と同時に審議に付されたが、審査未了となった。

がん患者が協議会に参画

 民主党は数年前からがん治療に対する総合的対策の必要性を訴えてきており、164回通常国会では、「がん対策基本法」の制定により、国を挙げてがん対策に取り組む意思を示すとともに、がん医療の水準を向上させる施策の根拠とすべきだとねばり強く要求し、国会論議を常に主導した。当初立法に消極的だった政府・自民党も、がん患者と家族の必死の要望に緊急な対応を迫られ、5月23日になって「がん対策基本法案」の与党案を提出した。こうして民主党と与党との間で法案の一本化協議がはじまった。

 「がん対策基本法」は全会一致のもと成立し、がん患者やその家族を含む「がん対策推進協議会」が創設され、がん医療の政策立案過程にがん患者がはじめて参画することとなった。「がん対策推進基本計画」策定にあたっては、この協議会に意見を聴くこととなっており、これにもとづき基本計画が定められ、閣議決定がされ、国会に報告されるとともに、インターネット等により公表される。なお参議院では19項目の附帯決議が付された。民主党は今後、「がん登録」について、法整備も含めた検討を早急に行い、基本法を根拠に思い切った予算措置を行うよう、政府に対して精力的に働きかける。

活動の経過
衆議院本会議にて、民主党提出医療改革関連3法案を審議
中野社会保険事務所を調査
参議院構成労働委員会にて、医療制度改革法案が強行採決される

 厚生労働部門では、164回通常国会の最重要課題となった医療制度改革法案について、民主党の政策を伝えるパンフレットを制作・配布したほか、医療関係者を重点に、民主党の取り組みをインターネットや電子メールで配信する等、積極的な広報活動に取り組んだ。

安心・納得・安全の医療制度を提案

 民主党は、2005年の163回特別国会より医療制度改革作業チームを中心に抜本的な医療制度改革を検討し、164回通常国会で「民主党医療改革大綱」をまとめた。大綱では、10年程度をかけて医療に係る諸制度を根幹から改革し、ムダを廃した効率的な医療制度を構築し、“必ず最善の医療が受けられるという安心”をもたらすことをめざし、緊急の対策を要する重要分野には、国が政策上の資源を重点投入することとした。改革に着手する第一段階として、現在の医療制度が直面する課題、象徴的な問題に対応する「がん対策基本法案」、「小児医療緊急推進法案」、「医療の安心・納得・安全法案」を議員立法として衆議院に提出した。(詳細→

 政府は、2005年末に発表した「医療制度改革大綱」に基づいて164回通常国会に「健康保険法等の一部を改正する法律案」、「良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案」を提出した。政府案は、医療費抑制ありきで、国民に負担増を強いながら医療の質の低下を招き、計画性のない療養病床削減で「介護難民」を生み出すおそれがあり、小児科・産科不足等、地域医療の崩壊を放置したまま、その責任を地方自治体に押し付けるものであった。

 民主党は強く反対したが、与党が衆参両院で委員会採決を強行し、成立した。参議院では21項目の附帯決議を付し、衆議院では、安全で質の高い医療の確保・充実に関する決議を行った。

薬品販売の安全を確保

 政府提出の「薬事法改正案」は、一般医薬品を副作用の危険度に応じて3段階に分類し、販売に係る資格を定める薬品販売の規制緩和を実施するとともに、違法ドラッグ対策を強化する内容だった。民主党は、過去に配置販売薬によって薬害が起きたことを踏まえ、将来的には既に営業している配置販売薬(置き薬)業者を含め、全ての配置販売業者の資格取得、医薬品のリスク分類の適正化、脱法的販売の取締り体制の強化、医薬品のリスク分類表示の周知徹底等の論点について審議で質し、附帯決議を付して賛成した。

実効性のある若年者雇用対策

 政府提出の「職業能力開発促進法及び中小企業労働力確保法改正案」は、若年者の就労対策として、座学と実地研修を組み合わせた実習併用職業訓練制度を導入し、若年者の熟練技能の習得や自発的な職業能力開発支援のための時短、再就職準備休暇について事業主の配慮を求める内容だった。実習併用職業訓練制度については、既に実施されてきた職業能力訓練制度の実績評価、訓練生の座学費用の負担、企業実習時の賃金や雇用形態の適正化、関係省庁や自治体との連携等の論点について国会審議で質した。また、少子高齢化に伴う雇用状況の変化やものづくり産業の構造改革に対応した、省庁横断的で総合的な人材養成制度の確立を求めた。これらの点について附帯決議を付し、法案に賛成した。

総合的な自殺対策を法制化

 民主党は、自殺者が年間3万人を超える状況を改善するため、関係省庁や自治体、民間支援団体等が連携して総合的な対策を講じるための法的基盤が必要であるとし、「自殺対策推進基本法案」を参議院内閣委員長提案として成立させた。

間接差別禁止の徹底

 今回の男女雇用均等法改正では、法制定20年後も未だに解消されない雇用をめぐる性差別をなくすことが期待されていた。しかし政府案の内容は、男女双方の性差別の禁止、妊娠・出産を理由とする不利益扱い禁止等の点では一定の前進はあったものの、不十分な点が多くみられた。

 とりわけ、一見して性差別ではなくても、結果として採用や昇進の差別につながる「間接差別」について、政府案は3項目(募集・採用にあたっての身長・体重・体力要件、総合職募集・採用の全国転勤要件、昇進にあたっての転勤経験要件)のみを省令で限定列挙するとしており、これに該当しなければ間接差別にはあたらないとの誤解を招き、是正措置の対象を狭くするおそれがあった。

 民主党は、(1)間接差別の対象に賃金を加え3項目に限定しないこと、(2)法の理念に仕事と生活の調和を加えること、(3)女性の管理職登用等を推進するポジティブアクションを義務化すること、(4)セクシャルハラスメントの対象に男女の役割分担意識に基づく言動(ジェンダーハラスメント)を加えること、等について法案修正を要求した。参議院の審議では法施行5年後の見直し規定の修正が実現した。なお省令で規定するもの以外にも間接差別は存在することについての周知徹底、間接差別にかかる省令の機動的な追加・見直し、等を委員会審議において政府に確認し、附帯決議を付したうえで賛成した。

 民主党は、短時間労働者であることを理由に処遇の差別的取扱いを禁止する「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案」を再提出し、均等法改正案と合わせて審議を行ったが、与党の多数決により廃案となった。

年金偽装問題を追及

 年金資金の無駄遣い、年金情報の不正な閲覧等、様々な不祥事を背景に、民主党は、社会保険庁の解体と、保険料徴収と徴税の一元化を主張してきた。ところが、164回通常国会で社会保険庁改革法案の委員会審議が始まろうとした矢先、年金保険料未納率を低く見せかけるため本人の申請がないまま保険料を免除する不正な手続が各地の社会保険事務所で発覚した。民主党は直ちに「年金偽装追及チーム」を編成し、現地調査を含めた真相究明に取り組み、社会保険庁長官の責任を追及した。

 民主党は、年金保険料不正手続の真相究明を法案審議の前提とし、政府提出の「ねんきん事業機構法案」等の委員会審議入りを許さなかった。民主党は政府案について、現行組織の看板の架け替えにすぎず、年金制度への信頼回復、年金保険料納付率の向上につながらないことから廃案を求めたが、与党の主張により、継続審議となった。