第二章 『次の内閣』の活動財務金融 |
金商取引監視委員会設置法案
ライブドア事件の再発防止のために |
所得税法等改正
抜本的改革はおきざりに |
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日本版FSA法案を提出政府は、「証券取引法等の一部を改正する法律案」他一案を提出した。民主党が求める包括的金融サービス法に通じるもので、枠組みは評価でき、一歩前進と言えるものだった。 民主党は、証券取引等の公正確保の観点から、衆議院に「証券取引委員会設置法案」を提出した。企画・立案機能を金融庁に留保し、監督監視に特化させた。参議院では、商品先物への検査・監督権限等を加え、「金融商品取引監視委員会設置法案」(日本版FSA法案)を提出した。 民主党案については、衆議院で否決、参議院で審議未了となり、両案とも廃案となった。 商品先物取引の不招請勧誘禁止へ道筋政府案は、被害が指摘されている商品先物について、十分な対策を講じていなかった。 民主党は、衆議院において、金融庁、農水省、経産省の共管とすること、参議院において、不招請勧誘を禁止することを柱とする修正案を提出した。両院で修正案は否決され、政府原案が成立した。民主党は、欠陥を含んだ政府原案に反対した。 参議院において、与党の協力も得て、附帯決議に、商品先物について「不招請勧誘の禁止の導入」についての検討を盛り込んだ。 |
定率減税廃止は法律違反政府・与党は、164回通常国会に、(1)定率減税廃止、(2)地方への税源移譲に伴う改正、などを内容とする「所得税法等の一部を改正する法律案」を提出した。 税源移譲については、地方の裁量が広がらない形で国庫補助負担金の削減が行われたため、非常に意義が乏しい。 実質1人会社における社長報酬の給与所得控除相当分の損金不算入については、関係者に対する説明責任を十分に果たすべきであった。 定率減税については、「負担軽減法」に「抜本的見直しを行うまでの間」継続すると規定されている。しかし、抜本的な税制改革が行われたとは言えず、定率減税廃止は「負担軽減法」の規定に違反している。また、定率減税廃止により、中低所得者層の負担が過重になることは必至である。 公示制度を廃止政府案には、個人、法人の公示制度廃止も含まれていた。法人の公示廃止は、個人情報保護と何ら関係なく、隠蔽を助長する可能性が高い。民主党は、以上の観点などから、政府案に反対したが、政府原案通り成立した。 |
財務金融部門は、関係する調査会、プロジェクトチームと連携するとともに、専門的に検討を行う作業チームを設置して、多くの成果を得た。財政改革チームは中間報告を取りまとめた。ライブドア問題調査追及チームは、事件の解明、日本版FSA法案の提出、政府提出法案への修正案の提出等に携わった。ノンバンクプロジェクトチーム、金融政策検証委員会、たばこ問題に関する作業チーム、税制調査会、月例経済研究会についても、それぞれ活発に関係省庁、有識者からのヒアリングを行い、議論を深めた。
政府・与党は、164回通常国会に「平成18年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案」を提出した。本法案は、(1)建設国債に加え、予算の範囲内での赤字国債発行を可能とする(国債発行額計29兆9,730億円、うち、赤字国債24兆4,890億円)、(2)電源開発促進対策特別会計からの一般会計繰入措置(595億円)、財政融資資金特別会計からの国債整理基金特別会計繰入措置(12兆円)を規定する、(3)年金事務費について、保険料流用を規定する、という内容であった。
特別会計の積立金・剰余金の活用については、国債発行額を30兆円以下に抑えるための数字いじりに過ぎないことは明白であった。年金事務費の保険料流用規定については、これまで社会保険庁がムダづかいを行い続けてきたことから、削除して国庫負担とするとともに、予算の節減を促す旨の修正案を民主党は提出した。しかし、与党に否決され、政府原案通り成立した。
政府・与党は、164回通常国会に、定率減税廃止を含む「所得税法等の一部を改正する法律案」を提出した。本法案には非常に問題点が多く、民主党は反対したが、政府原案通り成立した。(詳細→)
民主党税制調査会では、抜本的な税制改革案の取りまとめに向けて、格差社会、日本社会の今後や欧米の税制度等について、関係省庁や有識者からヒアリングを行い、議論を深めた。
国・地方の長期債務残高は対GDP比で160%を超え、財政危機的状況にある。民主党は、財政改革チームを設置し、(1)総理大臣の強力なリーダーシップの下、予算を編成し、ムダづかいを改める、(2)国、地方、年金・医療などの社会保障基金を「3つの政府」と位置付け、役割分担を明確化するとともに、大胆な地方分権を行い、ムダを排する、(3)歳入庁、資産債務管理庁を設置する、等を主な内容とする、抜本的な財政改革についての中間報告を取りまとめた。
2006年1月、いわゆる「ライブドア事件」が起きた。民主党は、この問題に関し、財務金融部門を中心に、国会対策委員会、法務部門のメンバーも加え、ライブドア問題調査追及チームを設置して、精力的に取り組んだ。同チームは、事件の徹底解明に携わるとともに、関係省庁、有識者、市場関係者、各種団体等からヒアリング、証券取引所、商品取引所等への視察を行った。
4月に同チームは「『金融サービス(証券をはじめとする)市場の抜本改革』を提唱する(最終報告)」を取りまとめた。最終報告は、強力で独立性のある監督機関の設置、証券取引ルールの確立、証券取引所改革、公開会社に適用する新しい会社法ルールの確立、共通会計ルール、投資事業組合に対する規制、プロ人材の養成・育成など幅広い内容を取り扱っており、有識者からも高い評価を受けた。
このような中、政府は、「証券取引法等の一部を改正する法律案」他一案を提出した。民主党は、衆議院に「証券取引委員会設置法案」を提出し、参議院では、商品先物への検査・監督権限等を加えた「金融商品取引監視委員会設置法案(日本版FSA法案)」を提出した。民主党案については、衆議院で否決、参議院で審議未了となり、両案ともに廃案となった。民主党は政府案に対し、衆議院では、商品先物につき金融庁、農水省、経産省の共管とする旨の修正案、参議院では、不招請勧誘を禁止する旨の修正案を提出したが、否決され、政府原案が成立した。(詳細→)
6月には、いわゆる「村上ファンド」事件が起き、日本銀行の福井総裁が同ファンドに資金を拠出していたことが明らかになった。民主党は、これらの問題についても委員会審議を求める等、精力的に取り組んだ。
近年、消費者保護の観点等から社会問題化している貸金業の問題を集中的に調査し、党の基本政策を取りまとめるため、民主党は財務金融部門を主管、人権・消費者調査会、法務部門、経済産業部門を共管に、ノンバンクPTを設置し、関係省庁、学者、各種団体などからヒアリング行った。多重債務が深刻な社会問題となっていることに鑑み、債務者の救済と更正への支援を出発点として取り組む、金利水準の議論だけに終始せず、根本的な制度設計を行う、等の方針が確認され、今後さらに具体策を詰めていくこととなった。
日本銀行は、2006年3月9日、政策委員会・金融政策決定会合において、量的緩和政策の解除を決定した。民主党は、決定を尊重し、ゼロ金利政策の早期終結を求める旨の談話を発表した。さらに、7月14日、日銀はゼロ金利解除を決定した。民主党は、ゼロ金利は解除するべきものであるが、利殖で疑惑をもたれている総裁が居座る日銀が重大な決定を行ったことを批判する旨の談話を発表した。
また、財務金融部門会議内に金融政策検証委員会を設置し、金融政策の検証、議会、政府、中央銀行のあるべき関係について、日本銀行、関係府省、有識者から精力的にヒアリングを行い、議論を深めた。さらに、同委員会は、財政改革チームと連携して、資産債務管理庁構想について、たたき台を策定した。
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