コンテンツを再生/利用するにはプラグインが必要です。

民主党サイトアーカイブ

現在のウェブサイトはこちら
2011年6月22日以前の情報その他で、新サイトに盛り込んでいないデータを掲載しております。
アーカイブTOP > アーカイブス(過去の政策 その他) > 国会レポート > 民主党国会レポート2006
国会レポート2006

第二章 『次の内閣』の活動

14国土交通
焦点課題・焦点法案


建築基準法改正案
耐震偽装は防げるか
 
まちづくり3法改正
美しく活気あるまちを

耐震強度偽装事件の発生

 昨年末に明らかとなった耐震強度偽装事件においては、法律違反の欠陥建築物が建築・販売されていた。当該マンション、ホテルを購入した人たちをはじめ、近隣住民、さらには建物を購入した全ての人が建物の安全性に不安を抱く事態に至った。

 民主党は、有識者など各界関係者との意見交換を通じ、再発防止策を取りまとめ、パブリックコメントを求めた。その後法制化を進め、4月27日、「居住者・利用者等の立場に立った建築物の安全性の確保等を図るための建築基準法等の一部を改正する法律案」を衆議院に提出した。

民主党案と政府案を並行審議

 政府案は、クロスチェックと罰則強化が主な内容であり、抜本的な再発防止策とは言い難かった。一方民主党案は、(1)確認済証発行権限を特定行政庁に限定、(2)建築士事務所開設資格を建築士に限定、(3)保険加入有無の広告・契約書への記載義務化、を主な内容とし、居住者・利用者・購入者の立場に立った抜本的な再発防止策であった。民主党案は、衆議院国土交通委員会で政府案と並行して審議されたが、与党の反対多数で否決された。

まちづくりの転換点

 城下町、街道筋、門前町など、歴史のうえで中心市街地は重要な役割を果たしてきた。98年にまちづくり3法が制定されたが、中心市街地では、商店街がシャッター通りと化すなどコミュニティーが崩壊、文化・社会・環境面で疲弊が進み、問題が深刻化している。

建築基準法・都市計画法の抜本改正に向けて

 民主党は2005年マニフェストにおいて、コミュニティーの再生と美しく活気あるまちの再生・保全を図るための法制度の見直しを掲げた。この考え方に基づき、政府が提出したまちづくり3法改正案に対応するため、まちづくりプロジェクトチームを設置した。

 PTでは、地方自治体、有識者、商店街・大型店舗関係者らと意見交換を行い、論点・問題点の整理を行った。その結果、政府案は不十分ではあるが、(1)都市計画によるコントロール機能を強化、(2)中心市街地活性化を都市計画と連動、している点を評価し賛成することとした。法案は成立した。

 今後は、(1)「計画なくして建築なし」原則の確立、(2)市民参加の保障、(3)ソフト主導によるまちづくり、等を目的とする建築基準法・都市計画法の抜本改正に向けた検討を進める。

活動の経過

耐震強度が偽装されたホテルを視察 2005年から2006年にかけて、耐震強度偽装事件、鉄道事故、航空機トラブル、エレベータ事故など、建物や乗り物の安全性に対する国民の信頼を揺るがす事件が相次いで起こった。民主党は、速やかに現地を視察、関係者と意見交換し、原因究明や再発防止策の取りまとめを行うなど、国民の安全を守る活動を積極的に行ってきた。また、164回通常国会を「安全国会」と位置づけ、(1)国会で政府を厳しく追求、(2)耐震偽装事件参考人招致・証人喚問の実現、(3)耐震偽装再発防止策の取りまとめ、(4)航空・鉄道事故調査委員会の独立化の提案など、建物・乗り物の安全を担保するための活動を行った。

羽越線脱線事故への対応

 2005年12月25日に発生したJR羽越線での脱線・転覆事故を受け、直ちにJR羽越線事故対策本部を設置し、28日に事故現場に調査団を派遣、救出作業の進行を視察するとともに、負傷者を受け入れた県立日本海病院にて、事故発生後の初期対応のあり方等につき意見交換を行った。さらに山形県庄内総合支庁も訪問し、事故後の各機関の情報共有方法などについて意見交換を行った。

飛行機トラブルへの対応

トラブルが続いた航空機の整備状況を視察 日本航空の相次ぐトラブルに関連し、2006年4月3日、羽田空港内の日本航空の格納庫を視察した。日本航空の整備本部長ら関係者から整備体制について詳しく説明を受けるとともに、エンジンや機内など、実際に格納庫で航空機が整備されている様子を詳しく視察した。

航空・鉄道事故調査委員会の改革

 上記のような航空機や鉄道に関する事故やトラブルを未然に防ぎ、再発を防止するためには、トラブルや事故の原因を客観的な立場で科学的に解明する必要があることから、調査を行う航空・鉄道事故調査委員会を事業官庁から独立したものとしなければならない。

 しかし政府が164回通常国会に提出した「運輸の安全性の向上のための鉄道事業法の一部を改正する法律案」は、航空・事故調査委員会改革について、被害軽減に向けた調査提言機能が追加されただけの極めて不十分な内容であった。

 民主党は、(1)航空・鉄道事故調査委員会を国土交通省から切り離し内閣府に移管、(2)自動車に関する事故調査権限の追加、(3)名称を「運輸事故調査委員会」に変更、等を主な内容とする修正案を提出した。修正案は否決されたが、修正案の内容をもとに、独自の議員立法として提出すべく検討を進めている。

耐震強度偽装問題への対応

衆議院国土交通省委員会にて、耐震強度偽装事件関係者を厳しく追及 耐震強度偽装事件についても、国民の安全を守るため、民主党は迅速に対応した。

 事件発覚後速やかに耐震強度偽装問題対策本部を設置し、2005年11月25日に都内で2カ所の建築物の視察を行った。ホテルでは、専門家から説明を受け、建築主から調査の進捗状況や今後の対応を確認した。マンションでは、建築物の居住者・付近の住民から話を聞き、建築物の内部を専門家とともに視察し、問題の把握を行った。

 現地視察を踏まえ、12月6日に緊急対策を取りまとめ官邸に申し入れを行い、問題となっていない物件の耐震強度に関するサンプル調査などを実現させた。

 また、2006年2月15日には再発防止のための「耐震強度偽装問題〜今後の対応策」を取りまとめ、広く国民の意見を求め、4月27日に建築基準法等改正案として衆議院に提出した。

 さらに、建物の事後的な検査体制の充実も急務であることから、非破壊検査について、関係者からヒアリングを行った。

バリアフリー社会の実現

 すべての人が安全かつ円滑に移動できることは、極めて重要な政策課題である。民主党では、交通バリアフリー法制定(2000年)に際しても対案を提示し、その後の政省令制定に際しても意見を述べるなど、バリアフリー社会に実現に取り組んできた。

 164回通常国会において、交通バリアフリー法とハートビル法を統合した「高齢者、障害者等の移動等の促進に関する法律案」が政府から提出された。しかし、関係者や専門家と意見交換を行った結果、政府案では不十分であるとの結論に達した。そこで、高齢者・障害者がより利用しやすい施設の整備を進めるために、(1)移動の権利の保障、(2)施設利用を拒否できない旨の規定、(3)対象施設に「災害が発生した場合の避難場所」「ホテルの客室」の追加、(4)事業実施に当たっての当事者の意見の反映、等の規定を追加する修正を行うべきとの結論に至った。参議院で修正案は否決されたが、衆議院でその内容が反映された附帯決議が付された。

交通基本法案再提出へ

 民主党は、すべての国民に対して、移動に関する権利を保障するとともに、各交通手段を総合的かつ効率的に整備すること等を内容とする「交通基本法案」を2002年に提出したが、廃案となっていた。

 この交通基本法案について、国土交通部門では再検討を行い、(1)交通に関する分権の視点、(2)安全性の強調、(3)貨物の位置づけの強化、等を追加し、再提出を行うべきであるとの結論になった。次期国会において新たな交通基本法案を提出する予定である。

観光政策推進調査会の設置

 国際相互理解の増進、わが国経済・地域の活性化等の観点から、自然、歴史、文化、街並み、産業などの優れた観光資源を保存・創造・再発見し、これを内外に発信することによって、観光政策を推進していくことが一層重要となってきている。そのため、国として、観光を戦略的に位置づけ、日本の主要産業として発展させる必要がある。

 行政組織の整備・改変も含め、現在の日本の観光が抱える問題点を整理し、その対策を講ずるとの見地から、観光政策推進調査会を設置し、関係者からのヒアリングや現地視察を行い、民主党の観光政策の取りまとめを進めている。