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国会レポート2007

第三章 焦点となった法案への対応

1国民投票法案
安倍首相指示で
与党強行採決

 

1政府の教育関連3法案
教育改革に値しない

 憲法改正の発議や国民投票の手続について、与党の「日本国憲法の改正手続に関する法律案」と民主党の「日本国憲法の改正及び国政における重要な問題に係る案件の発議手続及び国民投票に関する法律案」の両案が2006年164回通常国会で衆議院に提出され継続審議となった。

 165回臨時国会での活発な審議を経て、いったんは両提出者間で共同修正に向けた合意点が積み上げられたが、2007年166回通常国会では、「憲法改正を参院選の争点にする」とする安倍首相の発言を受けて与党は一転して態度を硬化させた。与党単独で与党案・民主党案両案の併合修正案を提出し採決を要求、民主党も独自の修正案を提出したが、特別委員会での強行採決を経て与党修正案が可決。参議院で民主党は対案を提出したが、与党併合修正案が可決・成立した。

広範な合意形成を拒む与党の拙速姿勢を批判

 与党併合修正案(以下与党案)と民主党修正案及び民主党参議院案(以下民主党案)の共通点は、(1)投票権者は18歳以上の日本国民とし、法施行までに公職選挙法の選挙権年齢、民法の成年年齢など関連法も整備する、(2)投票用紙への記載方法は「賛成」「反対」を○で囲むものとし、「過半数」とは有効投票総数の過半数とする、(3)国民投票運動が禁止される特定公務員は選管職員等のみとする、(4)公務員の地位利用国民投票運動禁止は「地位利用」の範囲を明確化し、違反行為を懲戒事由とする、(5)適用要件を限定したうえで「組織的多数人買収・利害誘導罪」を設ける、(6)テレビの無料枠は賛否平等に割り当て、政党の指名する団体の利用も認める、(7)施行期日は公布3年後とし、それまでの間は憲法審査会は調査に専念する、などである。

 一方、与党案と民主党案の相違点は、(1)国民投票の対象について、与党案が憲法改正に限定し、「憲法改正を要する問題」等についての国民投票制度について検討条項を置くにとどめるのに対し、民主党案は憲法改正のほか、国政重要問題のうち「憲法改正の対象となり得る問題」等、別に法律で定める問題も対象とする、(2)18歳投票権について、与党案が関連法改正の施行までは20歳以上とする経過措置を定めるのに対し、民主党案は法施行時から実施、(3)公務員の国民投票運動について、与党案が法施行までに必要な法改正を行うとするのに対し、民主党案は公務員法上の政治的行為の制限規定を全面適用除外、(4)テレビの有料広告禁止期間を与党案は投票期日前2週間、民主党案は発議から投票期日までの全期間とする、等である。

 民主党は、相違点が埋まらないまま広範な合意形成を放棄する与党の姿勢を厳しく批判し、与党案に反対、民主党案に賛成した。

 政府は、166回通常国会に「教育職員免許法及び教育公務員特例法の一部改正案」、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部改正案」、「学校教育法等の一部改正案」を、いわゆる「教育再生関連3法案」として提出した。

政府案の問題点

 しかし、教員免許法案は、教員免許に10年間の有効期限を設け、更新に際しては、30時間の共通した基本的な更新講習を義務づけるだけの内容で、教員の資質向上に資するとは考えられないうえに、肝心の教員養成には全く手をつけていない。民主党は教員の負担を重くし、子どもと接する時間を短くし、さらに資質向上につながらない改革に有意性はないと考える。

 また地教行法改正案は、地方分権に対応し、住民の意思が反映可能で、責任所在をはっきりさせるなど、本来なされるべき教育委員会制度の抜本改革を先送りしたまま、国の関与を強めるものでしかない。

 さらに、学校教育法等改正案は、本来、学制改革も視野に入れた検討がなされるべき時期になっているにもかかわらず、本質的な部分は置き去りにしたまま、官邸・中教審も含め政府部内で、形をつくることに重きを置き、拙速にまとめられた内容のないものであった。

民主党は独自案を提出

 教育改革に値しない政府3法案に対し、民主党は、衆参両院に「学校教育力向上3法案」を提出し、審議に臨んだ。

学校教育力の向上を図る
民主党3法案の特徴

 民主党案は、(1)教員の資質・能力向上をはかるため、教員の養成課程を6年制(修士)とし、個々の教員のニーズにあった研修の充実を盛り込んだ「教育職員の資質及び能力の向上のための教育職員免許の改革に関する法律案」、(2)現行制度下で、所在があいまいになっている地方教育行政の責任を首長に一元化することや、保護者・地域住民などの声を反映させた学校運営を可能にする「学校理事会」制度創設などを内容とする「地方教育行政の適正な運営の確保に関する法律案」、(3)教育予算の充実をはかるための「学校教育の環境の整備の推進による教育の振興に関する法律案」である。

正々堂々と政府案に対峙

 教育関連法案の審議は、与党のご都合主義により、衆議院では教育再生に関する特別委員会、参議院では文教科学委員会において行われた。最終的に、政府案が与党の強行採決により成立した。民主党案は衆議院で否決、参議院で廃案となったが、今後も、学校教育力向上のため取り組んでいく。