2007年1月、国土交通省発注の水門工事を巡る官製談合が、5月には緑資源機構の官製談合が発覚し、官製談合が官の天下り慣行と密接不可分の関係にあることが、改めて浮き彫りになった。民主党は、これらの事態を重く受け止め、166回通常国会に下記2法案を提出した。
公務員OBを法律の対象に
「官製談合防止法等改正案」は、(1)公務員OBを法律の対象とする、(2)公正取引委員会が行う改善措置要求を、談合を防止するために必要な場合にも提示できることとし、各省庁が入札談合防止の具体的な対策を策定する、(3)各省庁の講じた談合防止策を国会等へ報告する、(4)事件ごとに第三者委員会の設置を義務づけて調査を行うこと等により、法の実効性を一層高める内容となっている。
官製談合を摘発しやすい課徴金制度
「独占禁止法改正案」は、課徴金減免制度等が功を奏し、官製談合が相次いで明るみに出たことから、(1)官製談合を申告した事業者にはさらに減免を行う、(2)課徴金減免を受けた事業者は指名停止措置の対象としない等、官製談合をより摘発しやすい制度にするものである。 |
経済産業構造の変化に伴い、終身雇用、年功序列といった日本型雇用モデルが崩れ、長引いた不景気を背景に企業が労働コストを削減する中で、パートやアルバイト、派遣、有期契約といった非正規雇用の割合が増えた。一方で、正社員は仕事量と責任が増え、過重労働を強いられるようになった。こうした状況のもと、国が責任をもって雇用を立て直す必要があったが、政府が2007年166回通常国会に提出したのは、対症療法的な雇用対策の継ぎはぎでしかない、「雇用対策法及び地域雇用開発促進法改正案」であった。
将来を見通した「はたらき方」を立法化
民主党は、場当たり的な雇用対策ではなく、将来を見通した雇用政策の基本理念、雇用基本計画、基本的施策を定める基本法が必要であるとし、政府案の対案として「雇用基本法案」を提出した。基本法案は、長期安定雇用とワークライフバランスの実現等を基本理念とし、若年者、女性、高年齢者、障がい者等への就業支援、公正なはたらき方のルール、地域の雇用創出、能力開発等について国の基本方針と基本施策を規定した。民主党案は衆議院本会議、厚生労働委員会で審議されたが、与党の反対により否決された。 |