今まで最低賃金は年に1円から5円しか上がっておらず、地域によっては最低賃金が生活保護水準を下回るなど、ワーキングプアを生み出す格差拡大の一因となっている。民主党は、最低賃金を大幅に引き上げ、まじめに働いた人が生計を立てられるよう、政府案の対案として最低賃金法改正案を2007年の166回通常国会に提出した。法案では、最低賃金の原則を「労働者とその家族を支える生計費」とし、すべての労働者に適用される「全国最低賃金」を創設し、地域最低賃金は全国最低賃金を超えることとした。この改正により法施行3年後に最低賃金を全国平均1,000円に引き上げることを目指す。一方、政府の「最低賃金法改正案」は、最低賃金の原則に、「生活保護にかかる施策との整合性に配慮する」ことを加えるだけで、大幅な引上げは期待できない。
中小企業向けに十分な支援措置
民主党案では、法施行後3年間の経過措置を設けるとともに、新たな最低賃金の実施による中小企業の負担に配慮し、中小企業に対する財政上及び金融上の支援措置として約2,100億円規模の対策を講じる。民主党案は政府案とともに継続審議となった。 |
全ての被害者に給付金を支給
カネミ油症事件では、食用油によって多くの人が重大な健康被害を受けたが、国は、被害拡大の防止、被害者の救済を十分に実施しなかった責任を問われていた。民主党は、カネミ油症被害者の抜本的な救済を図るため、165回臨時国会に「カネミ油症被害者に対する特別給付金の支給に関する法律案」を提出した。法案の内容は、(1)カネミ油症被害者を昭和43年に九州地方を中心に発生したダイオキシン類が混入した食用油を摂取したことによる健康被害が生じた事件における当該健康被害を受けた者と定めること、(2)カネミ油症被害者等に特別給付金300万円を支給することである。
超党派で仮払金返還免除を措置
民主党は、166回通常国会において、カネミ油症対策プロジェクトチームを設置した。与党との協議の結果、民主党案を撤回し、「カネミ油症事件関係仮払金返還債権の免除についての特例に関する法律」を衆院農林水産委員長提案の超党派議員立法として成立させた。これによりカネミ油症事件の損害賠償請求訴訟で原告と企業が和解したために仮払金の返還義務が生じた約500人のうち、9割程度が救済される見通しである。民主党は、今後も抜本的対策の実施に向けて取り組んでいく。 |