政権交代で少子化の流れを変える

前厚生労働大臣 長妻昭衆議院議員

「子ども手当」で子どもを守る

――「子ども手当」、なぜ今必要なのか。

 先進国の中でGDP(国内総生産)比率で、子どもにかける予算が最も低い国の一つが日本。結果として先進国の中で最も少子化が進んだ。「今、騎馬戦型といって現役の人3人が65歳以上の人1人を支えている。20年前は現役の人5人が65歳以上の人1人を支えていた。2055年になると現役の人1人が65歳以上の人1人を支える肩車型になる。」今、騎馬戦型といって、65歳以上の方1人を現役3人で支えている。20年前は現役5人が支えていた。2055年になると、現役1人で支える肩車型になる。こういうことが現実に起こると分かっているときに、国として何もしなくていいのかという強い危機感がある。肩車型になると重税国家になるか、あるいは福祉をかなり削減するという大変なことになる。子ども手当で、少子化の流れを変えたいということが大きな理由。
 現金給付の部分だけがかなり強調されてマスコミでも報道されるが、「現金給付が不足している分は子ども手当で」もう一つ、「現物給付が不足している分は保育所の整備で」と現金と現物は車の両輪だ。保育についても、大臣のときに1年間で保育サービスの定員を5万人ずつ増やすという5カ年計画を閣議決定した。自民党時代は毎年2万人ずつの定員増だったので2倍以上のスピードで増えている。国民の皆さんに「お子さんは何人ほしいか」とアンケートすると、2人と答える方が多い。しかし現実は1人、ではなぜかと聞くと、経済的理由、子どもを預ける場所がないというのが1、2番に並ぶ回答。二つの問題について子ども手当てと保育所の整備を充実させることでサポートし、少子化の流れをなんとしても変えていきたい。


「子ども手当」には実質的な所得制限が入っている

――所得制限が必要との指摘があるが。

 確かに子ども手当だけでみると所得制限は入っていないが、扶養控除をやめる代わりに子ども手当を給付するということ。扶養控除をやめると年収の高い人ほど所得税を多く払うことになるので、家計を全体として捉えれば実質的な所得制限は入っている。

――自民党政権下ではなぜ少子化対策を優先しなかったのか。

 子どもに使う予算には反対する議員が多い。高齢者に使う医療、年金への反対は比較的少ないが、日本の場合、子どもに使う予算については「もっと他に重要なことがあるのではないか」ということになる。つまり、自民党政権では少子化問題は先の先のことという認識だった。
 しかし、国家100年の大計に立つと、今手を打たなければ非常に大きな問題になる。今回政権交代を機に、今までずっと後回しにされてきた少子化問題に大きくかじを切った。


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