1万3千円の子ども手当支給

山井和則 元厚生労働大臣政務官

全年代を対象とする社会保障に変える
そのひとつのシンボルが子ども手当

――政権交代の意義をどう見るか。

 福祉政策に特に力を注いできて、後期高齢者医療制度とか障害者自立支援法とか、さまざまな点で自民党中心の前政権は弱い立場の人たちに冷たいと思ってきた。一番困っている人たちにやさしい政治に変えねばならないと思っていて、政権交代があったからこそ、流れができた。

――子ども手当はなぜ必要なのか?

 EU諸国と比べて日本は保育所整備も遅れ、現金給付も不十分で、子育て支援政策が遅れていた。出生率が高いEU諸国は、日本よりも多くの予算を割き、少子化の歯止めともなってきた。日本ではまた、高齢者への予算と比べて子どもへの予算は10分の1程度。民主党政権ではその割合を高めていこうということで子ども手当を創設。政権交代という大転換期を経て、若者や子育て世代への大胆な支援強化へと動いた。平成22年度から月額1万3千円の子ども手当の支給を開始し、平成23年度は3歳未満の子どもへの支給額を月2万円に引き上げる。


――しかし、保育所整備が先では?

 民主党は子ども手当だけではなくて、保育所整備などの現物給付にも力を入れ、旧政権のときより約2倍のスピードで保育所整備に取組み、年間約5万人分の保育所整備計画中。つまり「子ども手当」か「保育所整備か」の二者択一ではなく、車の両輪として「子ども手当」も「保育所整備」も実現するのが民主党の考え方だ。来年度も「安心こども基金」に1千億円、子育て支援に市町村が自由に使える子ども手当交付金500億円で、計1500億円の予算を確保して保育所整備支援を強化している。

――支給の際は所得制限が必要では?

 そういう指摘があるのはもっともだと思う。しかし、子ども手当は税金の控除とセットでの改革なので、「事実上の所得制限」が入っている。つまり、これまでの税金控除は高額所得者ほどメリットがあったが、民主党政権では控除を段階的になくしている。そのため、子ども手当だけを見ると所得差に関係なく同額だが、裕福な家庭ほど控除が多く減る形をトータルで考えると、事実上の所得制限が入っている形と言える。


――外国人の子への支給は不要では?

 今国会に提出している、4月1日から実施する新しい子ども手当法案では「親が外国人で母国にいる外国人の子ども」には支給しないように改正してある。
ただ、実はこれは子ども手当の問題点ではなくて、児童手当の問題。児童手当は1986年から外国人の外国にいる子どもたちにも支給さていた。子ども手当ではそれを改めることになる。

――親のいない子への支給は?

 「両親のいない子どもたちも同じように支援する」というのが民主党政権の一番のこだわり。実は今までの児童手当は、両親のいない子には支給されていなかった。しかし、民主党政権では、子ども手当と同額の月1万3千円を4月1日から全国約1万1千人の親のいない子どもたちに支給する法案を出した。これが成立しないで児童手当に戻ると、この親のいない子どもたちへの支給はゼロになる。この事態はどうしても避けたい。


――子ども手当の効果は出たか。

 「子ども手当」と「保育所整備」を、車の両輪としてしっかり続けることで、日本は子育てしやすい社会に大きく変わっていくと思う。将来振り返ったとき、政権交代で子ども手当が創設され、保育所整備にもより力を入れた、あの政権交代の瞬間から日本がより一段と子育てしやすい国になったと、歴史が評価をしてくれると思う。

――政権交代してやりたいことができたか?

 かなりやらせてもらいつつある。たとえば福祉生活支援資金という貸付金があるが、より借りやすく制度を変えたことで、私立高校生の中退率が前年の半分以下になった。さらに旧政権下ではできなかった低所得の父子家庭への児童扶養手当の支給も実施し、約10万世帯の父子家庭を応援できた。政権交代のひとつの成果といえる。


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