社会全体で「学び」を支える

高井美穂 前文部科学大臣政務官

「コンクリートから人へ」の予算づくり

――政権交代で大きく変わったことは。

 政権交代は何かというと、予算の組み換えだと思う。予算を何に配分していくか、優先順位をどうするかが一番の核。「コンクリートから人へ」の基本方針の下、平成22年度予算で公共事業費18%削減、教育費8・2%増加を実現、高校の授業料無償化政策に約4千億円が上積みされた。これは大きな政策転換。この流れは継続され、平成23年度予算では菅直人総理肝入りで科学技術の予算が増加、初めて文部科学省が事業官庁として国土交通省の予算を抜いた。「人を、絆を大事にする政治」が予算に表れていると思う。


高校の授業料無償化

――なぜ自民党ではできなかったのか。

 民主党と自民党では視点が違う。国民のための政治というのが原点で、業界のための政治ではない。
 例えば、高校の授業料無償化は画期的なこと。私立でも公立でも子ども一人あたり約12万円均等に学びを支援する。高等学校以上の後期中等教育で日本は先進国中、特に家計の負担が大きく、これまでその軽減ができなかった。
 現在15~18歳世代の約98%が学校に通っている状況で、そこの学びを社会全体で支える政策が民主党政権で初めて実現できた。後期中等教育と就業前保育、つまり義務教育の両端を支えることが大事だ。
 「格差社会」と言われるようになり家計が悪化する中、高等学校に進学したいが経済的な理由であきらめる家庭もある。何らかの事情で私立を選んだ家庭には特に支援が必要だったができずにいた。そこに4千億円、思い切った価値観の転換をするには政権交代が必要だった。経済格差による学力格差はデータ的にも示されている。

――実際に何が変わったのか。

 一言で言えば「助かる」と言われる。直接的に家計を助けることになったと思う。

――各自の家庭の責任との見方も根強かった。

 もちろん家庭教育が基本だが、ライフスタイルも多様化する中、国家戦略として「子は宝」「人材は宝」。日本は、国土も狭く資源も少ない、ものづくりの技術、人の力があってこそ生き延びてきた国。その原点に立ち返ることが大事。厳しい状況に置かれる人により目を向けようという政策だ。


子ども目線の支援策

――ばら撒きだとの批判には。

 政策目的が子どもへの支援で明確。批判は当たらない。
 子育て支援の基本は、①現金給付などの経済的支援②保育サービスなど現物給付の充実③ワークライフバランス、子育てできる環境づくりを一体で行うこと。社会全体で子育てするという概念が大事で、それを子どもの目線で組み立てたのが民主党の政策だ。

――子育て支援は自民党政権時代と比べて大きく変わったか。

 今、変わりつつあるところ。「幼保一体化のワーキングチーム」として関係各省で議論を重ね、まとめた法案を今国会に提出する。また、「待機児童解消『先取り』プロジェクト」を立ち上げ、平成23年度には200億円の予算を計上した他、子育てに関するサービスを充実させるという点で就学前教育の一体化など色々な制度を仕組んでいる。法案が成立すれば幼児教育と保育をともに提供する「こども園」をつくる方向に一歩踏み出すのが次のステージ。  民主党は「チルドレン・ファースト」で、子どもの視線で何が必要か、機会の平等は実現しているかという観点でこれからも取り組んでいく。

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