政治主導で地域主権改革
逢坂誠二 総務大臣政務官

自治体の現場ではできないことがあった。地方の財政がどんどん疲弊し、福祉もどんづまり、教育も劣化、所得格差も拡大してきたことなどが大きい。
特に激烈な変化は小泉時代の「三位一体改革」。地方財源が6・8兆円減らされ、自治体独自の事業ができにくくなった。このままでは国家全体の衰退につながると。
自民党では変えられない。官僚に支配され、業界のしばりも強い。新しい政権でなければできないと考えた。
1200条項の義務づけ・枠づけ廃止を決定

そして政権交代が起き、政治主導で地域主権改革を進めようということになった。
自治体の行う事務に国が基準を押しつけている「義務づけ・枠づけ」が約4千条項もあったが、前政権はその一つも廃止できなかった。われわれは1200条項ぐらいの義務づけ・枠づけ廃止をすでに決めている。
例えば、従来は道路を造ろうとすると、交通量の多いところも少ないところも同じ基準で、農村でも両側に広い歩道のある2車線が求められる。このような点を自治体の自由裁量でできればコスト的にも助かる、そういう判断をできるようになる。
――今までの仕組みは地域の実情にあう行政ができなかったと。地方議会を見ても全国ほぼ同じ。200人の村も360万人の自治体も同じような自治体の仕組みでいいはずがない。
効率よくサービスを提供、満足度も向上
――自治体の発想でやると、住民の生活はどうなるのか。保育所なども、都市のような仕組みだけでなく地域のお母さんが手伝うようなフレキシブルなやり方もありうると思う。同じだけの税金を使っても効率よくサービスを提供でき、サービスの質や満足度は高まる。
――地方議員にまかせると心配だという声もあるが。それはニワトリが先か卵が先かの議論。十分でないのも事実だが、実質的判断をする力をつけなければいつまでたっても不十分なままだ。だんだん実力をつけていく道筋をつけることが大事だ。
――3年後、5年後、どういう地域社会に。ヒモツキ補助金を廃止して一括交付金化する。これまでは、細かくメニューが決まっていて、いつまでにどのように使うか細かい制約の中で事業をしなくてはならなかった。
地域の運営に住民が責任を持つことの意義
初年度から全部自由になるわけではないが、自分たちで地域の仕事の優先順位、仕事の中身も地域に合うように決めていく。地域の運営に自分たちが責任を持つことにつながっていく。いままでは国に依存。そこから自立へと変わっていく。
――自立すると住民が大変になるのでは。むしろ依存していた結果、自治体の財政が厳しい状況に陥っている。自分たちで判断しなかった結果、事業の必要性も判断しないまま、借金が増えて住民が困ることになった。責任を持つということは、最初は苦しいが、結果的には安心して暮らせるようになる。