円高・経済対策

前財務大臣政務官 大串博志衆議院議員

大串博志
――昨年8月に円高傾向が一気に進んだ際、的確に対応できたか。

 7月くらいの段階からマーケットの動きを注視していたので、8月半ば頃から景気に対する大きな懸念が出てきた1週間後の8月末には、1兆円規模の経済対策を打ち出せた。
 10月の頭にはさらに5兆円規模の経済対策の基本方針を出した。つまり、経済が危ないという声が出てきてから2カ月ほどの間に合計6兆円規模の経済対策を決定している。2年半前のリーマンショックの際に比べると、極めて早い対応だった。

――どういう景気対策をとったのか。

 8月末は、22年度予算の中にある経済緊急対応予備費、これが1兆円弱あるが、これを使って、当面緊急に必要な災害対策とか、緊急避難的な公共事業を中心に景気に即効性のある項目を出した。
 10月に基本方針をまとめ、11月に補正予算の審議を行った5兆円の景気対策については、成長戦略に整合的な形で成長分野に資金を供給していくという形での経済対策とした。
 これらは、成長戦略のいわゆるホップ・ステップ・ジャンプをなすもので、成長戦略のメインフレームである23年度予算へと一つながりで続けていく。

――これまでは経済対策で借金が積み上がってきたが、今回は。

 財政が厳しい中で、財政赤字をあまりに増やして、しかも効果の低いことに使っていくことはもうできない。いずれも既存の予算の見直しの中から財源を作っていったという点で、よりよい使い方ができたと思う。

――為替介入の効果はどうだったか。

 円高に対して市場介入を行うとすれば、適切なタイミングを計らなくてはならない。かつまた迅速に対応しなくてはならないという思いの中で、9月半ばには為替介入を大胆に行った。
 その結果、80円を割り込むかもしれないというレベルから、一気に3円数十銭円安になった。その後も為替に関しては一気に円高に進むことなく、市場に対して、本当に必要なときは介入するというメッセージが効果的に伝わっていると思う。


大串博志
――6年ぶりの為替介入だった。

 新政権として、経済の問題に非常に敏感に、かつ、政治決断するときはするという姿勢を示せた。為替介入は役人からすると、失敗したらというリスクが大きく、決めるのは政治の決断しかない。そのためこれまで6年間決断できなかったが、今回は野田大臣以下政務三役が、役人の意見をしっかり聞きながら、最後は政治決断を行った。


――今後の景気は。

 リーマンショックから立ち直っていくなかで、心配されていた2番底はなかった。今年に入ってから株価もコンスタントに1万円超の水準を維持している。為替も円高のレベルにはあるが、過度の動きはなかった。そういった中で各種指標も年末から年始にかけて明るい動きが出ている。この1年半の経済運営の中で、日本経済は比較的強い方向に活性化してきていると思う。

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