安心できる年金制度へ

前内閣官房副長官 古川元久衆議院議員

このままじゃもたない! 現在の年金

古川元久
――現在の年金をどう見ているのか。

 現在の年金は、そもそもかつての高度経済成長下で①終身雇用②若い世代が多くて高齢者が少ない人口構成③右肩上がりの経済──といったことを前提に制度設計されている。
 転職はないという考え方に立つため、サラリーマン、公務員、自営業者というように職業別の年金制度となっており、サラリーマン等は年功序列型の賃金体系を前提とした制度設計となっている。
 ところが現在は、転職は当たり前となり、高齢化は進み、経済はマイナス成長。年金の制度設計の前提そのものが大きく崩れている。
 つまり、現在の年金は時代に合わないものとなり、このまま維持しようとすれば、保険料引き上げ、給付カット等でつじつま合わせをするしかない状況に陥っている。

――民主党が考える新しい年金制度とは?

 若い世代が高齢期を迎える2050年頃を想定した様々な統計データが出ている。民主党はそうしたデータを踏まえて、高齢化が進んだ社会構造にも見合う、存続できる年金制度の確立を目指している。「不公平から公平へ」「損得から納得へ」ということで、公平な制度で国民の皆さんに「なるほど」と納得いただける制度だ。
 具体的には、現行制度の加入者が今までかけてきた分については、その保険料に見合った給付を行うが、新しい制度がスタートして以降は、どんな職業でも同じ制度に加入し、公平な年金給付が約束されるものとなっている。


若者が受給する2050年頃、
明確で安心できる年金の確立へ

古川元久
――税方式か保険方式かという議論があるが。

 現在の年金制度は社会保険制度という名称のため「社会保険料で賄われている」と思われがちだが、実は多くの税金が投入されている。ところが、どこまでが保険料でどこまでが税金かがよくわからない状態のため、税金の存在が薄れがちだ。
 そもそも保険の原理と税の原理は役割がまったく別だ。保険は負担と給付の関係が明確で「負担に応じて給付を受けられる」のが基本原理。一方の税は「所得の再分配」の原理に基づき、所得の低い人に多く配分していくというものである。
 民主党が提案している新しい年金制度は「保険料の原理に基づく給付部分」と「税の原理に基づく給付部分」を明確にしている。
 「所得比例年金」は所得に応じて保険料を支払い、納めた保険料に応じて給付をもらうという保険原理を反映する部分で、「たくさん納めた人はたくさん返ってくる」支給である。一方、所得比例年金の金額が少ない人を中心に税によって「所得の再分配」の原理に基づく「最低保障年金」を加え、安心できる年金の支給を実現していく。

――年金の議論が始まったが、少子高齢化が進む中、社会保障の問題は解決するのか?

 いま日本が直面している少子高齢化は今後、世界の多くの国で同様の状況に入っていく。日本は世界に先駆けて、少子高齢化のモデル社会を体験しており、それに合った社会システムをつくることはチャレンジだ。世界が直面する問題に対して日本が最初にモデルを作って示すことは大きな意義がある。ひるむことなく、直面している課題にみんなで英知を集めて新しい社会のモデルを作っていきたい。


▲ページトップへ