日本人の食を守り、環境を守る

元農林水産大臣政務官 舟山康江参議院議員

――政権交代で何が変わったか?

 政策意思決定過程が変わったことが一番。特に農水分野はマニフェストで示した基本理念に基づき、政務三役が議論・大方針を決め、基本方針をブレずに貫いた。また、縦割り行政脱却への道筋をつけることも進んだ。例えば去年できた公共建築物木材利用促進法では、国産材を使ってもらいたい農水省と、建築基準・使用基準が合致しないと主張する国交省が真っ向からぶつかった結果、使いやすい形に変えていった。

――なぜ実現できたか。

 政治主導だからできた。当初は農水省と国交省の役人同士の議論がなかなか進まなかったので、直ちに国交省の三日月大造政務官と打合せを重ねて前に進めた。政治家がリーダーシップと理念をもって取り組んだことで解決した。


民主党が進める戸別所得補償制度

――戸別所得補償制度はなぜ必要?

 民主党が戸別所得補償制度を打ち出した背景には、日本の食料自給率の低さがある。日本の食料自給率は現在41%と主要先進国で最低の水準。小麦の自給率は14%、大豆も6%と深刻。もし輸出国が自国内の消費や物価の安定を優先して輸出規制すると、日本は食料を輸入できなくなる。
 こうした状況に対し、EU諸国、米国などは直接所得を補償することで自国の農産物の生産を守り、自給率を高める政策をとっている。 日本はこの点で遅れをとってきた。民主党政権では「このままでは日本人の食が危ない」と考え、米・麦・大豆などの主食の生産を維持するため、農家の生産を下支えする戸別所得補償制度を打ち出した。農家を守ることはもちろん、日本人の食を守るために戸別所得補償制度は必要だ。


再生産可能な農業へ

――なぜ農家ばかりを支えるのか

 農産物の価格低迷や生産性の低下等によって、農業現場は経営が成り立たなくなり、後継者不足、高齢化、離農、耕作放棄地の増加など、日本の農業は存続が危ぶまれる深刻な状況にある。日本の農業と農村環境を守っているのは兼業農家や小規模農家であり、農業を行うことで緑や水を守るという非常に大きな役割を果たしている。農家を支えることは、日本の環境と食を守ることにつながる。民主党政権が行う農業者戸別所得補償制度はそうした理念に基づいている。
 消費者の間では、「農家ばかりをなぜ守るのか」との誤解があるが、この直接支払は安定した価格で農産物を買えるようになるという意味で消費者にもメリットがある。

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