法律関係の安定が復興の大前提

法務部門会議座長 辻恵衆院議員

がれき処理は復旧に向けた第一歩

――東日本大震災を受け、部門会議としてどのような取り組みを行ったのですか。
辻恵議員

 震災直後に、がれきの処理について環境部門、政府とで協議を行いました。津波で損壊した建物、自動車、船舶等のうち一定の形を留めるものは撤去に所有者の承諾が必要なため、所有者不明の漂流物の扱いが問題でした。政府見解として3月下旬に「損壊家屋等の撤去に関する指針」を公表し、遺失物法の対象は貴金属その他の有価物及び金庫等に限り、機能を失ったと判断される車や船舶等は「所有者の承諾なく撤去しても差し支えない」としました。

――がれきの撤去は進んでいますか。

 進んでいます。政府・与党として基本的な方針を早急に打ち出せたのは良かったと思います。


よりきめ細やかな対応を要請

――他に部門会議としてどんな取り組みをされましたか。

 全壊あるいは流された建物について、所有権を失わせる「滅失」の登記手続きを職権で進められるようにすることや登記関係の証明書類の手数料を免除するよう要望しました。被害を受けた土地・建物の実態調査や成年後見人・被後見人等の被災状況の調査の実施も問題提起しました。

――外国人へはどのように対応されますか。

 再入国要件の緩和措置や在留資格の延長措置等に加え、部門会議ではFM放送で各国語による情報提供支援策や相談窓口体制の充実等さらにきめ細やかな対応を求めています。

――行方不明者についてはどうですか。

 民法では、大災害に遭われ行方不明になった方の失踪宣告を「特別失踪」といって1年間の経過で死亡認定ができるとしています。しかし、今回の大災害で未だに行方不明な方の多くは亡くなっている可能性も高く、相続問題など法律関係が複雑になることから特例で3カ月に短縮すべきだと問題提起しました。

法律関係の安定が復興の大前提

――失踪宣告期間が1年では何が不都合なのですか。

 3カ月の間に建物の滅失登記や土地の境界や所有権の新たな確定を行うにあたり、生存が不明な方の名義のままでは、その後その方の死亡が確認された場合に相続人の範囲が広がるなど多くの問題が出ます。法律関係の安定が復興の大前提なのです。

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