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民主党政策集―私たちのめざす社会―
【8】外交・安全保障
外交
 冷戦後、国際社会は劇的な変化を遂げていますが、生活資源と安全を世界に大きく依存する日本にとって、平和で安定した国際環境は、まさに国家と国民生活の存立基盤そのものです。受身の外交姿勢を改め、主体的な構想力をもって世界の平和と豊かさに貢献する中で、日本の平和と豊かさを実現することが日本の「開かれた国益」です。排外的なナショナリズムや一国平和主義ではなく、日本と他の国がともに利益を享受する外交を展開します。そのために、日米同盟の進化、「東アジア共同体」の創設などアジア近隣諸国との信頼醸成、紛争予防の積極的な展開、軍縮や地球環境、人権・貧困問題等への取り組み、国連平和維持活動など国連の場を重視した平和秩序の構築、ODAの活用やNGO支援など非軍事的貢献を通じた途上国支援などを重視します。    民主党は、紛争の発生を未然に防止する「紛争予防」を外交活動の柱とします。国際社会での対話と信頼醸成を推進することで「アジア不戦共同体」につながる「東アジア共同体」のような紛争に至らないための国際環境を築くこと、対立は火種のうちに和解を図ること、地域紛争やテロの背景にある経済的困難及び貧困や社会的不平等の解決に向けてNGOや国際機関等と連携して開発協力や人道支援などを積極的に行うことなど、総合的な外交力で平和の創造に貢献していきます。    報償費汚職など一連の不祥事が続いてきたにもかかわらず、政府による改革は、看板の架け替えに終始し、遅々としてすすみません。民主党は、この悪循環を断ち切る根本的な外務省刷新を求め、2000年4月、民間大使の積極的な登用などを盛りこんだ民主党の人事刷新案を発表しました。さらに、2002年7月に「外務省刷新:さらに、2002年7月に「外務省刷新:7つの柱」(外交のあり方と組織使命、組織、人的資源、経理・業務監査、海外援助と国際開発、情報収集・情報公開、外交戦略の刷新)を提示し、外交の再建に全力で取り組んでいます。「日本の顔」として柔軟かつ効果的な外交を展開するため、在外公館のあり方を見直し、大使など(特命全権公使を含む)の任用対象を、民間人、学識経験者、NGO関係者、首長や政治家などに広げ、日本人の顔が見える活力ある外交を推進します。また、特命全権大使・公使の任命について同意人事案件とし、委員会による事前審査ができるよう「外務公務員法の一部を改正する法律案」を提出します。    一連の不祥事の温床となった機密費を、抜本的に改革するため、(1)国の安全や外交等に係る本来の「機密費」と一般経費を峻別し、厳しい用途制限を課す、(2)「機密費支払い記録書」の作成と、決算行政監視委員会(衆)、行政監視委員会(参)に設置する小委員会での非公開審議を実施する、(3)特に機密性の高いものは25年、それ以外は10年経過後に公表を義務づける、等を内容とする「機密費の使用に係る文書の作成、公表等に関する法律案(仮称)」の成立をめざします。  米国は、政治、経済、安全保障、文化・人的交流など多様な分野での重要なパートナーです。地球的な問題や国際社会の平和と安全、自由経済の推進や各国の民主化支援など様々な政治・経済上の課題に対し、日本は、米国との間に質の高い政策協議と協調行動を積み重ねていくべきです。日米安全保障体制を基軸に据えながらも、大量破壊兵器が発見されなかった事実を踏まえてイラク戦争の大義を検証し、今後のイラクの政治プロセス及び復興支援へのあり方について、フランス・ドイツなどとの連携を深めるなど、より成熟した日米関係の中で、国際情勢の変化に合わせて絶えず主体的に日米同盟のあり方を検証していきます。  民主党は、沖縄に集中する在日米軍基地の縮小をめざすとともに、2000年5月に「日米地位協定の見直し案」を策定し、政府に改定を迫ってきました。特に、一定の凶悪犯について起訴前に日本の司法当局に引き渡しを認める原則、米軍施設等への日本の法令適用原則、環境保全条項の新設などを盛り込むことを「平成の条約改正」と位置づけ、早急な改定を求めてきました。2004年8月に発生した「米軍ヘリ墜落事件」では、米軍の専行的な捜査権行使が問題となり、民主党は、事故後の現場の統制は、第一義的に日本側が行うことなどを内容とする項目を追加し、改めて、地位協定の改定を主張しています。  ロシアは、冷戦後の国際社会において、プーチン大統領の下、国際テロ対策での協調、アメリカとの核軍縮、NATOとの連携強化、先進国首脳会議(サミット)への正式参加、印パ紛争への仲介努力など、新たな秩序構築に向けて着々と外交実績を積み上げています。日本は、核兵器廃棄への支援、経済・文化交流、民間交流などを継続しつつ、平和条約締結交渉や鈴木宗男元議員の関与などで歪められた北方領土返還交渉について、抜本的に建て直します。とりわけ2005年は、日露修好150周年であり、両国関係のさらなる前進に向けて、積極的な働きかけを行っていきます。    ロシアとの北方領土返還交渉は、北方四島支援事業における外務省不祥事などで頓挫しています。民主党は、北方四島の一括返還をめざし、2000年8月の羽田孜幹事長(当時)による初の総理経験者の北方領土訪問や2004年及び2005年の鳩山ネクスト外務大臣の訪露ロなどを通じ、野党として問題解決に積極的に取り組んできました。今後とも、経済・文化交流等の一層の活性化を通じて信頼醸成につとめ、ロシア国民の理解を深め、北方領土返還に向けてねばり強く交渉に臨みます。  2003年3月に新指導部体制が発足した中国は、政治、経済の両面で、ますます国際社会における存在感を高めています。改革開放路線やWTO加盟、ARF(アセアン地域フォーラム)などへの積極的な関与をはじめとした外交姿勢を歓迎する見地から、2004年4月、菅代表(当時)は小泉総理に先駆けて胡錦濤国家主席と会談し、アジアの地域協力、北朝鮮の瀬戸際政策で緊張する地域情勢等について緊密に協議し、党間交流のさらなる活発化など、良好な日中関係の構築に努力を重ねてきました。
 しかし一方では、中国との間には、脱北者問題や対中ODAのあり方、東シナ海における海洋権益問題、日本の国連安保理常任理事国入りなどについて意見の相違が表面化しました。両国の冷静な議論が必要とされたにもかかわらず、小泉総理の靖国神社参拝問題など歴史認識にかかる不用意な言動と稚拙な外交などによって、反日デモ等が発生し、在留邦人や進出企業に被害が出ました。
 対中関係は、日本外交にとって極めて重要であり、建設的かつ友好的な話し合いによる懸案解決が重要です。両国首脳間に信頼関係を築きあげ、経済、金融、通貨、エネルギー、環境、海洋、安全保障などの分野で政策対話を深化させ、制度化していきます。    2005年、日米安全保障協議委員会の共同発表における共通の戦略目標として台湾に関する記述がなされました。民主党は、台湾の一方的な独立を支持せず、同時に中国の台湾に対する武力行使については断固反対します。わが国は、台湾海峡をめぐる緊張が生じないように中国・台湾にあらゆる予防的働きかけを行うことを最重要課題の一つに位置づけるべきです。その際には、1972年の日中共同声明が前提となることは当然のことです。  韓国は六者協議の当事国であり、日韓関係の動向は、拉致事件や大量破壊兵器問題の解決はもちろん、朝鮮半島の平和と安定のために重要です。小泉総理は、歴史問題や靖国問題等で無用の混乱を生じさせ、2005年6月の日韓首脳会談においても両国の溝は埋まりませんでした。日韓FTAの締結など諸懸案を解決し、日韓関係を推進するとともに、六者協議をさらに発展させて「東アジア共同体」の実現を視野に国民間の交流を推進します。    民主党はわが国の安全保障に直接影響を及ぼす北朝鮮問題に真剣に取り組んできています。2002年9月17日の日朝首脳会談で「日朝平壌宣言」が署名され、日朝国交正常化交渉が再開されました。その際、北朝鮮は日本人拉致の事実を認め、その後、核開発の事実が明らかになりました。拉致事件やミサイル及び大量破壊兵器の開発・保有問題は、わが国の主権と国益、国民の生命と人権に関わる重大な問題であり、民主党はこれらの解明・解決を最優先課題とします。拉致問題の解決なくして日朝国交正常化はありません。北朝鮮は、瀬戸際政策をエスカレートさせていますが、日米韓を中心に、中国、ロシア、EU等関係各国が緊密に連携し、北朝鮮の姿勢を慎重に見極めながら、日本と北東アジア地域の平和と安全に資するよう取り組んでいきます。六者協議の充実を図りながら、この地域の信頼醸成及び協力のための枠組み(「東アジア共同体」など)の創設を展望しつつ、国連を加えた取り組みを充実させます。    2002年の在瀋陽日本総領事館への北朝鮮脱出者の駆け込み事件は、外務省の態勢や体質ばかりでなく、わが国の難民などへの対応全体の見直しを迫るものでしたが、その後、対策は遅々としてすすんでいません。北朝鮮にはかつての在日韓国・朝鮮人や日本人配偶者、その家族が20万人はいるとの推計もあります。民主党有志による議員連盟を設立し、韓国・中国・米国・国際機関やNGOなどとも協議しつつ、中朝国境の北朝鮮からの脱出難民に対する人道的な救済策を含めた「北朝鮮人権侵害救済法案」を2005年2月に策定し、国会に提出しました。    北朝鮮による日本人拉致事件は、主権と国際的な人権侵害の見地から重大問題です。帰国された拉致被害者の支援に万全を尽くすとともに、被害者や家族に対する北朝鮮の謝罪と補償、被害者の全面解放と永住帰国による原状回復、特定失踪者問題を含め、拉致事件の全容解明などについて、北朝鮮の具体的かつ誠意ある対応を強く迫りつつ、完全解決に向けて全力で取り組みます。2003年2月及び2004年7月、民主党訪米団は、米政府や議員、有識者等に対して、拉致事件の解決に向けた協力要請を行いました。また、「民主党拉致問題対策本部」などの積極的な取り組みにより、安全保障上の見地から海外への送金停止を可能とする「外為法」の一部改正と、人、モノの動きを制限できることを内容とする「特定船舶等入港禁止特別措置法」を成立させました。さらに、北朝鮮に残された被害者を救済するため、「北朝鮮人権侵害救済法案」を策定し、その成立をめざしています。成立した「改正外為法」、「特定船舶等入港禁止特別措置法」に基づく措置の発動も視野に入れ、拉致事件、核・ミサイル問題の解決に全力をあげますが、一定期間内に実質的・具体的進展がみられない場合、六者協議の場に加え、国連安保理での問題解決を求めるなど、国際世論にも強く働きかけていきます。      EU憲法条約の批准は困難に直面していますが、ユーロ通貨統合やEU拡大など、欧州が新たな動きを見せるなか、わが国と欧州各国やEUとの関係は、政治的にも経済的にもますます重要になっています。欧州における政策動向についての理解を深めるとともに、国際テロ対策での協調、WTO交渉、環境問題等について、ASEM(アジア欧州会合)やG8(先進国首脳会議)などの場を通じて、相互の連携の強化と深化を図っていきます。  南西アジア地域各国とわが国とは、文化・経済・外交等、親密で友好な関係を築いてきましたが、残念ながらインド・パキスタン両国の緊張が続いています。民主党はこの状況を憂慮し、党幹部や女性議員団等の両国訪問を通じて、両国に対して自制と対話、和解を強く求めてきました。特に、両国の核兵器の保有については自制と核軍縮をねばり強く訴えています。民主党は今後とも、南西アジア地域の安定のために積極的に取り組みます。    アフガニスタン問題は、「テロとの戦い」の原点とも言われており、同国への復興支援は、アフガニスタン国民だけでなく、中央アジア地域の安定や国際テロの撲滅、麻薬の取締りなどの観点からも重要です。民主党は、募金活動や内外のNGOと連携して人道支援、復興支援に積極的に取り組み、2002年11月、民主党主催のアフガニスタン女性支援会議を実施し、また、2005年1月、「当面の民主党アフガニスタン復興支援策〜法の支配の下での市民社会の発展をめざして」を策定しました。アフガニスタンが再びテロの温床とならず、長く続いた銃による支配から脱却して安定した市民社会に移行していくため、持続的な発展を促す支援の重要性を訴えています。  イスラエルの軍事攻勢とパレスチナの自爆攻撃との応酬は、とどまるところを知りません。2003年初めには米国による中東和平の「ロードマップ」(行程表)が公表されましたが、イスラエルによる分離壁の建設やパレスチナ自治区における軍事行動は、武力衝突を一層激化させかねません。2005年5月、民主党調査団(岡田代表団長)は、イスラエル、パレスチナを訪問し、中東和平プロセスを進展させる必要性を強調しました。日本は、イスラエル軍の自治区からの撤退や分離壁の撤去とともに、パレスチナ自治政府が自爆攻撃停止のために具体的な措置を取るよう、国連等と連携して働きかけるべきです。また、米国がイスラエルに対して影響力を行使し、平和的にパレスチナ国家の樹立ができるよう、民主党としてもねばり強く働きかけていきます。      民主党は、イラクの大量破壊兵器開発問題について、国連安保理等を通じた国際協調体制に基づく解決が重要であると主張し、武力行使によらない平和的解決を訴えてきました。イラクに対し、累次の国連決議の履行、特に大量破壊兵器の完全廃棄を強く要請し、米国等に対しても、国連憲章に定める武力行使に関する国際法の原則に基づき、単独主義的な行動の自制を促しました。2003年3月、米国等が国連安保理での問題解決を放棄し、武力行使に至った際には、国連憲章など国際法に照らし問題があるとして、民主党は米国等によるイラク攻撃に反対しました。ただし、被災したイラク国民に対して、人道的見地から、医療・教育・経済分野等において積極的な復興支援を行うべきと主張しています。    民主党は、現地調査の結果も踏まえ、自衛隊の派遣に反対し、自衛隊に関する項目を削除したイラク特措法に対する修正案を衆議院に提出しました。攻撃の理由とされた大量破壊兵器は発見されず、米英両国での情報操作疑惑が深まったにもかかわらず、政府は自衛隊派遣を強行しました。2004年11月、民主党は、イラク・サマワにおける自衛隊への襲撃や邦人人質事件の発生などを重く受け止め、「イラク特措法廃止法案」を提出しましたが、政府は自衛隊の派遣期限である2004年12月、国会閉会中に自衛隊の派遣延長を決定しました。民主党は、イラクをいち早く復興し、イラク人による国家建設を実現するため、積極的な支援策を講じていくことには賛成です。しかし、イラクでは自爆攻撃等によって多くの犠牲者が出ています。イラク特措法に照らしても、自衛隊の活動が可能とされる「非戦闘地域」は存在せず、自衛隊の派遣要件を満たしていません。民主党は、政府が「出口戦略」を組み立て、イラクの自衛隊を撤退させることを強く求めています。    日米中にまたがるアジア太平洋地域が世界経済に果たす役割は、相互協力関係を高めるうえでも極めて大きいものです。アジア太平洋経済協力会議(APEC)の強化及び自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)の推進などにより、地域貿易の自由化を押し進めます。また、様々な民間の経済交流の場等を通じて、開かれた公正で自由な経済活動の場として、アジア太平洋地域の経済活動の環境整備と協力を推進します。また、アジア経済危機の教訓を踏まえ、国際的な投機の監視等を実施し、アジア金融システムの整備と安定にむけて積極的に取り組みます。    自由で公正、安定した国際経済システムは、グローバル化が進む世界で、共存共栄をめざすわが国に不可欠です。システムの恩恵を享受するばかりでなく、世界経済の健全な発展をめざして、各国及び世界銀行(IBRD)、国際通貨基金(IMF)、世界貿易機関(WTO)などの国際経済機関と緊密に協力・連携し、安定した国際金融・通貨システムと、環境や人権にも配慮した公正な貿易ルールの確立に積極的に取り組みます。    国連には、紛争解決能力の限界や非効率な運営などの問題が指摘されています。2004年3月、米国などが明確な安保理決議を経ずに対イラク攻撃を行ったことにより、国連安保理の機能不全、そして国連の権威の失墜が明らかになりました。日本は、国連が国際の平和、安全と繁栄に一層よく機能するように、国連改革に主体的・積極的な役割を果たすべきです。膠着した国連改革を抜本から立て直し、安全保障理事会の構成や拒否権の見直し、敵国条項の撤廃とともに、国内世論と加盟国の支持を前提にわが国の常任理事国入りをめざします。国連との連携強化という観点からも、日本人国連職員の増加を求めていきます。また、経済社会理事会の審議権限を強化し、開発や社会的な問題での総合調整機能を高めるようつとめます。2005年、国連改革が俎上にのる中、小泉政権の国連外交の失敗により、アメリカ、中国などの反対で日本など4カ国によるG4の改革案が支持されていません。改めて国際社会の平和と安定に実質的に寄与できるような改革案を提案します。    ODAには、様々な疑惑や外交政策としての効果への疑問が呈されてきました。民主党は、ODAを紛争予防・人道・人間の安全保障といった外交政策の新たな柱として位置づけ、基本法の制定をも検討しつつ、内容と執行方法を抜本的に改革することが必要と考えます。情報公開や外部監査・業務評価を徹底させ、透明性・効率性を確保し、インフラやハコモノ等ハード重視型から、教育・人材育成や技術支援、医療・福祉、保健衛生、環境といった人や生活、ソフト面重視型とし、NGOとの連携をさらに強化します。また、包括的・効率的そして戦略的視点にたった援助が実施できるよう「国際開発庁(仮称)」の設置を検討します。    今や私たちの生活は、一国だけでは解決できない地球規模の問題に脅かされています。環境問題、貧困、人権侵害、テロ、麻薬、難民、感染症、地雷除去など、人類の安全保障への対処は、紛争を予防し和解を図る上でも不可欠です。民主党は、国連の諸機関の改革やODAの活用、NGOとの連携等を図り、各国と協調してその解決に全力で取り組みます。    戦争や紛争のたびに、人種、宗教、政治的意見等を理由とする迫害を怖れ、大量の難民が生じています。日本は他国に比べて難民の受け入れに厳しい実態が、アフガン難民の申請や在瀋陽日本総領事館事件で改めて浮き彫りにされました。人道的見地から難民認定制度の抜本的な見直しと地域社会での受け入れ態勢の整備に着手します。また、そもそも難民が生じないよう、国際的な支援活動や予防外交を積極的に推進します。  ジュネーブ諸条約等では戦時捕虜や戦傷病者、文民等の戦争犠牲者の人道的な保護がうたわれています。文民の保護は、条約中の「民間防衛」の項で住民の避難等として列挙されていますが、わが国は、ジュネーブ諸条約を補完する「追加議定書」については、政府は有事関連法制においても検討を避けてきました。2004年、わが国は、「追加議定書」を有事法制関連の条約としてようやく批准しましたが、今後はその趣旨を生かした運用態勢を早急に整えます。  2002年7月1日、国際刑事裁判所の設立規程が発効しました。集団殺戮や人道上の重大犯罪、戦争犯罪、侵略を裁くための国際機関です。従来、戦争等に乗じて重大な犯罪行為が繰り返されながら、内政不干渉の原則等によって具体的な解決を阻まれてきました。日本は、国内法の未整備を理由に批准に至っていません。国際的に看過できない犯罪を裁くという趣旨から、日本は、規程を批准するとともに関連国内法を早急に整備し、国際刑事裁判所が機能するよう国際社会に働きかけていくべきです。  核保有国による核軍縮への取り組みと、実効性のある査察体制の確立を含む核不拡散体制の強化が喫緊の課題となっています。2005年5月の国連における核拡散防止条約(NPT)再検討会議は、最終文書を採択できないまま閉会しました。前回2000年の再検討会議では、核保有国の核兵器廃絶への「明確な約束」、包括的核実験禁止条約(CTBT)早期発効などを含む最終文書が採択されていただけに、残念な結果でした。北朝鮮のNPT脱退、核開発・拡散疑惑や、「核の闇市場」、小型核兵器開発、CTBTの動向など、解決が先送りされた問題は、依然として早急な取り組みが必要であり、核軍縮・廃絶への国際社会の努力を後退させてはいけません。民主党は、日本が被爆国として非核保有諸国やNGOわが国は被爆国として、非核保有諸国やNGO等と連携をとりつつ先頭にたって、核軍縮を国際社会に働きかけていくべきだと考えます。  NGO・民間・地方公共団体等のネットワークと連携し、幅広く厚みのある総合的な外交をめざします。平和と共生をめざす日本のあり方を国民全体で世界に発信していけるように、留学生支援や若者・青少年交流、スポーツ交流等の国際交流活動、NGOや青年海外協力隊等の地道な国際協力活動と連携し、日本の伝統・芸術・文化・技術・考え方などを積極的に発信し、「顔」の見える総合的な外交を展開します。
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