郵政事業・情報通信・放送
現在の郵政事業には、国民生活の利便性が低下していること、地域社会で金融サービスが受けられなくなる可能性があること、事業を担う4社の将来的な経営の見通しが不透明であることなど、深刻な問題が山積しています。
郵政事業における国民の権利を保障し、劣化したサービスを改善するとともに国民生活を確保して地域社会を活性化するため、国営・公社に戻すことなく、以下の郵政事業の抜本的な見直しに取り組みます。(1)「日本郵政」「ゆうちょ銀行」「かんぽ生命」の株式売却を凍結するための法律(郵政株式売却凍結法案)を可及的速やかに成立させます(2)郵政各社のサービスと経営の実態を精査し、国民不在の「郵政事業の4分社化」を見直し、郵便局のサービスを全国あまねく公平にかつ利用者本位の簡便な方法で利用できる仕組みを再構築します(3)その際、郵便局における郵政3事業の一体的サービス提供を保障するとともに、株式保有を含む郵政会社のあり方を検討し、郵政事業の利便性と公益性を高める改革を行います。
「かんぽの宿」等の一括譲渡を通して、処分先決定のプロセスも含め様々な問題があったことが明らかになったため、法改正の必要性を含め、日本郵政が承継した財産の処分等に関して透明性を高める方策を検討します。
NHK職員によるインサイダー取引など、NHKの信頼を揺るがす不祥事が続出していることにかんがみ、経営改革と体質改善を推進し、NHKが法令順守を徹底するように厳しく監視します。
受信料不払者の存在から来る不公平感の解消と未だ収入に対して比率の高い受信料徴収コストの削減のため、受信料のあり方や、受信料の徴収方法について検討します。
NHKの業務範囲が国民に理解されるものとなるよう、とかく不透明性が問題となる子会社について設置基準を見直して整理を進めるとともに、NHK本体と子会社の契約のあり方についても見直します。また、NHKの各チャンネルの位置づけを再度明確にした上でBS放送波の削減を検討します。
通信・放送行政を総務省から切り離し、独立性の高い独立行政委員会として通信・放送委員会(日本版FCC)を設置し、通信・放送行政を移します。これにより、国家権力を監視する役割を持つ放送局を国家権力が監督するという矛盾を解消するとともに、放送に対する国の恣意的な介入を排除します。
また、技術の進展を阻害しないよう通信・放送分野の規制部門を同じ独立行政委員会に移し、事前規制から事後規制への転換を図ります。
さらに、通信・放送の融合や連携サービスの発展による国民の利益の向上、そしてわが国の情報通信技術(ICT)産業の国際展開を図るため、現行の情報通信にかかる法体系や規制のあり方などを抜本的に見直していきます。
近年の技術革新により通信と放送の融合が進展しており、既存の通信・放送に関する法体系の総合的な見直しが課題となっています。現代の通信・放送の融合時代に対応した法制のあり方を検討します。
同時に、多様なメディアが存在する現状にかんがみ、表現の多様性を確保するために、クロスメディア所有(同一の者が新聞・テレビ・ラジオなど複数のメディアを所有すること)の是非も含めたマスメディア集中排除原則のあり方を検討します。
産業活性化や新たな技術開発、国民の利便性向上につなげるため、有限な資源である電波(周波数)の有効利用に取り組みます。
既存利用者の効率利用と新規需要への迅速な再配分を図るため、(1)電波利用料に電波の経済的価値を反映させることによる電波の効率利用促進(2)適当と認められる範囲内でオークション制度を導入することも含めた周波数割当制度の抜本的見直し――などを行います。
インターネットや携帯電話は、災害対策をはじめ、遠隔医療を可能にする、子どもの安全を守るなど、日常生活でも、また企業の活動でも重要になっています。しかし、地域によってはインターネットに接続できる環境の整備が遅れているところがあり、情報格差の拡大が懸念されています。情報ネットワークの構築が遅れている地域に情報格差が生じないよう、条件不利地域等に対する整備支援策等を通して、必要な環境整備・支援を行います。
2011年7月24日に地上アナログテレビ放送は終了し、地上デジタルテレビ放送のみになります。しかし、地上デジタル放送に対応できるテレビやチューナーを持っている世帯はまだ半数ほどです。また、山間部や離島など、地上デジタル放送が見られない地域も残っています。
地上デジタル放送への円滑な移行のため、(1)自治体との連携などによるデジタル放送受信に関する相談体制の強化(2)安価なチューナーの開発促進および経済的弱者に対するチューナーの購入支援(3)電波が届かない過疎、離島地域などでの中継局設置に対する支援(4)都市部などで高層ビル等が障害になり電波が届かない場合の共同アンテナ等の設置に対する支援(5)環境に配慮した地上デジタル放送対応機器への買替え促進策導入――など必要な環境整備・支援を行います。
過去に放送されたテレビ番組(コンテンツ)をインターネットで2次利用する場合には、すべての権利者から許諾を得なければならず、2次利用はなかなか進んでいません。インターネット上でのコンテンツの活用を図るため、著作権の保護に配慮しつつ、著作権処理の円滑化に向けて抜本的な検討を進めます。
特に、権利処理が困難な過去のコンテンツの再利用を円滑化するための措置を早急に検討します。