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民主党政策集INDEX2009

経済産業

中小企業は、わが国経済の原動力です。しかし現在、中小企業関連予算は、主に経済産業省、財務省、厚生労働省の三つの省庁が所管し、施策も別々に行われています。こうした縦割り行政が、わが国における中小企業施策の遅れの原因の一つと考えられることから、中小企業施策全般を一元的に担当する大臣を任命します。

中小企業が活力を持って光り輝き、安定的で健全な国民生活が実現できる環境を整えることを目的とした中小企業憲章を制定します。その具体的行動指針として(1)人材育成・職業訓練の充実(2)公正な市場環境の整備と情報公開(3)中小企業金融の円滑化(4)技術力の発揮と向上(5)中小企業の声に耳を傾ける仕組みづくり――などを定めます。なお、この中小企業憲章は現行の中小企業基本法と異なり、経済産業省・中小企業庁のみならず、文部科学省、総務省、厚生労働省をはじめ政府全体を挙げて、経済政策の中心として中小企業対策に強力に取り組むための基本方針とします。

大学との連携を通じた職業能力開発に対する支援を行います。学校教育のあらゆる段階で、早い年齢から、勤労の尊さと企業家精神の重要性について学ぶ機会を提供するとともに、専門学校・各種学校の役割を重視し、社会人が生涯を通じて高度な技能を習得できる場として積極的に活用できるようにします。

不当廉売や優越的地位の濫用による「下請けいじめ」を防止するため、「中小企業いじめ防止法」を新たに制定し、大企業による不当な値引きや押しつけ販売、サービスの強要など不公正な取引を禁止するとともに、独占禁止法の厳格な運用により厳正に対処します。改正独占禁止法に定める「優越的地位の濫用」の禁止については、早急にガイドラインを制定します。あわせて、下請法の対象となる取引を拡大します。また、下請業者の代金債権を保全する仕組みを導入します。

公正取引委員会の機能強化と体制充実を図るとともに、審判制度は廃止します。

融資の際に不動産担保・人的保証に過度に依存することのない資金調達体制の整備、安定的な資金供給を受けられる多様な資金チャンネルを創設するとともに、政府系金融機関については個人保証を撤廃します。また、自殺の大きな要因ともなっている連帯保証人制度について、廃止を含めあり方を検討します。貸し渋り・貸しはがし対策として、中小企業向け融資について金融機関に対する指導監督を強化します。当面の金融危機への対応のため、中小企業に対する融資について債務の返済期限の延長その他の貸付の条件の変更を実施する金融機関に対して支援を行います。「特別信用保証」制度を復活させ、保証制度をより使いやすくします。セーフティネット融資(原油高騰関係)の既往貸付の繰延返済を認めるとともに、セーフティネット信用保証の対象業種を中小企業庁関連の全900業種(創業後3年以上)に拡大します。

「地域金融円滑化法」を制定し、地域への寄与度や中小企業に対する融資状況などを金融機関が情報公開するルールを設定します。

中小企業の技術力と大企業や外国企業のニーズとのマッチングを効果的に行う環境を整備します。中小企業の培った技術力が次世代に適正に継承されるよう、税制の見直しなどの環境を整備するとともに、IT、バイオ、ナノテク、環境、エネルギーなどの先端分野に対する科学技術研究費を大幅に増やします。

官民連携により中小企業の世界市場への進出を支援します。技術力はあるもののブランド力(信用力)がないために海外進出できない中小企業があるからです。海外経験のある商社やメーカー等民間OBを活用し、中小企業に対して販路の拡大、貿易投資等の助言、人脈の紹介を行う制度をつくります。また、政府開発援助(ODA)の海外事業に関連して中小企業の活用を積極的に推進します。

中小企業経営者と行政関係者、金融関係者の政策協議の場を設けるなど、中小企業経営者の声を中小企業政策の企画立案および政策評価に反映させる仕組みをつくります。

中小企業に係る法人税の軽減税率を当分の間、11%とします。特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入措置は廃止します。

事業承継税制については、非上場株式等に係る相続税の納税猶予制度の確実な運用を図るとともに、個人事業者の事業承継の円滑化のための支援を強化します。

中小企業支援予算の大幅増加を実現します。現在の中小企業対策予算に加えて、最低賃金の引き上げに対応した中小企業支援のための財政上・金融上の措置にかかわる予算、中小企業の研究開発力の強化のための予算などの確保に努めます。

わが国の製造業が国際競争力を維持していくためには、製造現場における「ものづくり力」をさらに向上させていくことが重要です。「ものづくり人材」の確保、熟練技能者の退職に伴う技能継承教育の推進、研究開発投資の促進、知的財産の利用促進などの支援を行います。

個別補助金の廃止と一括交付金化、権限の移譲など実質的な地方分権を実現することで、経済、文化、教育等の各分野で企業・人材の地方定着を促します。自治体が権限・財源を備えることで、地場の中小企業の研究開発促進、地域の伝統的な文化・技術の活用促進などに対する税制上の優遇措置や地域ファンドの体制整備など、地域ニーズに応じた施策を迅速に実現できるようになります。また、自治体が地場中小企業についての情報の発信を強化したり、事業集積力を向上させることなどにより、地域経済や地域の中小・小規模企業の活力を高めます。

地域コミュニティ再生のため、商店街の活性化を支援します。1階に商店街、2階以上を高齢者向けケア付き賃貸住宅とする複合建築物の建設などにより、「商住一体のまちづくり」を進めます。託児所や駐車場・駐輪場等を整備し、消費者が気軽に商店街に出かけられる環境を整備します。起業家のためのSOHO(在宅勤務の小規模オフィス)への活用や行政窓口設置により、空き店舗や空き地の利用を進めます。後継者不足に苦しむ商店街の新たな担い手育成を支援します。

都市景観の向上、防災施設や情報通信基盤の整備、電線の地中化等を促進し、バリアフリーで美しい商店街をつくります。

商店街に立地する大型店やチェーン店等の積極的な地域貢献活動参画を奨励します。

国際競争力の強化、科学技術の振興を図るために、知的財産権の強化に取り組みます。知的財産基本法をさらに具体化し、中小企業・ベンチャー企業に対する支援強化、知的財産紛争処理能力の強化、知的財産権に関する専門家の育成、地域をはじめとする産学の連携強化、研究開発予算の見直し、研究者の意欲向上につながる環境の整備、技術移転機関(TLO)の充実、模倣品対策や特許権侵害対策の強化を進めます。

ベンチャー企業の立ち上げを容易にすると同時に、中小企業などの技術開発を促進する制度を導入します(日本版SBIR制度の改善やSTTR制度の導入(*))。ベンチャー企業の株式購入時に投資額の一定割合を税額控除できる制度の導入やエンジェルネットワークの設立・運営を支援します。また大企業からのスピンアウト(リストラをきっかけとした開業等)に対して特別融資枠を設定することを含め、総合的な起業支援策を講じます。これらの施策を通じ、「100万社起業」を目指し産業の競争力を再生します。

*日本版SBIR制度/STTR制度:Small Business Innovation Research(中小企業技術革新制度)/Small Business Technology Transfer(中小企業技術移転制度)。いずれも中小ハイテク・ベンチャー企業への補助金制度。

現行の事業規制はすべてゼロベースで見直し、民間事業活動に関する規制を改革します。他方、公正競争の環境整備を推進します。すべての官業を納税者・生活者の視点で徹底して見直し、効率化と質の向上を図ります。

IT、バイオ、ナノテク、環境、エネルギーなどの先端技術分野における研究者・技術者の質的・量的不足の解消に向けて、集中的に施策を展開し、民間経済の成長・拡大を支えます。

自由で多角的な貿易体制を目指す世界貿易機関(WTO)の多角的通商交渉(ドーハ・ラウンド)の早期妥結を目指します。WTOについては、各国の利害や意見調整が難航し、多国間合意形成方式の限界が指摘される一方で、グローバル・ルールの策定、紛争解決制度の充実など、国際貿易における信頼性・安定性を確保する役割がより重要となっています。交渉の早期妥結に向け、日本がリーダーシップを果たすよう努めます。また、WTOの機能をさらに充実させるため、WTO協定に労働基本権、環境条項などに関わる社会条項が盛り込まれるよう努力します。

EPA/FTAは、世界経済や産業構造、雇用など、多くの面において重要な影響が及ぶことから、国際競争力強化の切り札として適切に推進します。世界貿易機関(WTO)の理念との整合性を求めつつ、アジアに向けて開かれた日本の実現、および米国・EU等との関係強化に向けて、一元的・一体的な交渉窓口をつくります。食の安全・安定供給、食料自給率の向上なども念頭に置きながら、積極的に推進します。

貿易自由化に加えて、ドーハ・ラウンドの交渉対象となったダンピング防止措置などの貿易ルールも含む幅広い分野について議論を促進し、貿易制限的な措置や知的財産権侵害が行われないよう規律強化を求めていきます。また、急激な輸入自由化等により深刻な影響をこうむる場合には、世界貿易機関(WTO)協定で認められる範囲内でセーフガードが十分に機能するよう、発動手続きの弾力化などに努めます。

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この政策集は、民主党の政策議論の到達点を2009年7月17日現在でまとめたものです。

民主党政策集 INDEX2009
発行日 2009年7月23日
発行 民主党