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国会レポート2003
contents contents |目次|序文|資料1|資料2|資料3|
第2章 『次の内閣』の活動


4 総務部門(政治改革、ITを含む)


地方分権政策を改訂
 政府は、「三位一体の改革」と称して、地方分権改革案を検討したが、省庁間の利害対立などにより、結論は曖昧なものにとどまった。
  民主党は、2001年5月の民主党地方分権公聴会を受けて、地方分権政策のさらなる検討を深め、2003年7月に改訂を行った。
 民主党案では、所得税収のうち、5.5兆円程度を住民税に移譲すると同時に、その財源として、一括交付金化した補助金の中から税源移譲額と同額を削減するとしている。これにより、地方の判断で自由に使える財源が飛躍的に増えることになる。
 また、現在ある地方自治体向け個別補助金を原則として全廃し、一括交付金化することにより、自治体の事業選択の幅が飛躍的に広がる一方で、なぜその事業を選択したのかを住民に説明する義務が生ずることとなる。
 現行の地方交付税制度についても、抜本的な改革を行うとし、地方債の元利償還分の交付税措置は、段階的に縮小し、将来的には廃止する、徐々に財源保障機能を縮小し、財政調整機能を拡充する、などの原則を示した。
 市町村合併に関しては、市町村が税源・権限を受け入れられるような体制を創れるよう、合意形成過程を重視しつつ、市町村合併を推進することを基本としている。また、地方分権の本旨から見て、合併しないという選択を認め、強制合併は行わないとしている。

住基ネット利用拡大に反対
 政府は、155回臨時国会において、電子政府化を進める、「オンライン化3法案」を提出した。民主党は、電子政府化については、積極的に推進すべきであると考えている。しかし、政府案には、電子政府化に当たって、住基ネットの利用及び利用拡大を行うとしており、プライバシーの観点から問題があった。民主党は、住民基本台帳ネットワークを利用しない形で電子政府化を行う修正案を提出したが、法案は原案のまま成立した。

経済失政の責任を国民に押しつける政府
 政府は、156回通常国会において、法人事業税への外形標準課税を一部導入するなどを柱とする、「地方税法等の一部を改正する法律案」を提出した。民主党は、政府の経済失政によって法人事業税を払うに払えなくなった企業にまで、負担を強制しようとする政府の姿勢を厳しく批判し、反対した。

政府に先んじて電波の有効利用政策を提起
 情報通信分野においては、「電波の有効利用」と「公正・中立な情報通信、放送行政」の2点に焦点を絞り検討を重ね、156回通常国会へ「電波法の一部を改正する法律案」および「通信・放送委員会設置法案」を民主党議員立法にて提出したが、法案は否決された。(詳細p.35)。

ワン切り問題への対応
 155回臨時国会へ政府から提出された「有線電気通信法の一部を改正する法律案」は、いわゆる「ワン切り」を規制する内容である。民主党は、コールバックした利用者に多額の通話料が発生するという社会問題と、大量の不完了呼によって通信に障害が生じるという事態発生の防止を重要視し、早急に対応すべきであるとして賛成した。

電気通信事業法18年ぶりの大改正
 156回通常国会において、政府提出の「電気通信事業法及び日本電信電話株式会社等に関する法律(NTT法)の一部を改正する法律案」が審議された。インフラの有無により事業を区分し規制を課す現行制度は、昨今の著しい技術進歩にともなうサービスの多様化で事業区分の境界があいまいとなっている。また規制緩和の観点から事業区分を廃止すべきというのは民主党のかねてからの主張であり、事業法改正に賛成した。NTT東西の接続料を均一とするための交付金制度を設けるNTT法改正についても、ユニバーサルサービス確保の観点から賛成を決めた。

与党の政治資金規正法改悪を阻止
 155回臨時国会、156回通常国会は、自民党長崎県連の違法献金事件、大島農林水産大臣の辞任、坂井隆憲衆院議員の逮捕、保守新党の松浪健四郎衆院議員の暴力団による秘書給与肩代わり疑惑等、与党の政治腐敗ぶりが改めて明らかになった。
 しかし、与党は政治への信頼回復に努めるどころか、政治資金の透明化と全く逆行する、公開基準の引上げを内容とする政治資金規正法改正案を、156回通常国会に提出してきた。
 民主党が、政治改革の流れと逆行する改悪であると厳しく批判したため、実質的な審議は行われず継続審議となった。

代筆による郵便投票制度を導入
 民主党は与党に先駆けて、一定の障害をもち自署できない有権者について、代筆による郵便投票を認める「公職選挙法の一部を改正する法律案」(郵便投票代筆制度創設法案)を、156回通常国会に提出した。
 一方、与党は民主党案を丸呑みした上で、郵便投票対象者を拡大する内容を付加した法案を提出してきた。与党案は、もともと民主党案がベースとなっていることから、委員長提案として全会一致で成立した。



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