雇用保険法等の一部改正案 きびしい雇用失業情勢を反映し、雇用保険財政が危機的状況にあることから、民主党は156回通常国会に政府提出の雇用保険法改正案への対案として、「雇用保険の財政の安定化及び求職者等に対する能力開発支援のための緊急措置に関する法律案」を再提出し、(1)国民の安心確保、(2)個人の能力開発支援、(3)特に深刻な状況に置かれた失業者への対応、等を提起した。野党各党の賛成を得たものの否決廃案となった。 労使双方の選択肢の拡大か 156回通常国会に提出された政府の職安法・労働者派遣法改正案に民主党は反対した。これは使用者の使い勝手のよさだけが優先され、派遣労働者の雇用の安定が確保されていないばかりか常用雇用からの代替が進みかねず、労使双方の選択肢拡大にならないと判断したためである。 労働基準法改正案を抜本修正 156回通常国会に政府が提出した労働基準法改正案は、解雇が原則自由であると明記する内容であったため、民主党は修正案を提出、与党との修正協議に臨んだ結果、無謀な解雇を規制する条文に抜本修正され、可決成立した。(詳細p.40) 募集・採用における年齢差別禁止を 転職の際に「○○歳まで」と入口で画一的に締め出され、就業チャンスが奪われることのないよう、民主党は156回通常国会に「労働者の募集及び採用における年齢に係る均等な機会の確保に関する法律案」(募集・採用における年齢差別禁止法案)を提出、継続審議となった。 有期雇用労働者にも育児休業を 民主党は153回臨時国会に仕事と家庭の両立支援法案を提出し、育児休業の分割取得、父親への育児休業の割り当て(パパクォータ制度の導入)を提起、企業に対する子どもの看護休暇取得制度創設義務化への道筋をつけたが、156回通常国会での労基法改正を受け、適用除外とされていた有期雇用労働者の育児休業等取得を盛り込み、同法案を再提出、継続審議となった。 なお、156回通常国会に政府から提出された次世代育成支援対策推進法案は、実効性が極めて乏しい内容であったが、理念を鑑み賛成した。 医療制度改革 154回通常国会に与党側の強行採決を経て成立した健康保険法等改正によって、2003年4月よりサラリーマンの医療費自己負担額が2割から3割へ引き上げられることとなった。これに対して、野党4党は156回通常国会に、医療費自己負担3割化凍結法案を提出する等、運動を展開したが、多くの国民の声を無視する形で3割化は施行された。(詳細P.39) ただし、2002年6月に発表した民主党の医療制度改革案については、2003年に政府がその中の多数の政策を採用する方針を打ち出した。医療問題プロジェクトチームでは、民主党の医療制度改革案を更に強化するべく活発な議論を行った。 また、155回臨時国会政府提出の独立行政法人医薬品医療機器総合機構法案に関する参議院厚生労働委員会の質疑にて、新規に実施される生物由来製品感染等被害救済制度の実質的な見直しを勝ち得るなど、民主党は大きな成果を残した。 年金制度改革 155回臨時国会から156回通常国会にかけ、年金改革プロジェクトチームを中心に20回に及ぶ年金改革の議論を行った。特に156回通常国会からは税制調査会と合同で、従来の民主党・年金改革案を更に強化するべく、税財源問題も含め、精力的な議論が交わされた。 なお、156回通常国会に政府が提出した、物価スライドを単年度分のみ実施する内容の「平成十五年度における国民年金法による年金の額等の改定の特例に関する法律案」については、現役世代の賃金低下状況等を鑑み、賛成した。 ALS患者の参政権確保に成果 ALS患者の投票制度実態が違憲状態にあるという2002年11月の地裁判決を踏まえ、直ちにALS患者の参政権を確保するためのプロジェクトチームを立ち上げ、最終的には156回通常国会における公職選挙法改正の成立という大きな成果を勝ち得た。(詳細P.15、総務部門参照)