原子力などエネルギー問題で国政をリード 原子力発電所の点検・検査をめぐる一連の不正事案が発生し、国民の原子力に対する信頼を著しく失墜させ、わが国の原子力政策並びにエネルギー政策の根幹を揺るがす事態となった。 民主党は、政府が155回臨時国会に提出した「電気事業法及び核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案」が不十分であるとして、抜本的な修正を求めた。その結果、自主検査から事業者検査への見直し、関連事業者の協力義務の追加、原子力安全委員会による行政機関に対する勧告の強化などの修正が実現した。 不正事案の影響は大きく、一時は原子力発電17基が停止する事態に陥った。民主党は、電力需給に関する対策委員会を設け、見解を取りまとめ、政府に厳しい対応を迫った。更に「もんじゅ」行政訴訟控訴審判決への対応ともあわせて、原子力の安全性に関する検討委員会が最終報告を取りまとめた。実効性ある規制制度への見直し、科学的合理的な規制ル−ルの整備、安全性に関する情報公開の徹底と透明性の確保、内部申告制度の見直しなどに関する提言が盛り込まれた。 なお、民主党は、155回臨時国会、156回通常国会ともに、「原子力安全規制委員会設置法案」を他の野党と共同で提出した。 156回通常国会には、政府からエネルギーに関する重要法案が提出された。規制緩和に資する「電気事業法及びガス事業法の一部を改正する等の法律案」に対しては、民主党は附帯決議をつけて賛成した。 「エネルギー等の使用の合理化及び再生資源の利用に関する事業活動の促進に関する臨時措置法及び石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計法の一部を改正する法律案」に対しては、歳入、歳出両面から問題点を明らかにし、民主党は反対することとした。 中小企業関連の予算と法案を取りまとめ 民主党は、中小企業対策費を政府の7倍増とする大胆な提言を取りまとめ、「平成15年度民主党予算」に盛り込んだ。 民主党は、156回通常国会に「中小企業者に対する銀行等の資金の貸付けの適正な運営の確保に関する法律案」を提出した。銀行が中小企業者に貸付けを行う際の説明義務及び書面の交付義務並びに貸付方針の策定義務を定めたものである。衆議院経済産業委員会で審議が行われたが、廃案となった。(詳細p.41) 「産業再生機構法案」を抜本修正 政府が156回通常国会に提出した「株式会社産業再生機構法案」に対して、民主党は抜本的な修正を要求した。 与党はこれに応え、目的に雇用安定への配慮が追加され、再生支援決定の段階で労使協議状況に配慮すること、企業規模を理由に再生支援から除外しないことの3点で法案修正がなされた。その他の点は、附帯決議に盛り込まれた。 あわせて、民主党が求めてきた中小企業再生支援協議会の創設を盛り込んだ、政府提出の「産業活力再生特別措置法の一部を改正する法律案」が成立した。 「下請代金支払遅延等防止法」を抜本修正 2001年の153回臨時国会、2002年の154回通常国会に、民主党は「下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案」を提出した。政府も156回通常国会に同名の法案を提出した。 政府案は民主党案を踏襲していたが、不十分な点があったため、民主党は抜本的な修正を求めた。その結果、発注書面の交付時期の厳正化、禁止行為に不当なやり直しの追加などの修正が加えられ、法案は全会一致で成立した。さらに、厳格な附帯決議が採択された。 知的財産権戦略、通商問題への取り組み等 知的財産戦略プロジェクトチームの提言に応え、政府が155回臨時国会に提出した「知的財産基本法案」が成立した。同プロジェクトチームは「民主党IP戦略」の改定作業を進めた。 民主党が従来から提案してきた公正取引委員会の内閣府移管に関して、156回通常国会で、政府案が提出され、成立した。 通商問題に関しては、WTO対策プロジェクトチームを中心に研究が深められた。 原子力発電、自動車技術などに関する視察を精力的に実施した。