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国会レポート2004
contents contents |目次|序文|資料1|資料2|資料3|
第2章 『次の内閣』の活動


5 法務部門


大詰めを迎えた司法制度改革photo
 政府が159回通常国会に提出した一連の司法制度改革関連法案に対し、民主党は、国民に身近で公正な司法への改革を実現すべきとの観点から、関係諸団体からのヒアリングや勉強会を精力的に重ね、国会審議に臨んだ。焦点となった「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律案」は、与野党修正の上、成立し、5年後迄に施行されることとなった。(詳細→

利用しやすい司法ネットの構築
 政府は、全国に総合的な法律支援体制を整備するために、中核となる日本司法支援センターを設置する「総合法律支援法案」(司法ネット法案)を提出した。民主党の修正要求のうち、犯罪被害者支援業務の明示、高齢者・障がい者支援団体との連携、高齢者・障がい者への配慮規定について与党が合意し、法案修正が実現した。

労働審判制度の創設
 近年、個別労働紛争が増加しており、労働者が泣き寝入りすることなく、紛争を迅速、公正かつ簡易に解決できる制度が求められていた。
 政府提出の「労働審判法案」は、個別労働関係事件を処理するために、裁判官1人と労働関係の専門的知識を有する労働審判員2人からなる合議体で審判する制度を創設する内容であった。民主党は、相手の意向に拘わらず手続きを進行できること、確定した効力は裁判上の和解と同一の効力を有すること、異議が申し立てられた場合には裁判所に訴えの提起があったとみなすこと等を評価し、法案に賛成した。

知的財産高等裁判所の創設
 政府提出の「知的財産高等裁判所設置法案」は、知的財産に関する訴訟を専門に扱う知的財産高等裁判所を東京高裁内に設置するものであった。民主党は、知的財産の保護を強化し、知的財産を重視する姿勢を内外に示す必要性があるとの観点から、委員会質疑の中で知財高裁の利便性の向上や高度先端技術に関する適切な対応を要求した上で、法案に賛成した。

行政へのチェックを強化
 従来の行政訴訟制度は、被告適格や原告適格が限定的で訴えを起こすこと自体が難しい上、実質的に救済措置を受けられない場合が多いことから、民主党は、機能不全に陥った行政訴訟制度の抜本改革を求めてきた。
 政府提出の「行政事件訴訟法の一部を改正する法律案」は、取消訴訟の原告適格の拡大、義務付け訴訟・差止訴訟の法定、執行停止要件緩和等を主な内容としていたが、改正案により、どの程度改善されるのか不明確で、抜本改革には至っていなかった。民主党は更なる改革を求めた上で、政府案は一定の前進と判断し、改正案に賛成した。

取調べの可視化、弁護人立会い権
 わが国における取調べは密室で行われ、自白の強制や誘導が行われていないか検証できないため、自白調書が裁判における証拠として信頼性が高いとは言い難い。こうした状況を受け国連の国際人権(自由権)規約委員会は、わが国における被疑者取調べ制度の問題点を指摘して、取調べの過程を「電気的に記録すること」を勧告している。
 民主党は、156回通常国会に提出した取調べ段階での弁護人立会い権を保障する「刑事訴訟法を一部改正する法律案」にビデオ等による録画・録音で取り調べを可視化する等の項目を追加し、159回通常国会に再提出した。衆議院法務委員会にて審議を行ったが、与党により否決された。

破産手続の迅速化、労働債権の保護
 倒産法制の見直しの一環として政府が提出した「破産法案」は、破産手続きの迅速化、個人の破産・免責手続きの見直し、債権の優先順位の変更を主な内容としていた。民主党は、労働債権のうち未払い賃金3カ月分等の優先順位が引き上げられたこと、破産者の手元に残る自由財産が拡張されたこと等を評価し、法案に賛成した。

難民認定制度の抜本改革を要求
 わが国の難民認定制度は、入国管理局による難民認定審査の兼務、必要以上に厳しい認定要件、難民等への生活支援体制の貧弱さ等、問題が多いと批判されてきた。しかし、159回通常国会に政府が提出した「出入国管理及び難民認定法案を一部改正する法律案」は、現行制度の踏襲にとどまり、抜本改革に至っていなかった。
 民主党は政府案への対案として、(1)内閣府外局に難民認定委員会を設置し、難民認定業務を法務省から移管すること、(2)難民認定申請を上陸から60日以内に限定する規定を廃止する、(3)難民認定申請者への特別在留許可制度の導入、(4)難民認定基準の策定・公表、(5)政府による生活支援推進計画の策定――等を柱とした難民等の保護に関する法律案」を156国会に続き再提出した。衆参法務委員会で民主党案の質疑を行ったが、民主党が反対した政府原案が可決・成立した。



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