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国会レポート2004
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第2章 『次の内閣』の活動


7 財務金融部門


国家的粉飾の小泉・竹中金融行政photo
 2003年5月、りそな銀行が過少資本に陥り、預金保険法102条に基づく初の金融危機対応会議が開催されたが、11月には再び金融危機対応会議が開催されることとなった。栃木県を地元とする地方銀行大手の足利銀行が、金融庁検査の結果、債務超過であることが判明し、一時国有化されることとなったのである。
 足利銀行には、過去2回にわたって合計1,350億円の公的資金が投入されており、竹中金融担当大臣も金融庁も破綻する直前まで「健全行」とのお墨付きを与えていた。足利銀行処理に必要な公的資金は、1兆円近くになるといわれている。
 りそな銀行の経営危機に続くこのできごとは、「国家的粉飾と欺瞞の小泉・竹中金融行政」の実態を再び露わにするものであった。

42兆円を投入するも金融仲介機能は回復せず
 政府はこれまで、金融破綻処理や金融システム健全化のため、総額42兆円にものぼる公的資金を投入してきた。しかし、金融システムは一向に健全化されず、この5年間で銀行貸出は500兆円から400兆円以下にまで激減する結果となった。公的資金投入の条件である中小企業向け融資の拡大という公約も、一部の銀行にはまったく無視された。
 金融仲介機能の回復、すなわち、銀行がお金を貸せるようにすることが最終的な目的であるにもかかわらず、小泉・竹中金融行政は、これを主要行の不良債権比率を引き下げるという矮小化した問題にすり替えている。小泉・竹中金融行政最大の間違いがここにある。

公的資金のバラマキに反対
 政府は、159回通常国会において、地域金融機関を念頭に総額2兆円の公的資金を投入する「金融機能の強化のための特別措置に関する法律案」(金融強化法)を提出した。これは、2002年秋に決定された金融再生プログラム(竹中プラン)に盛り込まれた、いわゆる予防的資本注入を可能とする公的資金新法であるが、公的資金のバラマキに過ぎず、地域経済活性化の名に値しないものであった。
 これに対し、民主党は、対案として「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律等の一部を改正する等の法律案」(金融再生ファイナルプラン関連法案)を再提出した。
 法案審議の中で政府案の矛盾・問題点が噴出し、民主党案の優位性は明らかであったが、結局、残念ながら民主党案は否決され、政府案が成立した。しかも、与党は、参議院においてはほとんど審議を行わないまま、委員会採決抜きで本会議採決を強行した。まさに参議院の存在意義を自ら否定する前代未聞の暴挙であった。(詳細→

中小企業対策のため法案を提出
 中小企業に対する貸し渋り・貸しはがしは未だに解消されていない。その根本原因は、金融システムが健全化されていないことであるが、過度の担保依存や個人保証など中小企業に不利な取引慣行がまかり通っていることにも一因がある。
 民主党はかつて、このような認識の下、「地域金融の円滑化に関する法律案」(金融アセスメント法案)及び「中小企業者に対する銀行等の資金の貸付けの適正な運営の確保に関する法律案」(銀行貸付け適正化法案)を提出したが、159回通常国会にもこれらを再提出した。

中小企業向けの金融検査マニュアルを
 また、従来から中小企業融資の実態を踏まえたものとなっていないと批判が強い金融庁の金融検査マニュアル(中小企業編)について、実態を踏まえたものに改訂するよう、検討を重ねた。この結果、長年にわたって銀行と中小企業とが暗黙の合意で継続している融資を、検査においては実質的に資本とみなすという民主党版中小企業向け金融検査マニュアルの基本的な考え方を決定した。

公正な証券市場確立のため法案を提出
 わが国金融市場は間接金融(銀行融資)に偏重しているとの指摘が有力であるが、その背景には、相場操縦やインサイダー取引などの不公正取引が後を絶たず、個人投資家が株式等の投資に参入しにくいという事情もある。民主党はかつて、このような認識の下、「証券取引委員会設置法案」(日本版SEC法案)を提出したが、159回通常国会にもこれを再提出した。

その他重要課題への取り組み
 財務金融部門会議内には、(1)公会計、(2)企業会計、(3)公的債務管理、(4)中小企業向け金融検査マニュアル策定、(5)違法年金担保問題――の五つのワーキングチームが設置され、それぞれが当面する重要課題に取り組んだ。
 また、衆議院財務金融委員会及び参議院財政金融委員会を中心に、公的資金を投入した大手行の経営健全化計画の履行状況や不正を厳しく追及するなど、国会のチェック機能を果たすことに努めた。



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