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国会レポート2004
contents contents |目次|序文|資料1|資料2|資料3|
第2章 『次の内閣』の活動


11 文部科学部門


ビジョンなき三位一体−義務教育国庫負担法photo
 政府は、159回通常国会に「義務教育費国庫負担法及び公立養護学校整備特別措置法の一部を改正する法律案」を提出した。これは政府が「三位一体改革」と称して、昨年に引き続き提出したものである。改正のポイントは、義務教育費国庫負担金の負担対象経費のうち、退職手当と児童手当に要する経費(約2309億円)を国庫負担の対象外とするものであった。
 政府の「三位一体改革」は、国と地方の役割分担の全体像を示さないまま、なし崩し的に財政負担を地方に押し付けるもので、それに基づく本法案も、義務教育制度のあり方について国と地方の役割をまったく明らかにしないまま、単に目先の財政論に終始したものである。
 民主党は国会審議において、ビジョンなく財政のつじつま合わせだけを繰り返す政府案の矛盾を徹底して追及し反対した。

薬学教育の6年制実現
 159回通常国会において、政府より「学校教育法の一部を改正する法律案」が提出された。主な内容は、大学での臨床薬剤師の修業年限を6年間(現行4年)にすることや、学校に栄養教諭を設置できるようにすることである。
 薬学教育の6年制実現について、民主党は2002年から「薬学教育問題ワーキングチーム」を立ち上げ、その早期実現に取り組んできた。
 民主党は、国会審議において、暫定的に臨床薬剤師になるための研修期間の移行措置や4年制薬剤師と6年制薬剤師養成の併設など課題を指摘しながらも、薬学教育の充実を通じて、医療提供における十分な知識の確保につながる点を評価して、賛成した。
 これに関連して、6年の薬学を修め卒業した者に薬剤師国家試験の受験資格を与えるとする「薬剤師法の一部を改正する法律案」(厚生労働省所管)もあわせて提出され、159回通常国会において成立した。

コミュニティースクール創設への第一歩
政府は159回通常国会において、地域運営学校を設置できることを柱とする「地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案」を提出した。
 民主党はかねてから、地域運営学校、いわゆるコミュニティースクールの設置を提案しており、本法案がその設置促進の第一歩になると考え、賛成した。(詳細→

著作権法改正案への対応
 159回通常国会において政府より「著作権法の一部を改正する法律案」が提出された。内容は、(1)音楽レコードの還流防止措置、(2)書籍、雑誌の貸与権(無断で貸与されない権利)の付与、(3)罰則強化――である。  国会審議のポイントは、音楽レコードの還流防止措置を巡る問題であった。政府案のねらいは、アジアなどで生産された廉価な正規の邦楽CDについて、知的財産権保護の観点から日本への還流防止をはかるというもの。これに対して、その還流防止措置の運用次第では、欧米の音楽CD直輸入盤も制限されかねず、その結果、消費者の利益が侵害されるとの懸念が指摘された。
 民主党は、還流防止措置の問題を中心に関係団体からヒアリングを行いながら慎重に協議を重ねた。参議院では、政府や関係団体の答弁を確認しつつ、「還流防止措置の運用は消費者保護も重視すべきこと、消費者利益が侵害された場合は法律の見直しも検討する」などの附帯決議をつけたうえで賛成した。また衆議院では、参議院での附帯決議の趣旨を修正案として提案した。修正案は否決されたものの、再度附帯決議に反映させた。民主党は今後とも同法の運用を厳しく監視し、必要な取組みをすることとしている。

ガイダンスカウンセラー法案を再提出
 民主党は159回通常国会において、小学校、中学校、高等学校に専門的知識を持って適切な職業選択等の進路指導を行う相談員の配置を可能にする旨の「学校教育法の一部を改正する法律案」(ガイダンスカウンセラー法案)を提出した(継続審議)。2001年の153回臨時国会に提出し、審議未了となっていたものの再提出である。
 本法案は、社会がめまぐるしく変化する中で、公教育における進路指導は大きな意味を持つものだが、わが国の教育現場、特に中学校での進路指導を行う教員は、こうした社会的要請に十分応えきれていないとの問題意識が契機となっている。米国では1920年代に早くも職業カウンセラーが登場し、1950年代から60年代にかけて、進路指導や職業指導などを行う「ガイダンスカウンセラー制度」が確立されている。
 民主党は、わが国においても、米国のようなシステムを定着させ、小学校や中学校段階での職業教育機会の充実を図ることはとても重要であると考えている。今回の法案提出にとどまらず、引き続きスクールカウンセリングの充実と学校現場での指導力の強化に向けて検討を進めていく。



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