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国会レポート2005

第2章 『次の内閣』の活動

1.予 算

2004年度補正予算への対応

 162回通常国会では、まず2004年度補正予算案の審議が行われた。その主な内容は、前年度剰余金及び当年度税収見込み増などを財源として、災害対策、社会保障を中心とする義務的経費の増加等に対応するものであった。

 民主党は 2004年に生じた台風被害、地震被害に速やかに対応するため、161回臨時国会から補正予算案の提出を求めてきたが、政府の対応は遅れた。さらにその内容は被災者支援として不十分なばかりか、災害対策に名を借りた旧来型公共事業が含まれ、一方で歳出の節減努力が不十分であるなど、多くの問題点があった。しかし、民主党は、一刻も早い復旧・復興を望む被災者の立場に立ち、国を挙げて被災者を支援する姿勢を明確にするため、極めて異例ではあるが、補正予算案に賛成した。

小泉内閣で140兆円の借金増

 就任当初「国債発行枠 30兆円」を掲げた小泉首相だったが、4回目の本予算案となる2005年度予算案においても国債発行額は34兆円を超え、小泉内閣による借金増は144兆円にも達した。これにより債務残高のGDP比は170%を超え、わが国財政は極めて深刻な危機に陥った。

 一方で、小泉内閣は「定率減税」の縮減= 1.7兆円の増税を提案した。景気の先行きが不透明であるだけでなく、構造改革やそれを通じた歳出見直しもまったく進まない状況において国民に負担増を求めても、到底理解が得られるものではない。まして、「定率減税」はその導入時において「所得税の抜本改革までの措置」とされており、これを放置したまま縮減・廃止を実施するのは法律違反にも等しい(⇒参照)。

 また歳出においては、「年金保険料流用」が民意をまったく無視して継続される事態となった。本来、社会保険庁の事務経費は税金で負担すべきところ、これまで財政上の理由から年金保険料で穴埋めされてきたが、 159回通常国会における民主党の再三にわたる追及により、この年金保険料が社会保険庁職員の宿舎・公用車、社会保険庁長官の交際費などにも充当されている実態が明らかになった。このため、政府・与党もこの見直しを表明せざるを得なくなったが、2005年度予算においても継続された。

photo政治家の議論を通じて
民主党予算案を編成

 民主党は、 3回目の独自予算案編成に2004年末から本格的に着手した。2003年総選挙マニフェスト、2004年参院選マニフェストを踏まえ、12月22日の『次の内閣』において、「2005年度民主党予算案」の基本方針が確認された。

 その骨格は(1)一般会計総額、国債発行額ともに政府案より抑制する、(2)「地方分権」「子育て・教育」を重視する、(3)総選挙マニフェスト・参院選マニフェストを網羅する、(4)定率減税の縮減は行わない――などで、この基本方針に基づき、 2005年1月に『次の内閣』湯沢合宿を開催、「子ども手当」の創設をはじめとする具体的内容について精力的な議論を展開した。こうして2月1日、民主党は「2005年度民主党予算案」を発表した。

「チルドレン・ファースト」の
民主党予算案

 「2005年度民主党予算案」の最大の特徴は、「チルドレン・ファースト」である。これは民主党の理念である「未来への責任」に根ざすものであり、「将来世代の負担となる国債発行額を可能な限り抑制する」「次世代育成のために財政資源を重点的に配分する」ため、具体的には(1)国債発行額を政府予算に比べ約4兆円縮減、(2)義務教育終了時までの子ども1人に対して、月1万6千円の「子ども手当」を支給、(3)出産による経済負担軽減のため、現行制度に加え、出生児1人に付き20万円の「出産助成金」を支給――などを盛り込んだ。また「地方分権」については、総額20兆円の地方に対する補助金のうち、5.5兆円を税源移譲、12兆円を「一括交付金」とするなど、国・地方の財政関係の抜本改革を予算案の形で示した。

「選択肢を示す」ことが民主党の責任

 将来世代にさらなる負担を求めることは許されず、中央政府による硬直的な予算配分ではわが国の将来展望がない。政府予算にはムダや不要不急の予算が膨大に含まれている。民主党予算案は、こうしたムダを徹底的に排除するため、国の行う大型公共事業の半減、特殊法人等向け支出の半減、国家公務員人件費の削減など歳出の徹底的な見直しを行う一方で、これまで「コンクリート(建物)」に偏っていた投資を「人」に重点的に配分し、各地域がその多様性に応じてお金をより有効活用できるようにしている。

 予算は現政権の独占物ではなく、国民のものである。それを具現化するためには国民が選択肢を持つ必要があり、これを提示するのが民主党の責務である。民主党は、国民の代表である政治家同士の徹底した議論を通じて、国民に新しい予算案の選択肢、新しい未来像を提示し、その上で政府予算案に反対した。