第2章 『次の内閣』の活動14.環 境環境部門では、法案対応や環境全般に関する諸問題について部門会議で取り組み、専門的な課題についてはワーキングチーム(以下WT=クマと生息域に関する、動物愛護・外来種対策、水俣病対策、循環社会、災害時の廃棄物を考える、異常気象対策、環境アセスメント法改正、神栖町有機ヒ素混入問題、沖縄と環境を考える、環境とCSRを考える、地球温暖化対策小委員会など)を設置し、積極的に議論を進めてきた。環境分野という特性に照らせば、机上の議論に終始することなく、現地視察を重ね、当事者の声を政策立案、法案策定に十分反映させることが重要である。 クマによる人的被害対策「クマと生息域に関するWT」では、青井俊樹岩手大学教授、米田一彦日本ツキノワグマ研究所理事長、山本茂行富山市ファミリーパーク飼育課長など有識者からヒアリングを行い、北陸地方での被害が多かったことから、富山県内の地元猟友会とともに、クマの出没現場や民家の被害状況等を視察した。WTの中間報告には、(1)捕獲と保護のルールづくり、(2)保護管理のための専門スタッフの育成、(3)継続的な調査・研究、(4)里山の再生、(5)中長期的な森林・林業政策、(6)危機管理と行政の迅速な対応、(7)住宅地域での捕獲補助制度等を盛り込んだ。 動物愛護・外来種対策「動物愛護・外来種対策WT」では、特に動物実験の規制について取り組み、 162回通常国会において「動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律案」の審議に臨んだ。民主党は自民党との協議において、(1)動物実験の3R(代替法、数の削減、苦痛の軽減)の明文化、(2)動物虐待の罰金増額、(3)動物由来感染症の予防と生態に応じた飼養の努力義務化、(4)動物取扱業の範囲に移動販売業・理美容業を追加、(5)犬猫引取り後のNPO等への譲渡推進等を盛り込むよう提起し、合意したことから、同法案は衆議院環境委員長提案により可決、成立した。残された課題は5年後に見直すこととされた。 外来種対策では、159回通常国会において、政府提出の「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」が成立した。民主党は、「外来生物種規制法案」を政府案の対案として提出した経緯があり、(1)予防原則を念頭に、生態系等に係る被害の防止を第一義として外来種の選定をすべきである、(2)外来種対策と動物愛護を一体として取り組む体制整備が必要であると主張した。今後も、現行法の問題点について追及していく。 水俣病対策、アスベスト対策水俣病問題については、「水俣病対策WT」を設置し、有識者や地元水俣市の被害者、チッソ水俣工場などと意見交換を行い、 2005年3月に「民主党水俣病問題対策」を発表した。その内容は、「公害健康被害の補償等に関する法律」上の認定拡大を図り、同法で救済できない被害者については特別法により救済するものであり、民主党は現在、「水俣病被害者救済法案(仮称)」の策定に取り組んでいる。 また、162回通常国会では環境・厚生労働・経済産業・国土交通・文部科学各部門を中心に「アスベスト問題プロジェクトチーム」を設置し、健康被害対策にとどまらないアスベスト総合施策について幅広く検討した。163回特別国会では、 アスベスト対策に総合的・一体的に取り組むための基本的枠組みを定める 「石綿対策の総合的推進に関する法律案」を提出、あわせて具体的な政策提言「民主党は『ノンアスベスト社会』をつくる」を発表した。この政策提言は、(1)内閣総理大臣を長とする対策会議の設置、(2) 2007年度までにアスベスト全面禁止、(3)対策基金の創設のほか、(4)健康被害対策として、被害者補償だけでなく、早期発見・早期治療のため健康管理制度を創設、(5)公害防止対策として、情報収集と開示、粉じん濃度の統一的基準の設定、管理・除去・廃棄の推進計画の策定、在庫品の廃棄、解体工事における安全対策強化、廃棄物の再利用禁止、減量化・無害化処理の推進などを盛り込んでいる。なお、民主党案は衆議院環境委員会に付託され、継続審議となった(⇒参照) 。 廃棄物・リサイクル対策等「循環社会WT」では、「資源循環・廃棄物管理法案」の策定を進めた。民主党案では、(1)廃棄物・リサイクル法制度の統合、(2)有価・無価に影響されない廃棄物の定義、(3)リサイクル施設に対する環境規制の適用、(4)製造者の製品取引義務(拡大生産者責任)の明記、(5)埋立税・焼却税の導入(経済的措置)などを盛り込んだ。また、災害時における廃棄物処理が全国的に問題となり、「災害時の廃棄物を考えるWT」を設置、京都や新潟などの被災地を視察し、災害時の廃棄物対策について検討を重ねた。 個別リサイクル法に関しても、 2006年に改正予定の「容器包装リサイクル法」について検討を進めている。 「環境アセスメント法改正WT」では、多くの市民団体の積極的な参加の下で活発な議論を展開した。とくに、環境アセスメントについて、法改正に向けた作業に取り組んでいる。 |
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