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国会レポート2007

第二章 『次の内閣』の活動

1内 閣


2007.3.7 内閣部門会議を開催

 内閣部門では、所管する内閣委員会・災害対策特別委員会・沖縄及び北方問題に関する特別委員会に関連する政策課題について、熱心な議論を行った。

道州制特区法案に反対

 政府は、2006年164回通常国会において、「道州制特別区域における広域行政の推進に関する法律案」(通称:北海道道州制特区法案)を提出し、165回臨時国会にてその実質的な審議が行われた。本法案は、北海道の地理的特性を念頭に特別区域を設定して分権を進め、将来の道州制のモデルとすることを意図したものであったが、その内容は、道州制と銘打つにはあまりにも中途半端なものにとどまっていた。内閣部門・総務部門、及び分権調査会との合同会議では、(1)国から道へ委譲される事業は極めて限定的であり、道州制に相応しい事業とは言いがたい、(2)北海道以外の地方に適用することは実質的に困難であり、憲法95条(一つの地方公共団体のみに適用される特別法は住民投票が必要)に違反する恐れがある、(3)安倍首相が政権構想で打ち出した「道州制ビジョン」との関連が不明確である、などの結論に達し、政府案に反対したが、政府原案通り成立した。

飲酒・ひき逃げの厳罰化が実現

 福岡県で親子5人が乗った乗用車が飲酒運転の車に追突され橋から転落、幼児3人が死亡するといった痛ましい事故が起きたことをはじめ、2006年には、全国で飲酒運転による事故や不祥事が多発した。これについて関係者からは、飲酒運転で事故を起こしても、酔いが醒めてから出頭し飲酒検査を免れれば、最高懲役20年の「危険運転致死傷罪」を免れる可能性があることから、「逃げ得」になるという法制度の欠陥が指摘され、その矛盾を早急に正すよう求める声があげられていた。

 民主党は、インターネット政策公募において本案件を採用したことをきっかけに、法制度の欠陥を正すための検討を重ね、飲酒・ひき逃げの厳罰化を主な内容とする「刑法及び道路交通法の一部を改正する法律案」を2006年の165回臨時国会に提出した。(詳細p.36)飲酒運転に係る問題の解決は危急の課題であることから、民主党は与党に対して政治的対立を乗り越え早急に法案成立を図るよう呼びかけたが、これに対して政府・与党の対応は真剣味に欠け、極めて緩慢なものであった。政府は2007年になってようやく、民主党案とほぼ同内容を含む法案(「道路交通法一部改正案」、「刑法一部改正案」)を166回通常国会に提出したことから、民主党は独自案を撤回し、政府案が成立した。なお成立した政府案には、自転車における幼児用ヘルメット着用を努力義務とする改正も含まれていたが、これについて民主党は、かねてより着用を義務化する法案を提出していたところである。引き続き完全義務化に向けて取り組む必要はあるものの、努力義務化はその一歩であるとして、政府案に賛成した。

犯罪対策と人権尊重の両立にむけて

 9・11テロの発生以来、日本国内においてもテロの発生防止が急務とされ、さまざまな対策がとられてきた。テロの発生防止は国民の生命と財産を守るために必要なことであるが、本来の目的を越え、国民の権利を不当に侵害することはあってはならない。166回通常国会に政府が提出した「犯罪による収益の移転防止に関する法律案」は、テロをはじめ犯罪による収益の移転防止のため、各種の事業者に対して、顧客の本人確認や、疑わしい取引を当局へ届け出ることを義務づける内容であるが、一般国民や事業者への不当な権利侵害が生じる余地がないかが議論の焦点となった。内閣・法務部門合同会議では、国際的なテロ対策の傾向から法案の必要性については同意できるものの、警察権限の強化など懸念される点もあるために、法律の運用にあたっては十分に留意する旨、委員会において附帯決議を付した上で、政府案に賛成した。

政策金融機関の再編について

 公的部門へと偏った資金の流れを変えるため、財政投融資改革や郵政改革などいわば「資金の入り口」の改革に対し、「資金の出口」の改革として、政府系金融機関を整理・再編する必要性が指摘されてきた。2006年164回通常国会で成立した行政改革推進法では、これら政府系金融機関について改革の方針が明記されていたが、政府はこれに基づいて、現行8機関の統合・再編にかかる複数の法律案を166回通常国会に提出した。

 これらの法律案のうち、国民生活金融公庫・農林漁業金融公庫・中小企業金融公庫・沖縄振興開発金融公庫・国際協力銀行(国際金融部局)を統合して日本政策金融公庫を新設するための「株式会社日本政策金融公庫法案」が内閣委員会に付託された。

 民主党では、内閣部門を中心に「日本政策金融公庫プロジェクトチーム」を設置して、同法案への対応について議論を行った。同PTでは、(1)コスト縮減効果が数値で示されていないなど統合メリットが不明確である、(2)天下りなど省庁の関与と縦割り構造が温存されるおそれがあり、ガバナンスの面で不安がある、(3)中小企業等に対する融資など政策金融の本来機能が損なわれるのでないか、などの意見が出た。さらに検討を深めた結果、政策金融がこれまで果してきた民間金融の補完という役割と意義は今後も維持する必要はあるものの、偏在化・肥大化したそのあり方については大胆な改革を進めなければならず、そのいずれの点においても不十分であることから、政府案に反対したが、政府案が原案通り成立した。

各種の法案対応について議論

 なお内閣部門では、政府が166回通常国会に提出した「地域再生法の一部を改正する法律案」、「構造改革特別区域法の一部を改正する法律案」、「競争の導入による公共サービスの改革に関する法律(市場化テスト法)の一部を改正する法律案」、「総合研究開発機構法を廃止する法律案」の対応についても議論を行い、地域再生法一部改正案は反対、それ以外の案件については賛成することを決定した。

 また、国家公務員の再就職を、新設する「人材バンク」に一元化する「国家公務員法一部改正案」が内閣委員会に付託されたが、民主党は天下りを全面的に禁止する内容の対案を提出して政府と正面から議論を行った。(詳細→