【1】分権・行革・政治改革
政治改革
政治改革に関しては、国民・有権者の政治参加機会とチェック機能向上のための主に選挙に関係する制度改革と、相次ぐ政治とカネにまつわる腐敗を根絶し政治に対する信頼を再生するという視点からの政治資金規正に関する法整備が車の両輪となります。いずれも、議会制民主主義の土台を築くものであり、根本的には政治の場にある者が自らを厳しく律することから始まるものでもあります。民主党は常に具体的な制度改正をめざした法律案を掲げて国会の論議をリードしています。
与党による政策の事前調整システムを見直し、内閣による一元的な政策・法案決定を確立するとともに、「内閣」を単なる合議機関ではなく、総理大臣の統轄及び指揮監督の下に成立する執政機関とします。そのため、首長たる内閣総理大臣の統轄権を明記するなど内閣法の改正をはじめとして、一連の「内閣強化法」を制定し、首相・内閣の権限強化につとめます。
選挙における一票の価値の平等をめざします。現行制度では衆議院小選挙区割りの際に、まず47都道府県に1議席ずつ配分し(基数配分)、残り253議席を人口比例で振り分けています。そのために一票の格差を2倍以内に収めることは不可能となっています。民主党は、この「基数配分」を廃止し、小選挙区定数のすべてを人口比例で振り分ける「衆議院議員選挙区画定審議会設置法改正案」を2004年の第159国会に提出しました。
世界のほとんどの国では18歳で選挙権が付与されています。日本の若者がこれらの国の若者と比べ、政治に対する判断力の発達が遅いとはまったく考えられません。民主党は選挙権年齢を18歳に引き下げること等を内容とする法案を国会に提出してきました。また、被選挙権年齢についても、引き下げを引き続き検討します。
民主党は結党時の「基本政策」に「定住外国人の地方参政権などを早期に実現する」と掲げており、これに基づいて永住外国人に地方選挙権を付与する法案を提案しました。
民主党は、政治参加の機会増大を図るため、雇用の継続を確保する「立候補休暇制度」創設法案を提案しました(2001年の第151国会、2002年の第154国会に提出)。被用者が公職の候補者となる場合、公示・告示前14日から選挙期日後3日までの期間、選挙運動または選挙運動の準備もしくは残務整理をするために「立候補休暇(無給)」を取得することができるものとします。
衆議院選挙は、当面は現行の小選挙区比例代表並立制を軸に、定数削減や重複立候補制度の改善等を検討します。衆参選挙制度の抜本改革については、まず、国会における衆議院・参議院の役割を明確にしたうえで、両院の改革をすすめ、また、その役割にあった代議員を選出する方法としてふさわしい選挙制度に改めていきます。また、地方自治体の首長の四選禁止を制度化します。
厳しい経済状況の中、政治に対する信頼を回復するという視点から国会議員自らわが身を削ることが求められています。また、国民にとってわかりやすい政権選択の可能な選挙を実現するためにも、小選挙区制を強めていくべきであると考えます。こうした観点から、民主党は衆議院比例議席180のうちの80議席を削減する内容の「公職選挙法改正案」を、2004年の第159国会に提出しました。
民主党は、選挙運動において報酬を支給することができる運動員について、車上運動員や手話通訳者に加え、電話選挙運動員の規定を追加する「公職選挙法改正案」を、2004年第159国会に提出しました。金のかからない選挙運動を担保するため、電話運動員の人数や報酬の額は、現行の車上等運動員や手話通訳者の枠内としています。
国会議員や秘書による口利き事件・疑惑が後を絶ちませんが、民主党はまず「あっせん利得処罰法」を抜本改正すべきと考えます(2002年の第154国会、第155国会および2004年の第159国会に法案提出)。そのポイントは、(1)処罰の対象に政治家全般の私設秘書や親族を加えること、(2)犯罪の構成要件から「請託」や「権限に基づく影響力の行使」を外し立件しやすくすること、(3)政党支部などに「見返り」を迂回させる第三者供賄を禁止することなどで、現行法の「抜け道」を塞いでいきます。
2004年の日歯連事件など「政治とカネ」をめぐる問題が数多く起きており、政治に対する国民の信頼を揺るがす深刻な事態となっています。特に、法の規制を逃れるために政党や政治資金団体を迂回させる寄付が横行しているという疑いが出され、政治をカネで買うような行為ではないかと国民から極めて強い批判がありました。こうしたいわゆる迂回献金を防止するため、民主党は、2004年の第161国会に「政治資金規正法等の一部改正案」を提出し、迂回献金を禁止する規定を盛り込みました。
政治団体による政治活動の自由を保障する点から、現行法では政治団体が行う寄付に法的制限は設けていません。自由な活動を認めた上で、政治資金の透明性を損なうことのないよう公開性を確保し国民の判断に委ねるのが法の定めるところです。しかし、2004年に発覚した日歯連事件では、1億円ものヤミ献金が行われ、収支報告書にも記載されず、大きな政治不信を招きました。そのため民主党は、政治団体(政党・政治資金団体除く)から、同一の政党・政治資金団体への寄付は年間1億円まで、また政党・政治資金団体以外の同一の政治団体への寄付は年間3千万円までとする「政治資金規正法等一部改正案」を2004年の第161国会に提出しました。
民主党は、2004年の第161国会に提出した「政治資金規正法等の一部改正案」において、政党本部や政治資金団体の収支報告書に係る外部監査を義務づけることや、1件150万円超の寄付について収支報告書等へ記載しなかった場合、「ウッカリ」不記載という言い訳は認めずに「チャッカリ」不記載とみなして罰則を加える厳しい姿勢を打ち出しました。また、収支報告書への残高の内訳記載や、寄付の銀行振込の義務化など政治資金の透明性を大幅に改善する方策を盛り込みました。なお、民主党はすでに本部、県連、総支部の収支報告書をホームページで公開し、外部監査も実施しています。また党所属国会議員等の資金管理団体の収支報告書についても、監査の実施とその意見書の本部への提出を2004年12月の党大会方針で確認しました。 2000年から政治家個人の資金管理団体への企業・団体献金が禁止されたことを受けて、「政党支部を政治家個人への迂回献金の受け皿として悪用する、すなわち政党支部を政治家個人のサイフ代わりに悪用する」ケースが急増しているとの批判が高まっています。自民党の政党支部は既に7,000を超えていますが、民主党は「政治資金規正法等改正案」(2002年の第154国会、2004年の第159国会に提出)によって、企業・団体献金を受領できる政党支部の数を制限し、政治資金の出入りと流れを透明化、簡素化していきます。 自民党、公明党の連立与党は、現在5万円以上の政党支部に対する企業団体献金の公開規定を改悪し、一定の条件のもと、年間24万円以下の献金を行った法人、団体名を非公開とする、政治改革に逆行する改悪をめざしています。民主党は、こうした動きに断固反対します。 国・地方公共団体の公共事業や補助金等にまつわる「口利き」「見返り」を排除していきます。公職選挙法では、公共事業受注者・利子補給対象の融資を受けている法人の選挙時の献金を禁止していますが、選挙以外の時に献金を受けたように偽ることが可能なため、実効性には疑問が残ります。そこで民主党は「政治資金規正法等改正案」(2002年の第154国会、2004年の第159国会に提出)によって、公共事業受注者、利子補給対象の融資を受けている法人の献金を常時禁止します。 後援会等の機関紙誌への広告掲載料の名を借りた実質的な政治献金が横行しています。この脱法的行為を規制するために、民主党は「政治資金規正法等改正案」(2002年の第154国会、2004年の第159国会に提出)によって、後援会等の機関紙誌への広告費は年間150万円を上限とすること、また20万円以上の広告費については、広告料金の支払い者の氏名と金額を公表させることを制度化していきます。 現行法では、収支報告書等の保存期間は3年とされています。民主党は「政治資金規正法等改正案」(2002年の第154国会、2004年の第159国会に提出)によって、この保存期間を刑法の時効期間にあわせて5年に延長すること、さらに情報公開・政治活動費の透明化の観点から、収支報告書をインターネット上で公表することを義務づけ、国民の直接監視下に置くことで「政治とカネ」の透明度を高めていきます。
なお、民主党はすでに本部、都道府県連、総支部の収支報告書をホームページで公開しており、政治資金透明化、情報公開に取り組んでいます。 インターネットを利用した選挙運動を解禁すれば、ビラやハガキの処理が過重な負担となっていた無所属議員や少数政党にも政治参入の機会が広がり、在外邦人を含めた幅広い有権者への情報提供が可能になります。民主党は既に、2001年の第151国会、2004年の第159国会に「インターネット選挙運動解禁法案(公職選挙法改正案)」を提出しました。同法案は、ホームページや電子メール、ケータイ、ブログ等を利用した選挙運動を原則として解禁するものです。 タッチパネル方式の電子投票機で投票する国内初の選挙が2002年6月に岡山県新見市で行われました。この方式を国政選挙にも広げていくとともに、投票率向上等のため、インターネットで自宅パソコン等からも投票可能となるようめざします。特に、在外邦人に一部認められている国政選挙の投票制度は、郵便のやりとりに時間がかかるなど問題が指摘されており、在外邦人のインターネット投票の先行実施をめざします。 外交立国・日本をめざすにあたり、外交上重要な職責を果たすべき大使・公使の役割は、わが国の国際社会における役割・責任と比例してますます重要になっています。外務官僚としての専門知識ばかりでなく、一層高い見識・人徳・品格・対人折衝能力が求められています。民主党は、大使・公使の任命について、その適正を期するため、両院の同意を必要とすることを内容とした「外務公務員法改正案」の成立をめざします。 官僚や与党は、自分たちに都合の悪い資料は出そうとしません。そんな閉鎖的な隠蔽体質を是正し、国会の調査権を強化するために、民主党は「国会の各委員会所属委員4分の1以上が要求した資料は、3日後には提出しなければならない」という国会法改正案を提案します。国民への直接的情報公開を促進するとともに、国民を代表する議会の調査権、チェック権限強化のために、国会同意人事や行政監視機能を含めて議会機能の充実をめざします。 民間企業や自営業で働く市民よりも、国会議員や地方議員の待遇や手当が良すぎるのではないか―そんな市民の疑問と不満に民主党は積極的に応え、議員の特権や既得権に自ら鋭くメスを入れています。国会議員の歳費(給与)のカットを行うとともに、現在の国会議員互助年金制度はただちに廃止し、国会議員も国民と同じ公的年金制度に加入することとします。また、起訴勾留中における議員歳費等の支給を凍結するため、「国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する改正案」(2003年の第157国会、2004年の第159国会)を提出しました。 秘書制度改革については、配偶者の公設秘書採用禁止、議員秘書の65歳定年の導入、給与の直接支給などを内容とする法改正を行いました。同時に、これまで民主党が独自に実施してきた秘書の氏名、勤務地等の公表についても、各党の申し合わせにより、全政党が実施することとなりました。また、わが党独自の取り組みとして、法改正で禁止された配偶者に加えて、三親等以内の親族の公設秘書採用を禁止することとしました。さらに、公設秘書制度の基本的改革をめざす抜本改革案を取りまとめ、議論をすすめます。 鈴木宗男元議員の汚職事件に象徴されるように、与党政治家と官僚の癒着、口利き、圧力や恫喝などにより、公正であるべき行政や官公需が歪められています。民主党は、国会機能の強化、政治家と官僚の接触に関する情報公開、個別事業に関する政治家と官庁の折衝窓口(副大臣や政務官の役割の明確化)の制限など、不当な圧力排除と透明性確保のための制度改善をめざし、政治家自身が政策を立案・決定する本来の制度に改めます。これによって政治家の官僚依存がなくなり、真の国民主導の政治が実現します。基本的には地方分権と情報公開をすすめ、族議員や官僚主導政治を排除します。