【2】消費者・人権・共同参画
消費者・NPO
経済社会が成熟し、個人の価値観が多様化している現在、官主導の一元的公益判断では社会的ニーズが十分に満たされなくなっています。民主党は、多様な価値観を認めあい、市民が主導で公益を実現する社会へと変革するために、市民活動を社会システムに組み込むとともに、市民活動に対する税制を含む支援策の拡充に積極的に取り組んでいます。安全性に対する信頼が揺らぐなか、衣食住に関する安全性を十分に確保することが必要です。社会的規制の強化や表示の徹底などを通じて、国民が安心して暮らすことができる社会を確立します。
「賢く強い消費者」を育成するため、義務教育の段階から消費者契約やカード利用等についての知識も含め、消費者教育充実に向けた政策をすすめます。2004年の第159国会改正の「消費者基本法」では、民主党は、消費者の権利の強調や国民生活センターの役割拡充など消費者政策の充実を図りました。
消費者の利益を擁護するために、消費者団体が消費者全体の利益のために訴えを提起することを認める消費者団体訴訟制度を創設します。
BSE発生・食品表示偽装・残留農薬の検出等を契機に日本の行政が消費者に安全な食品を提供する視点に欠けていることが明らかになりました。これらの問題を受け、2003年の第156国会で食品安全基本法が成立し、食品安全委員会が設置されました。日本における食の安全体制が産声を上げたと言えます。しかし、国内消費の60%を輸入に依存する日本の食の安全を確立するためには、日本国内だけではなく海外の生産供給体制にも目を向けなければなりません。また、鳥インフルエンザが国内で発生するなど、新たな問題も生じています。そのため、内閣府・農林水産省・厚生労働省にまたがっている食品安全行政を一体化し、主要な輸出国に輸入国の立場から調査を行う国際食品調査官(仮称)を配置します。
21世紀を柔軟で自己改革可能な活力溢れる社会にするため、NPOの育成は緊急かつ重要な課題です。2002年の第155国会において特定非営利活動法人法が改正され、従来民主党が主張してきた特定非営利活動法人(特活法人)の活動分野拡大や設立認証申請手続きの簡素化等が図られることとなりました。民主党は、現在検討がすすめられている公益法人制度の見直しともあわせて、特活法人の活動が社会にしっかりと根付くための努力を続けます。また、現行の特活法人に対する支援税制については認定要件が厳しいために、これを利用することができる「認定特活法人」は、特活法人全体(22,000余)の中でわずか34法人にすぎません(2005年6月末現在)。民主党は、その認定要件を大幅に緩和し、特活法人が認定を受けられやすくなるようにします。
「事故隠し」など企業不祥事によって消費者が被害をこうむる事例が頻発していることから、これら事実を通報する公益通報者保護制度の充実が求められています。しかしながら2004年の第159国会で成立した「公益通報者保護法」には、保護対象の範囲が狭いなどの不備があるため、民主党は、(1)下請等事業者を保護対象に含める、(2)実質的公益侵害まで通報対象事実の範囲とする、(3)通報対象事実の切迫性の要件を削除する、(4)外部通報先の範囲、外部通報要件を拡大する、などの改正を行います。また不祥事を知りうる立場にある経営者などに危険情報の提供や行政庁への報告を義務づける「危険情報公表法案」の成立をめざします。さらに公務員の不祥事などを通報の対象とする「公益開示法」とあわせ、事故隠しなどの不祥事を未然に防ぎ、たとえ起きたとしても被害拡大を防げるような枠組みをつくります。