【2】消費者・人権・共同参画
スポーツ政策
これまでのわが国のスポーツ政策は、企業や学校が中心の、ともすればスポーツエリート育成型のものになりがちでした。しかし、スポーツがもつ本来の役割は、地域住民の世代を超えた交流促進や住民の健康増進、地域間交流や国際交流、さらには地域産業振興など多岐に及びます。民主党は、「企業・学校・競争型」から「地域・クラブ・共生型」スポーツ政策への転換をコンセプトに、従来のスポーツ行政を抜本的に見直し、地域の自主的・主体的取組みを基本としたスポーツ政策を確立します。
豊かなスポーツ文化の振興には、欧米諸国に見るような、地域に根ざしたクラブスポーツの確立が不可欠です。住民による自主的・自発的な運営、企業との連携、行政の支援を一体化し、生活に身近な地域におけるスポーツ活動の“核”を育てることが必要です。どこでも誰でも参加できる身近なスポーツ拠点として、またスポーツを通じた地域コミュニティー活性化の拠点として、地域密着型クラブスポーツを振興します。子供から高齢者まで、様々な種目に、各々のレベルに応じて参加できる機会を確保するため、指導者の育成や、外部コーチ派遣制度確立、スポーツ少年団支援、社会体育指導者等の身分保障、養成・確保、生涯スポーツ振興事業を推進します。
高齢者の生きがいや健康づくりにスポーツは大きく貢献します。スポーツの苦手な方や初めての方でも気軽に取り組める機会を一層拡大するため、スポーツ団体による講習会への助成拡大や地域リーダーの育成、青少年スポーツ活動との連携など一層推進するとともに、公共スポーツ施設のバリアフリー化を図ります。
スポーツの有効性は、障がいのある人にとっても何ら変わることはありません。むしろ社会参加の促進に関する効果や、社会における障がいの理解の促進等といった効果を積極的に捉え、ノーマライゼーションの推進の観点からも障がい者全体のスポーツ振興を図ることが必要です。施設の利便性確保はもとより、指導員の養成・資質向上のための取り組み、自治体や関係スポーツ団体等とのネットワークの構築など、スポーツ振興施策と障がい者施策の効果的な連携を推進します。
スポーツ医学は一部のアスリートのためだけの学問ではありません。競技力向上や障がい予防の観点からスポーツの現場に医学知識を必要とすることは当然ですが、生活習慣病が年々増加傾向にある現代においては、運動に関する研究成果を人々の健康増進に活かしていくことも極めて重要です。年齢や障がいの程度を超えていかなる人でもスポーツの恩恵にあずかり、健康で文化的な生活を営むことができるよう、スポーツ医学の振興を強く後押しします。
住民に身近なスポーツ活動の場として、また地域コミュニティーの拠点としての学校施設は今後も役割を増していくものと思われます。また前述の地域密着型クラブスポーツ振興の観点からも、徒歩圏内に安全な運動施設が存在することは欠かせない要素となります。子どもたちの安全確保を絶対条件とした上で、学校施設利用の利便性向上やスポーツ施設との複合利用をさらに推進します。
安心して思いきり走り回ることのできる運動場が子どもたちには必要です。運動場の芝生化は身体への衝撃を緩和し、スポーツ技術向上と体力作りに貢献するばかりでなく、子どもたちのストレス軽減、CO2削減効果やヒートアイランド現象の抑制効果も期待されています。小学校校庭や公共スポーツ施設の芝生化事業を強く推進するための予算を確保するとともに、芝生の効率的な保全管理や雇用創出の観点から、NPO等との連携を重視します。
スポーツは、言語の壁を越えて同じルールの下で行われる全世界共通の文化です。文化・風習などが異なる外国との間でスポーツに関する技術や情報・知識の交流を図ることは、世界中の人々が平和で協力しあえる社会の実現に大きく寄与するものと考えます。日本古来の武道を含め、スポーツを通じた国際社会の相互理解と交流のための施策をさらに推進します。