【3】経済・財政・金融
財政:財政構造改革
民主党は、必要な人に必要なサービスを安定的に提供していく「安心の社会」と政府の適切な経済政策による「活力ある経済」を構築するために、積極的に財政再建をすすめ、「強い財政」をつくります。そのためにまず現在の予算構造を根本から見直すことによって、経済再生を実現します。具体的には旧来型公共事業の削減、入札制度の抜本改革、公務員人件費総額の縮減等によって生み出した財源を、職業訓練などを含む雇用対策、子育てや年金などの社会保障や中小企業支援策に重点的に配分し、「仕事」と「安心」を生み出すことによって経済再生を実現し、もって税収増を図ります。同時に国有財産の売却や公営企業収入の配分の再検討及び現行税制における脱税防止策の強化などを通じて、収入を確保します。さらに経済の活性化とスリムな政府の実現に向けた規制改革や、税源と権限を思い切って地方に移譲する分権改革など本来の構造改革を通じた財政再建もすすめ、結果として政権獲得後8年程度をメドに「プライマリーバランス黒字化(予算における国債収入額を、利払いを含めた国債費用額より少なくすること)」を実現することを目標にします。
民主党は予算のあり方を根本から見直し、既得権益から脱却した財政の配分を実現することによって「経済の活性化」「安心の社会」「財政再建」を実現することをめざしています。これを実現するためには、予算をつくる過程である「予算編成」も抜本的な見直しが必要です。現在の予算編成は、縦割り構造にある省庁が、凝り固まった既得権益を守るために「対前年度比」という時代に合わない考え方でつくった予算を持ち寄ったものであり、これでは改革は決してできません。しかし、政策を官僚に依存する自民党政権では、これ以外の予算編成はできないのです。自民党は自らの既得権益に予算を付けるために官僚に陳情し、叱咤し、恫喝することはできても、自ら予算を考えることはできないのです。民主党政権では、国民を代表する政治家が自ら予算を編成します。官邸に各省の大臣など政府の関係者を集め、ここで予算編成の基本方針(総額、重点事項、各省庁別の配分額など)を決定します。そして、この基本方針を受けて、省庁ごとに政治家(大臣、副大臣等)がグループをつくってその省庁の予算を編成します。霞が関に閉じこもる官僚が机上の空論で予算を編成するのではなく、常に国民と接する政治家が予算を編成するのです。このようなシステムに転換してこそ無駄な公共事業の削減や省庁の縦割をなくし、民意を反映し、かつ未来を見据えた予算が実現できると考えます。
予算・財政改革をすすめるためには、会計制度の見直しが不可欠です。現在の公会計制度はお金の出入りのみを追った会計にすぎません。しかも一般会計に加え、31もの特別会計と財政投融資制度が複雑に絡んでいるので、財政の実態は十分に情報公開されていません。隠れ借金という存在が公然と使われているのがその証拠です。民主党は発生主義会計の導入や厳格な公会計基準の設定と情報公開につとめます。同時に、既に経済的社会的意義の薄らいだ政策を見直し、国民経済的により重要な政策に財源を重点的に投入するためには、現在極めて形式的にしか運用されていない政策評価制度を予算編成との連繋の緊密化などによって抜本的に強化しなければなりません。さらに、国会と国民の霞が関への監視・評価機能を高めるために、選択的検査対象拡大など会計検査院の機能強化を図りつつ、「行政監視院(日本版GAO)」を設置します。