【3】経済・財政・金融
IT政策
民主党は、インターネットをはじめとするIT革命が、官主導から民主導へ、中央政府中心から地方政府中心へと社会を転換し、個人の生き方、生活のあり方を根本から変えるものと位置づけています。ブロードバンド(通信の高速・広帯域化)革命、知的財産権革命、リテラシー(情報読解力)革命と一体となったIT革命をすすめ、行政改革、教育改革などの構造改革につなげていきます。誰もがインターネットにアクセスでき、その恩恵を受けることができるよう、通信分野における競争を促進し、より低廉・高速・安全なインターネット環境の整備をめざします。さらに情報格差(デジタルディバイド)解消策、ネット犯罪・トラブル対策等についても万全を期していきます。
携帯電話や情報家電の普及、無線LAN技術の進展に伴い、電波(周波数)不足が問題となっています。有限資源である電波を今後いかに有効利用するかが、産業活性化や新たな技術開発、国民の利便向上につながります。既存利用者の効率利用と新規需要への迅速な再配分を図るため、(1)免許の使用期限の前倒しを可能とする仕組みづくりを通じた電波の再配分の促進、(2)電波利用料に電波の経済的価値を反映させることによる電波の効率利用促進、(3)適当と認められる範囲内でオークション制度を導入することも含めた周波数割当制度の抜本的見直し、に取り組みます。
IT産業の潜在力を発揮させるため、また、誰もが皆、世界最高水準のインターネット環境を利用できるようにするためには、情報通信分野における自由闊達な事業展開と技術開発、そして公正・中立なルールのもとでの競争を後押しすることが重要です。そこで民主党は、内閣府の外局に独立行政委員会を設置する「通信・放送委員会設置法案」(2003年の第156国会、2004年の第159国会)を提出しました。総務省から規制部門を分離することで裁量行政を排除し、委員会のメンバーに外部から専門家を常勤で登用することで急速な技術革新へ対応しうる迅速な意思決定を実現します。
2000年3月に発表した「人間中心の情報化社会をめざして」(高度情報化社会プロジェクト提言)のなかで、民主党は電子政府の実現を既に公約としています。主な内容は、全行政手続き・税務申告手続きのオンライン化、今後の公文書を電子化したうえでの全公開、政府調達手続きの電子化促進、行政サービス・ステーションの整備、公立図書館等でのインターネット環境の整備、民事訴訟手続きの電子化、判決のネット公開、テレビ会議による証言等の司法の情報化、などです。政府のすすめる行政のオンライン化政策に比べ、より住民の利便性と個人情報の適切な管理に重点を置いています。電子政府の実現は、無駄な行政経費の削減にもつながると考えます。
2001年11月、民主党はサイバーテロ対策への提言を発表しました。ポイントは、(1)重要インフラ防護センターの設置を軸とする組織体制の構築、(2)ネットワークの安全確保・ネット犯罪・サイバー危機事態に対応した法整備、(3)防衛庁・警察庁の対応力強化、(4)ダメージコントロールを軸とする対策構築の基本的な考え方の整理、(5)公的人材育成機関の設置・技術開発への予算投入、(6)官民連携体制の強化・国際協力体制の強化、(7)ネット教育体制の整備、等です。情報通信ネットワークに国境はなく、国際的な協力体制のもと、セキュリティーを確保していくことが重要です。
障がい者も含めてすべての人々が使いやすい情報通信機器を設計する「ユニバーサルデザイン」の思想を普及させ、情報バリアフリー社会を確立します。民主党は、政府に納品する機器を身障者に配慮したものに限り、メーカーに障がい者向けの機器を用意する義務を課す等を規定した「ITバリアフリー法」を制定し、職場のバリアフリー環境の整備をすすめます。