行政改革
与党議員が100人以上、大臣・副大臣・政務官等として政府の中に入り、中央省庁の政策立案・決定を実質的に担うことによって、官僚の独走を防ぎ、政治家が霞が関を主導する体制を確立します。なお、政・官の癒着によって公正であるべき行政が歪められることがないよう、政治家と官僚の接触に関する情報公開など、透明性確保のための制度改善を図ります。また各省設置法のあり方を抜本的に見直し、内閣の意思によって柔軟かつ機動的な省庁再編を可能とするよう改めます。
真に国民のためとなり、ムダのない行政をつくるため、各省庁に対して情報提供を求めることができる強力な権限を持った「行政刷新会議(仮称)」を設置し、自治体関係者や民間有識者の意見を踏まえ、国・自治体・民間の果たすべき役割分担の再構成を含め、集中的に国の事業の見直しを行います。
独立行政法人・公益法人など4504法人に2万5245人もの国家公務員が天下り、天下りを受け入れた団体に対して12兆1334億円(2007年度)もの資金が流れていることが、民主党の要請によって行われた衆議院の予備的調査で判明しました。
役所のあっせんによる天下りは、官製談合や随意契約など税金のムダづかいの原因となっています。そのため、中央省庁による国家公務員の再就職あっせんを禁止するとともに、天下りの背景となっている早期退職勧奨を廃止します。また国家公務員の定年を段階的に65歳まで延長することによって、年金受給年齢まで働ける環境を整えます。
独立行政法人等は、国からの補助金や交付金を使って非効率的な事業運営をしていたり、官僚の天下りの受け皿となるなど、さまざまな問題点を抱えています。このため、独立行政法人等は、原則廃止を前提にすべてゼロベースで見直し、民間として存続すべきものは民営化し、国としてどうしても必要なものは国が直接行います。
天下り受け入れの見返りに業務を独占するなど実質的に各省庁の外郭団体となっている公益法人は、制度改革にあたって廃止します。
独立行政法人の税金のムダづかい体質を改めるため、(1)各府省の独立行政法人評価委員会委員および各独立行政法人の監事の独立性向上(公務員出身者の就任を制限)(2)公募による独立行政法人の長の選任 (3)会計監査人の監査対象となる独立行政法人の拡大 4:独立行政法人の統合時における資産の鑑定の義務付け――などを行います。
※公会計改革(特別会計改革等)参照国が2007年度に行った契約のうち、中央省庁等の幹部OBを天下りとして受け入れている団体に対するものについて、その契約金額の約95%が随意契約によるものであることが判明しました。
国が行う契約の適正化を図るため、会計法を改正し、国による随意契約・指名競争入札について、契約の相手方における天下り公務員の在籍状況や、随意契約・指名競争入札の理由など厳格な情報公開を義務付けます。
契約の事後的検証と是正措置を担う「政府調達監視等委員会」を設置します。また、政府に対して勧告権を有する「行政監視・評価院」(日本版GAO)を国会に設置し、税金のムダづかいを厳しく監視します。
続発する官製談合を撲滅するため、官製談合防止法の適用対象に公務員OBも含め、天下り先での談合を防止します。公正取引委員会の権限を強化するとともに、省庁等に対する改善措置要求を入札談合防止のためにも行えるようにします。改善措置要求を受けた省庁等には、調査結果および談合防止のために講じた措置の内容を国会等に報告する義務を課します。また、事件ごとに第三者による調査委員会の設置を義務付けます。独占禁止法を改正し、談合を申告した事業者については一定の条件を満たせば課徴金が減免されるなどの措置を拡充することで、談合を摘発しやすくします。
真の行政改革のためには、国と地方のあり方を抜本的に見直し、地方分権を進めることが不可欠です。新設する「行政刷新会議(仮称)」(前掲)のもとで、国の役割を大幅に限定して事務事業の多くを地方へ移譲するという観点から事務事業の見直しを集中的に行います。
国の機関の組織および定員は行政刷新会議の提言に基づいて抜本的に改めます。大胆な地方分権等の結果、国家公務員の定数も大幅に減少すること等により、国家公務員総人件費を2割以上削減することが可能になります。
国家公務員制度改革基本法が2008年の169回通常国会で成立し、内閣一元管理による新たな幹部職制度や、政官接触の透明化、多様な人材の登用、能力・実績に応じた処遇の実施等、今後の公務員改革の方向が示されました。しかし、今後個別法の制定など具体化の段階で、既得権益に固執する官僚によりこれらの事項が骨抜きにされるおそれがあります。これらの改革を確実に実施するとともに、天下りあっせんの禁止や労働基本権の回復等、残された課題について引き続き取り組みます。
労働基本権は労働者本来の権利であり、重要な労働条件などは当事者抜きに決められてはなりません。しかし、日本の法令および慣行は公務員の労働基本権を制約しており、国際労働機関(ILO)も1965年以降、このような日本の状況がILO条約の規定に違反しているとの厳しい勧告を出しています。公務員の自律的な労使関係を実現するため、職務の特性にかんがみて特に異なる取扱いが必要となる場合を除き、公務員の労働基本権を回復します。その結果、労働条件は民間と同様、交渉で決められるようになります。それに伴い、一般職の公務員には労働契約法や判例法理等に準じた雇用保障制度を導入します。